奄美大島―COGYが広げる新しい旅の可能性

島景

2025/12/10

ペン

ショースタク幸子

エメラルドの海と亜熱帯の森に寄り添う奄美大島。ここで、旅のスタイルが静かに変わり始めています。
その変化の鍵を握るのは、足に障がいがあっても「こげる」特別な乗り物 COGY(コギー)。
ペダルを踏み出すたびに広がる景色、そして「もう一度自分の足で動きたい」という願いを叶える新しい車いすが、奄美の旅に自由と希望をもたらしています。

COGYの特徴

  • ペダル付きの車いす
    自転車のようにペダルがあり、足を動かすことで前進・後退・方向転換が可能。
  • リハビリ効果
    足を動かすことで脊髄反射や神経回路が刺激され、麻痺した足でも動き出す可能性があると報告されています。
  • 「あきらめない人の車いす」
    「もう一度自分の足で動きたい」という願いに応えるために開発され、歩行困難な方でも自力で移動できる自由を提供します。

体験談① 『奄美で紡いだ、永遠の夫婦の記憶』

大阪府堺市で古民家を改築し、宿泊施設を営む 小林香代子さん(53歳)。彼女はパーキンソン病を抱えています。
一方、ご主人は脳梗塞の後遺症による片麻痺を患いながらも、互いに支え合い、人生を歩んでこられました。

お二人が選んだ旅先は、香代子さんの母方のルーツが息づく 加計呂麻島
車いすのご主人と介護士でもある友人のサポートを受け、3人で西阿室やガジュマルの巨木、諸鈍長浜、スリ浜海岸を巡り、海亀との出会いも楽しみました。

帰路、奄美空港へ向かう途中で友人に勧められた「COGY」に挑戦。普段は車いすを使うご主人が、自ら足を動かしペダルをこぐ不思議な体験。ヒカゲヘゴが生い茂る道を700mサイクリングし、夫婦で久々に風を頬に感じる瞬間でした。

残念ながら、その5か月後にご主人は急逝。しかし香代子さんは語ります。
「奄美で主人が嬉しそうにCOGYをこぐ笑顔は、今も心に刻まれています。」

この旅は、夫婦にとって最後の大切な思い出となりました。

  • 最後の旅は、別れではなく、永遠に寄り添う記憶として奄美に残されました。
  • COGYが運んだ風と笑顔は、夫婦の絆を未来へとつなぐ贈りものとなったのです。
  • 奄美で紡いだ思い出は、人生の終わりを超えて、希望と愛の物語として輝き続けます。

その旅は「最後」ではなく、心に刻まれた「永遠」だったのかもしれません。

体験談② 『87歳女子旅、夢を叶えたCOGY』

神奈川県平塚市に住む 西村輝子さん(87歳)。度重なる病気で自立歩行が困難になり、電動車いすの購入を検討していました。
そんな時、起業セミナーで知り合った方から「COGYなら歩けなくても自分でこげる」と教えてもらい、試乗。自分の足で簡単にペダルを動かせることに驚きました。

その後、友人が奄美で行われる「全国真菰サミット」に参加すると聞き、「私も一緒に行きたい!」とリクエスト。
87歳・77歳・66歳の女子旅が実現しました。平塚市からCOGY、電車、飛行機を乗り継ぎ、奄美へ到着。

最初に訪れた あやまる岬では、緩やかな坂をCOGYで上り、目の前に広がるコバルトブルーの絶景に感動。

輝子さんは語ります。
「少し前まで旅行は無理だと思っていたのが嘘のようです。COGYと出会い、共に旅する友人と出会えたことで『夢は叶えるためにある』と実感しました。これからも夢や希望を持って旅を続けたい。」

結び

奄美大島で広がるCOGYの取り組みは、単なる移動手段を超え、旅そのものの可能性を広げています。
「行ける場所が増える」ことは、「人生の選択肢が増える」こと。

COGYとともに、奄美大島は新しい旅の未来を描き始めています。
足を前に押し出すだけでペダルが回り、誰もが自分の力で進めるよう設計された足こぎ車いす。
奄美大島のゆるやかな道や海沿いの景色を、風を感じながら走る体験は、従来の旅では味わえない自由をもたらします。

さらに、COGYを使って観光スポットを巡るツアーも実施され、足に不自由のある方々にも活用されています。
島全体が「誰もが楽しめる旅」を目指して動いているのです。

ペンアイコン
この記事を書いたフォトライター

ショースタク幸子

ショースタク幸子

奄美市住用町出身。2児の母。地域通訳案内士として奄美の観光に貢献できるように頑張ります!