フナンギョの滝
集落とともに生きてきたエネルギー溢れる滝
集落からほど近い駐車スペースに車を停め、山のなかへと続く道を歩く。周囲は草木に囲まれ、四季折々の花や実を観察しながら、ゆるやかな登り道を進んで約10分。冷涼な空気と水の香りを感じるとすぐに、眼前に大きな滝が現れる。これがフナンギョの滝。
夏場にも枯れることのない豊富な水量が岩にぶつかり、水しぶきを上げて流れ落ちていくさまは豪快で、なんともエネルギーを感じる滝だ。
フナンギョの滝入口はこの石板が目印。駐車スペースにもなっている
「フナンギョ」の名前の由来は、集落の暮らしと関係がある。昭和初期ごろ、川内集落では住民のほとんどが林業で生計を立てていた。山のなかで伐採した木を効率的に運ぶため、このフナンギョの滝の周辺で木を切り出し、滝水に流して材木を下流まで運んでいたという。
加えて、舟用の木材だった「椎の木」が多くあったため、舟木を伐りに行く所=「舟行(フナンギョ)」と呼ばれるようになったと言われている。
平成16年から毎年開催されている「桜並木&フナンギョの滝ウォーキング大会」。島内外から約400人が訪れる
いつでも絶えることのない清らかな水を供給し、生活に欠かせない働きを担う滝は、人々にとって大切な聖なる場でもあった。
区長の山田 絋一さんは、今もフナンギョに訪れるときには滝の前で小さく祈るという。石造りの橋から見上げる滝の水はとめどなく、清々しい水しぶきが周囲の空気を心地よく冷やしている。滝までの道は子どもでも歩きやすいので、ぜひ気軽に訪れてほしい。
KAWAUCHI-川内集落-
地元呼称:コッチ 世帯数:73 人口:134
奄美大島のちょうど真ん中に位置する集落。テナガエビや絶滅危惧種のリュウキュウアユなどが生息する「川内川」が集落のなかに流れている。
時期
POINT
滝の近くまで車でいけるが山道なので、大型車や雨天時は入口に車を停めて歩くのがおすすめ(徒歩約10分)