そうだ!奄美大島でサトウキビ刈り&れんと工場見学をしよう!!
島遊
2019/03/02
田中 良洋
※あまみシマ博覧会2019冬プログラムは終了いたしました。新しいプログラムはこちらからご確認ください。
奄美大島旅行をご計画中のみなさまへ、奄美大島で楽しめるさまざまな体験をご紹介する「そうだ!奄美大島で〇〇体験をしよう!!」シリーズ。
最終回となる第15回目の今回は、「あまみシマ博覧会2019冬 南部プログラム2 サトウキビ刈り&れんと工場見学」をご紹介します!
「南の島」と聞いて何をイメージしますか。晴れた空、青い海はもちろん、風に揺れるサトウキビ畑を想像する人は多いのではないでしょうか。サトウキビは、奄美や沖縄地方には欠かせない基幹作物です。
1月から3月ごろが収穫のシーズンで、この時期には島のいろんな場所でサトウキビ刈りをする人々の姿が見られます。「サトウキビをかじったらどんな味がするんだろう」と、ふと考えてしまいますよね。
黒糖焼酎をつくる奄美大島開運酒造の宇検工場では、黒糖焼酎の原料となるサトウキビを刈る体験プログラムがあります。
「一度でいいから、サトウキビをかじってみたい!」そんな人はこのプログラムに参加してみてはいかがでしょうか。
宇検村にある奄美大島開運酒造へ
奄美市名瀬市街地から車で約1時間、宇検村にある奄美大島開運酒造にやってきました。駐車場に車を停め、工場の横にある黒糖焼酎の販売をしている施設で受付をします。
まずは係の人から体験プログラムの流れを聞きます。今回は、近くの畑でサトウキビ刈りをし、搾り立てのサトウキビジュースを飲み、工場見学をしする、という盛りだくさんの内容になっています。
サトウキビは皮を剥いてかじりつこう
工場から車で5分ほどのところにサトウキビ畑があります。青空と深い緑の山々、そして風に揺られるサトウキビ。大自然に囲まれていて、空気がとてもおいしく感じるので、ついつい大きく息を吸ってしまいます。
サトウキビ刈りは、専用のナタや鎌を使います。間違えて使ってしまうと、手を切ることもあるので係の人から注意点をしっかり聞き、軍手をはめて作業していきましょう。
まず根元をナタで叩き切ります。サトウキビはどんなに太くても直径4cmほどですので、それほど力はいりません。女性でも3回くらい叩きつければ切れるので、力に自信のない女性や子どもでもできます。
前日の天候によっては足元がぬかるんでいることもありますので、泥がついてもいい靴を履いてきてくださいね。
次に、鎌を使ってサトウキビの葉を削ぎ落とします。サトウキビ刈りで使う鎌は独特で、先が二股に分かれています。サトウキビを二股の間に挟むことができるので、振り下ろすだけで周りの葉が刈れるようになっています。
今はハーベスタという大型の機械を使ってサトウキビを刈ることがほとんどですが、昔は何トンものサトウキビをひとつひとつ手作業で刈っていたようです。改めて畑を見ると、これだけの量のサトウキビを刈るのにどれだけ時間がかかるのかと、途方にくれそうになります。。
さて、お待ちかね。刈りたてのサトウキビを味わってみましょう。皮は硬くて噛めないので、係の人が皮を剥いでくれます。
皮を剥くと現れる、黄色い繊維状になっている部分を思いっきりかじります。はじめは固くて噛めないかもしれませんが、奥歯でグッと噛むと中から甘い汁がじわーっと広がります。
サトウキビは毎日味が違い、甘い日もあれば、あまり甘くない日もあります。この日は前日に雨が降っていたので、少し水っぽかったようです。どんなサトウキビを味わえるかは、当日のお楽しみ!
糖分はサトウキビにとっての栄養です。寒い冬に備え栄養を蓄えるため、冬の時期が一番糖度が高いのです。気温が高くなってくると、次は成長のために栄養が使われてしまうので糖度が下がります。
甘いサトウキビを味わえるのは、南の島の冬の間だけなのです。
搾りたてのサトウキビジュースは自然の味
工場に戻って先ほど刈り取ったサトウキビを絞っていきます。通常は短く裁断してまとめて搾りますが、体験では一本だけを搾っていきます。
専用の器具にサトウキビを突っ込むと、自動で搾られてジュースが出てきます。
サトウキビを直接かじるときは皮を剥いてかじりましたが、ジュースにするときは皮も一緒に搾ります。サトウキビも他の植物と同じで皮と実の間に栄養がたくさん詰まっています。なので、少し青臭くはなりますが、栄養たっぷりの自然の味100%のサトウキビジュースになります。
「おいしい!」
サトウキビの皮も一緒に搾っているので、もっと苦味があるのかと思ったら全然そんなことはなく、ほどよい甘さで飲みやすいです。確かに少し青臭さはありますが、これが自然そのものの味なのかと感じます。
サトウキビから黒糖焼酎ができる工程を見学
収穫したサトウキビがどうやって黒糖焼酎になるのか。その工程を知るために工場見学をしてきました。
先ほど刈ったサトウキビの絞り汁を煮詰めると黒糖になります。サトウキビ約1トンから黒糖は約100kgとれます。この黒糖を溶かして米麹と合わせることで焼酎の元を作っていきます。
「サトウキビの絞り汁を煮詰めて固めたのに、また溶かすなんて二度手間じゃない?」
確かにそうなのですが、黒糖焼酎を作るためには米麹と黒糖を使うことが必要です。つまり、一度、煮詰めて黒糖にしたものを使わないと、黒糖焼酎とは認められないのです。
ちなみにカクテルなどでよく用いられるラム酒もサトウキビを使って作られています。ラム酒はサトウキビの絞り汁を発酵させて作られます。なので、煮詰めて黒糖にせず、絞り汁の状態で使うと黒糖焼酎ではなく、ラム酒として扱われるのです。
黒糖焼酎は、蒸留酒の一種。蒸留酒とは、原料を混ぜてできた醸造酒を一度沸騰させて気体にし、冷やして原酒をつくる製法です。
一度蒸発させるので、余分なものが取り除かれた状態になります。この時、糖分も取り除かれるので黒糖焼酎はサトウキビを使っているけど、糖質ゼロになるのです。
蒸留の次は、貯蔵・熟成の行程を見学します。
奄美大島開運酒造の特徴は、「音響熟成」。クラシック音楽を聞かせて黒糖焼酎を熟成させています。流行りの音楽でも島唄でもなく、クラシック音楽が一番焼酎を美味しくさせるそうです。
熟成させるタンクが並ぶ部屋には、大音量のクラシック音楽が流れています。その臨場感は文字では伝わらないので、ぜひ現場を見に行ってみてください。
オリジナルラベルの黒糖焼酎を作ろう!
工場の見学が終わったら、次は試飲です。奄美大島開運酒造で作られている黒糖焼酎やリキュールなどの全てを試飲することができます。
中には、ここでしか手に入らない限定品もあります。車で来ると飲めなくなってしまうので、どうしても飲みたい人はバスで来るというのも手ですよ!
奄美群島でしか作られない奄美黒糖焼酎。サトウキビからどうやって黒糖焼酎が作られるのか知りたい人は、ぜひ奄美大島開運酒造の宇検工場まで足を運んでみてください。
この記事を書いたフォトライター
田中 良洋
映像エディター/予備校スタッフ 兵庫県出身。奄美群島の文化に魅かれ、2017年1 月に奄美大島に移住。島暮らしや島の文化を伝えるために自身のメディア、離島ぐらし(https://rito-life.com/)を運営する。