アッタドコネ(有良大根)
冬の寒さと海と山からの風の寒暖差で生み出す。幻の大根「アッタドコネ」
有良(あった)集落で栽培されている「アッタドコネ」は、方言で有良(アッタ)の大根(ドコネ)のことを意味する。他の種と混ざらないように代々大切に受け継がれている貴重な大根で、主にお正月に食べる「ウワンフネ」(塩豚と野菜の煮物料理)用に栽培されている。
種だけでなく、有良集落の地形や土などの特徴もあり、他の集落で栽培しても同じおいしさにはならないという。生産量が少ない上、市場にはほとんど出荷されないので幻の大根と呼ばれている。
あったどこねくらぶの皆さん
「収穫までの間は雑草取りや害虫退治に目が離せないので、手間がかかるよ~」と語るのは、あったどこねくらぶ会長の豊智恵子さん。有良集落は三方を山に囲まれた地形で、海と川のある自然豊かな土地。冬になると北西風と山からの風(通称・あらし)が下りてくる。
この風が大根栽培には欠かせないのである。朝晩の寒暖差が激しく、朝露が大根を潤すことで大きいのにキメが細かく、独特な甘みが生まれる。また、煮崩れしにくいしっかりとした皮の厚い大根ができあがる。
高倉の下で干して切り干し大根を作っている様子
その味を手軽に食べられるようにと、収穫と同時に「切り干し大根」の準備が始まる。綺麗に洗った大根を細長くカットして、高倉に貼った糸に干していく。
昔は高倉がたくさんあり、あちこちでアッタドコネが干されていた。いまでも収穫の時期になると、家の軒先や集落を通る川沿いの大きなガジュマルの前に、干されている風景を見ることができる。
収穫時に種用の数本を土に残し、花が咲き種ができたらまたその種を植えていく。そうやって「アッタドコネ」は代々大切に守られてきている。
ATTA-有良(あった)集落-
地元呼称:アッタ 世帯数:38 人口:63
冬になると山からの風が吹き、朝晩の寒暖差が激しい土地。その条件が大根栽培に適していて、キメが細かく、煮崩れしない大根が作られる。
時期
POINT
市場には出回らないレアな大根。どうしても欲しい時は、有良集落の人と仲良くなるのが早道