用しゅんかねくゎ踊り
ハブ除けと家内安全を祈願する「用しゅんかねくゎ踊り」
- 手ぬぐいを頭に巻き、途中で膝立ちになって座踊り。肘や手の甲を地面につける動作
正月遊びから生まれた、用集落独特の踊り。最大の特徴は、その踊りの展開の仕方だ。浴衣にタスキで袖をまくり、肩には手ぬぐいを掛けた女性陣が、2人1組で向かい合って座るところから始まる。
三味線や唄の伴奏に合わせ、最初は正座の状態で手遊び。徐々にテンポアップし膝立ちから立ち上がって六調へ展開するという、なんともバラエティ豊かな踊り。
後半はチヂンというシマ太鼓やハト笛も加わり、正月らしいにぎやかな装いで一気に場が盛り上がる。
もともとは、旧正月に子どもたちがお弁当を持って集まり、唄(シマ唄)遊びをしていたものを、昭和51年にシマ唄名人たちが唄や振りを付けて現在の「用しゅんかねくゎ踊り」を形成した。
「しゅんかね」という言葉には諸説あり、一般的には「しょうがない」という意味で使われることが多いが、用集落では「ハブ」という意味でも使われるそう。
「ハブに噛まれたらどうすることもできない(=しょうがない)。だからハブが出てきたら私が叩いて、皮は三味線に貼ってしまうわよ」という歌詞に合わせ、毒蛇ハブを叩いているような踊りの仕草も見られるのが面白い。このことから、「家内安全とハブ除け(厄払い)を祈願する踊り」という意味合いも持つ。
ほかにも、正月を迎えるにあたっての集落の習慣(日の出前に波打ち際の白砂を持ち帰り、厄除けとして屋敷の内外に撒く)を踊りに組み込むなど、用集落の文化風習が組み込まれた独特の踊りと言える。
現在は定期的な披露の場は持っていないが、イベント等の依頼に応じて練習し、披露されている。後継者不足が課題だ。
YO-用集落-
地元呼称:ユウ、ヨウ 世帯数:79 人口:122
奄美大島の最北部に位置する集落だが、強い北風の影響を受けることは少ない。おだやかな気候のおかげか、勝負事で負けても笑い飛ばすような、温厚な人が多いと言われている。
時期
POINT
現在定期開催はしておらず、舞台芸能発表などの折に見ることができる場合も