シマ自慢エメラルドブルーの海と天然の塩づくり体験

追究が極めた結晶「打田原の塩」

きっかけは、打田原海岸に流れ着いた流木ゴミの焼却作業だった。「打田原のマシュやどぅり(方言で塩炊き小屋のこと)」を経営し、笠利町打田原集落会事業部長も兼任する和田昭穂氏。大阪で長年の教員生活を終え、地元打田原に帰省した和田氏が最初に目にしたのは海岸に溜まった大量の流木。
エメラルドブルーの海と白い砂浜を取り戻そうと、ゴミを集めて燃やす奉仕作業に乗り出し、かつて青年時代に手伝った塩づくり作業をふと思い出したのだという。

さっそく海の目の前に小屋を建てて、塩炊きをスタート。原料は海水、燃料は流木。袋詰めなどの作業は集落の高齢者や女性を積極的に雇い、地元民に還元。集落ぐるみで取り組む「打田原の塩」は、いまや奄美大島を代表するおいしい塩として広まるまでになった。
塩づくりは簡単な作業ではない。毎日1000リットルもの海水をくみ上げ、成分調整を行うため量産はできないが、塩へのこだわりは「誰にも負けない」と和田氏は力を込める。
海水から実際に採れる塩の量や、塩を炊いた後に残る成分を調べ、食塩に必要な分だけを厳選する。余分な量を「引き算」し、丁寧に濃度を調整する手間はまさに「手塩にかけた究極の天然塩」と言える。

「塩づくりは奥が深い。出来上がった塩を見た時にやりがいを感じる」。そう話すのは期待のホープ・平建泰さん(20)。和田氏の情熱を受け継ぐ未来の打田原の塩づくり職人だ。
集落ぐるみで取り組む「塩づくり」は、美しい海を取り戻すだけでなく、集落民の結束や故郷を大切にする心をはぐくむきっかけになったのかもしれない。
塩のことを奄美の言葉で「マシュ」というが、打田原では「マシュ(真塩)」と表記し、「真の心がつくる塩」という意味を込める。このブランドは塩づくり体験が実際に楽しめるのも魅力。「真の塩」をぜひ味わってみてほしい。

area_KASARI

UTTABARU-打田原集落-

地元呼称:ウッタバル 世帯数:34 人口:58

東シナ海に面した透明度の高いエメラルドブルーの海、長く続く白い砂浜が自慢の打田原ビーチ。近くにはソテツが自生する山もある。昔は塩づくりで生計を立てていた家庭が多かったという。

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見学(ミニ体験)1,000円、8時間8,000円(人数5人単位)のコースがある。詳しくは事務局まで(和田 0997-63-2378)

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