奄美大島タンカンの収穫シーズン到来!歴史を繋ぐ農園で「結」の精神に触れる

島食

2026/02/05

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SATO

春の気配が近づく奄美大島。この時期、島内がソワソワと活気づくのは…そう、奄美の冬の主役「タンカン」の収穫シーズンが今年もやってきたからです!

今回は、70年以上の歴史をもつ和田農園さんへ、収穫のお手伝いにお邪魔してきました。

農園に足を踏み入れると、目に飛び込んできたのは一面のオレンジ色!

たわわに実ったタンカンの重みで、今にも枝が折れてしまいそうなほど。

その一粒一粒がキラキラと輝いていてワクワクが止まりません!

「うちは元々ポンカンを作ってたんだけど、昭和56年頃からタンカンに切り替えたのよー。」 そう教えてくれたのは、園主の和田さん。亡き旦那様のご実家であるこの農園を、今も大切に守り続けています。

「まずは食べてみて」。味を知ることから始まる収穫の時間

「まあ、まずは味を見てからねー。」と手渡されたのは、もぎたてのタンカン。

皮を剥いた瞬間にフレッシュな甘い香り!!一口食べれば自然と笑みがこぼれるほどの美味しさ…!!この味を届けるんだと思ったら、より一層気合が入ります。

奄美のタンカンは、ただ甘いだけではありません。

ほどよい「酸味」があることで、味に深いコクが生まれます。しかもビタミンCはみかんの約2倍!!一口食べれば、疲れも吹き飛ぶジューシーさです。

「パチン、パチン」と響く心地よい音。プロ直伝の「二度切り」に挑戦!

「はい、これを使って。切り方から教えるねー。」 園主の和田さんに手渡されたのは、収穫用のハサミ。奄美の宝であるタンカンを傷つけないよう、収穫にはコツがあります。

園主の和田さん

「まずは実から少し長めに枝を切り落として、その後にヘタのギリギリでもう一度カットする。ヘタの枝が少しでも残っていると、カゴの中で他の実を傷つけてしまうからね。」

一粒たりとも無駄にしない、丁寧なレクチャーを受けて収穫スタート!

最初は緊張してハサミを持つ手が震えましたが、慣れてくると「パチン、パチン」という小気味よい音が静かな山に響き渡り、いつの間にか作業に没頭してしまいます。

「昔はね、男の子はみんな小学生の頃から畑に駆り出されてたんだって。朝から畑仕事をしてから学校にいってたのよ。」

そんな昔話を聞きながらはさみを動かしていると、一粒のタンカンに刻まれた島の歴史が、手に伝わってくるようでした。

自然の厳しさも、明るく笑い飛ばして

しかし、その輝く果実の裏には、自然と対峙する農家の切実な苦労もありました。

「去年はね、鳥の被害が本当にひどくて全然収穫がなかったよ。でも、鳥と喧嘩するわけにもいかんでしょう?(笑)本当に困ったよ。」

さらに、島特有の激しい気象条件に驚かされるエピソードも。

「大きな水害があったときはね、徳之島から電話があって『あんたんとこの集荷カゴが、こっちの浜に打ち上がってるよ!』って。もう、本当にびっくりよー!」

濁流に流されたカゴが海を渡り、隣の島で見つかる。そんな想像を絶する困難さえも、和田さんは明るく笑いながら語ってくれました。自然の猛威を恨むのではなく、受け入れながら歩んできた強さが、その言葉から伝わってきます。

「辞めるに辞められない」理由とは?

お昼休みには、和田さん特製の「豚汁」が登場!一仕事終えた後の体にしみわたる懐かしい味。空の下、畑で食べるご飯ってどうしてこんなに美味しいんでしょう。

「ご近所さんが集まると、お茶タイムが始まってなかなか作業が進まんのよねー。でもそれが楽しみで(笑)」

そう笑いながら出してくれたのは、ご近所さんお手製の黒糖。

「もう歳だからいつ辞めようかと思うんだけど、みんなが『辞めるな』って言うし、こうやって手伝いに来てくれるし。それに私、体力測定がA判定だったのよ!これじゃ辞めるに辞められないね(笑)」

毎年収穫の時期になると、島内はもちろん県外からも親戚や友人がお手伝いに駆けつけるそうです。自然と集まって助け合う、奄美の「結(ゆい)の精神」

鳥の被害や水害があっても立ち上がれるパワーの源は、この温かな繋がりにあるのだと感じました。

ひと粒の向こう側にある「手間暇」

明るい奥様や、助け合いに集まるご近所さんたちの「結」の力が、タンカンのあの濃い味を作っているのかもしれません。

収穫が終わっても、選果や箱詰め、そして来年に向けた畑の管理と、気の遠くなるような作業が待っています。「収穫よりも、そのあとの1年の管理が一番大変。」という言葉に、一粒の重みを感じました。

手間暇かけて、笑い声と一緒に育てられた奄美のタンカン。 皆さんも見かけたら、ぜひその「元気の源」を味わってみてくださいね!

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この記事を書いたフォトライター

SATO

SATO

奄美市名瀬出身。高校卒業後関西へ上京し、2024年に奄美大島にUターン。海とお酒と奄美をこよなく愛する人間です!私の大好きな奄美の魅力をたくさんお伝えしていきます!