小湊フワガネク遺跡とソテツ畑
「タイムマシーン」の埋まったシマ
フワガネク遺跡とソテツは、切っても切り離せない関係がある。集落内の畑の境界線にはソテツが植えられ、まるで遊歩道のようにソテツの里道が続く。
「ソテツは生活に役立つ大切なもの。昔は近くの山もみなソテツを植えていた。葉は苗の風除けや日よけに利用し、肥料代わりに田んぼにすきこむ。実と幹はでんぷんをとっておかゆにし、味噌も作る。シマの宝だよ」(東郷武会長)
フワガネク遺跡が発掘された場所も、もとはソテツ畑。ソテツを大切にしていたからこそ、貴重な遺跡が保存されていたと考えられることから、一集落1ブランドには「フワガネク遺跡﹂だけでなく「ソテツ畑」も加えて認定された。
フワガネク遺跡周辺に張り巡らされたソテツの里道
ソテツ畑の下から発見された、6~7世紀の人々が残したおびただしい数の痕跡。遺跡を発掘してきた奄美市立奄美博物館学芸員の高梨修さんは、その衝撃を踏まえて、小湊集落を「タイムマシーンが埋まっているシマ」と表現する。フワガネク遺跡は、文字もなく、記録のない6~7世紀のシマの暮らしを見ることのできる、「タイムマシーン」そのものなのだ。
いま、小湊集落では夜光貝細工のワークショップを行ったり、砂地栽培の野菜をブランド化しようと活動を展開。「シマの宝」を礎とした新たなシマづくりを行っている。
夜光貝の硬い殻を磨くと美しい真珠層が現れる
いまから約20年前。小湊集落で偶然発見された遺跡は、考古学者たちに衝撃を与えました。原始的な生活を送っていたと考えられていた6〜7世紀ごろの地層から、大量の貝細工と製造道具が発掘されたのです。それは、明らかにこの地が「貝製品の生産地」であったことを意味していました。
小さなシマで生み出された美しい製品の数々。それはいったいどこへ、誰の手へ渡っていったのか。
国指定重要文化財となりいまも研究は続いています。
KOMINATO-小湊集落-
地元呼称:クゥミナトゥ、クンニャトゥ 世帯数:272 人口:414
名瀬中心市街地から車で約20分。太平洋に面し、山に背後を囲まれた集落。かつては漁業や米作りが盛んだった。大型砂丘が発達していて、そこでできる野菜はおいしいと評判。
時期
POINT
出土品は奄美博物館で展示中。集落には看板のみがある