ホエールスイムのリアルをお届け!~映え写真の裏にある物語~

島遊

2026/02/27

ペン

Yumi

今年も奄美にザトウクジラたちがやってきた!

毎年1~3月の間、奄美大島近海にもアラスカやロシアからザトウクジラたちが暖かい海で繁殖・子育てのためにやってくる。

そこで島内各地で開催されているのが、近年大人気のアクティビティ「ホエールウォッチング」と「ホエールスイム」である。

今回は、SNSやネット上に挙がっている美しい映像の裏にあるリアルストーリーをお届け。

奄美か沖縄どちらで参加しようか迷っている…参加したいけど後1歩が踏み出せない…といった方の参考になればと思う。

今日は絶対いい日になる

AM 7:00

数日前まで雨予報となっていたものの、明け方には止み、一面青空が広がっていた2月中旬。更にこの時期としては珍しい20度越えという好条件。

ショップへ向かいながら一緒に参加する友人と車内で確信した「今日は絶対良い日になる!」

今回、取材にご協力いただいたダイビングショップは笠利町平にある、あまみこダイバー様。

奄美北部 あまみこダイバー│奄美あまみこダイバー「公式HP」

オーナー吉川さん(以下、船長)は、奄美で潜り続けて30年。ダイビングはもちろんのこと、ク ジラの生態や動きを熟知している。私があまみこダイバーでホエールスイムに参加して今季で3シーズン目。様々な天候・環境下で参加してきたが、どんな状況でも最善を尽くし参加者に感動の瞬間を届けてくれる姿に、絶大な信頼をおいている。

快晴のもと出港!

AM 8:30

ウォッチングチーム・スイムチーム各々に船上スタッフの加藤さん(以下、ガイド)からルールや説明があり、さあ大海原へ出港だ!

奄美大島でのホエールアクティビティは、今後も継続して催行できるよう、毎年事業社でルールの見直しや改定が行われる。参加前に必ずその年のルールや参加条件を確認しておこう!

(奄美大島クジラ・イルカ協会URL:https://amamiwhale.jimdofree.com/

さあ、いよいよ海へ!

出航して30分も経たず、クジラが水面で息継ぎの際に行う潮ふき(以下、ブロー)を船長が発見!

一気に船内がザワつき慌ただしくなる。

すぐ目の前に!

スイムは基本的に、海中にいるクジラをガイドが先に入り見つけて目印となり、後からゲストが入水。または、クジラが船のそばにいる場合は全員同じタイミングで入水。どちらにしてもホエールスイムの研修を受けている協会認定ガイドがそばに居てくれるのも安心ポイントである。

今回は、後者のガイドと一緒に全員入水し、クジラがいる場所まで水面の音を立てず静かに距離を縮めた。

真上まで行くと海底に… 「胸鰭の白い部分がうっすら見える!」

だが人間の存在に気付いたようで、面影は見えたもののすぐに遠ざかってしまった。写真には収められず無念…。

しかし、ブローが見つからない日もある中、午前中に発見し海中で姿を見られたただけでも十分!

その後、いくつもブローを発見し船上からウォッチングはできるが、スイムできそうな個体には出会えず、1時間…2時間…と時間だけが過ぎてゆく。

神隠し?

PM 0:00

「腹が減っては戦はできぬ」という言葉があるように、集中力が切れる前に昼食でパワーチャージ。ホエールスイム時の昼食は、いつでもクジラに対応できるよう、おにぎりやパンなど手軽に食べれる軽食がオススメ。

みんなで談笑していると、船長が遥か遠くに大きなブローを発見!

今回の個体は大人クジラ。成体はブローの間隔が30~40分ある為、その場で気長に次の浮上を待ち続

ける。センサーでは船の真下で停まっていると標すが、昨夜の雨の影響か透明度が低く何回トライして

も全く見えない。

20~30mある個体なら、ボンヤリとでも見えるはずが、トライエンドエラーを繰り返すも全く見つからない。

神隠し?(頭の中で世にも奇妙な物語の音楽が流れ続けた。)

この日は穏やかな海況だったが、波や流れがあると、スノーケルにジャボジャボ水が入ってくる。こうした時、焦らず自分で対処できるようホエールスイムは参加条件が設けられている。

丁度その頃、親子クジラの目撃情報が入り、船長判断でこの個体への挑戦は見切りをつけて親子クジラを探しに行くことに。

この時点でPM2:30過ぎ。「きっと次がラストチャンス」全員が感じ取り、未だ見ぬ親子に最後の奇跡を願う…!

その瞬間は突然に…!

PM 3:00

残された時間は僅か。目撃情報を頼りに、だいたいの場所まで行くと微かな子クジラのブローを発見!

子クジラとのスイムは、今年からルールが更に厳格化された。再度ガイドから説明を聞き、全員で目立たぬよう藻屑の気持ちでスイムすることを誓う。船長が長年の経験から親子クジラの動きを読み、操船して絶妙なベストポジション・タイミングで全員を水中に入れてくれた。

親子クジラに気付かれぬよう、そっと全員で近付いていくと…!

ガイドが指さす先に…!

クジラは1年で親離れをむかえる。

目の前には親子が一緒に過ごす最初で最後の奄美時間が流れていた。

貴重な一瞬を覗かせてくれて有難う。

逞しく育って、また奄美にも来てね。

耐え忍んだ先に待っている感動

クジラの親子が海中奥深くへ潜っていく姿を見届け、顔を上げると奇跡の瞬間を共有した仲間たちが。

初めて顔を合わせたメンバーだが、朝から何度もトライアンドエラーを繰り返す内、気付けば同じ釜の飯を食べた仲間のような一体感が生まれる。

誰か1人が海中で慌てたり、先走って接近していたらこの瞬間は生まれていない。

時間ギリギリまで諦めなかったから見れた光景であり、全員が目の前のクジラファースト、一緒に見ているメンバーを思いやる気持ちがあって成り立つ瞬間だ。

SNSを開くと目に飛び込むCGかと思うような水中映像。その映像ごとに撮影者・船長・ガイドたちの物語が必ず裏にはある。

❝ 奄美の冬の海 ❞

今年も自分の目で見て感じて欲しい瞬間が広がっています!

番外編:念入りな準備と心得が成功のもと!抑えておきたいポイント4点

その1「忘れ物の確認は念入りにすべし!」

冬に海に入るということは想像通り寒い。ウェットスーツ以外にもインナーや防寒着・カイロを忘れずに準備。天気が良い日は帽子・サングラス・日焼け止めも忘れずに持っていこう。

各店レンタルの用意もあるが、突然クジラが現れる場合は素早い準備が求められるため、使い慣れたMy器材を持っておくのがお勧め。

その2「過信せず絶対に酔い止めを服用すべし!」

緊急時以外は帰港することがないため、船酔いしてしまうと念願のクジラに会えても動けず、地獄の1日となってしまう。今まで乗り物酔いをしたことがない方も過信せず、念には念を酔い止めの服用がお勧め。

その3「半日コースではなく1日コースで申し込むべし!」

半日で十分に感じるかもしれないが、実際は出港してから沖へ出て走り続けていると、あっという間に2時間…3時間…と経過している。半日コースだと帰路の時間を踏まえ捜索する為、捜索範囲が1日コースと比べて限られてしまうのである。

その4「スタッフ・クジラへの感謝を忘れない!」

時化の日も、雨の日も、極寒の日も、どんな状況でもお客様へ感動の瞬間を届けようと、どのショップも必死にクジラを探してくれる。この大海原でクジラを見つけ、安心してスイムできる個体を見極めるスタッフさんたちへ感謝を忘れず、なにより生息域にお邪魔させてくれるクジラにも敬意をもち、必ずルールを守って参加しよう!

ご協力:あまみこダイバー

あまみこダイバーのホエール船は、アットホームな雰囲気も魅力の1つ。1人で参加しても船上で過ごし、感動を共有すれば下船するときにはみんな友達!「来季も絶対またお会いましょう!」そう言って帰路につくお客様も多い。また、店舗が空港から車で5分の距離にある為、17時以降の便であれば終了後にそのまま飛行機で島外へ帰ることができるのも、忙しい方にとっては有難い。

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この記事を書いたフォトライター

Yumi

Yumi

都会が苦手な東京生まれ。高校卒業後は自然を求めて静岡の港街へ。更に海を求めて神奈川のダイビングショップに6年間勤務し、2025年に念願の奄美大島へ移住!まだまだ出会うモノ・コト全てが新鮮です!