【奄美の夕日】神秘のサンセット風景「龍の目」~赤い光が灯る瞬間
島景
2016/04/13
麓 卑弥呼
奄美大島で、もっとも神秘的、あるいはもっとも見ることの難しい夕日、といえるのではないだろうか。
龍郷町円集落で出会える特別なサンセット。通称「龍の目」。
一年のうち、ごく限られた数日間のみにしか出会えない。
出会えることの難しさも相まって、実際に目にしたときにはその美しさと神秘性に、きっと息をのむはずだ。
「龍の目」の仕組み
「龍の目」は、龍郷町の海沿いを走る道路沿いの集落、円集落で見られるサンセットだ。
円集落にあるトンネル「かがんばなトンネル」は、トンネルにすぐ山が連なっているため、少し離れたところから見ると、まるで大きな動物のように見える。トンネルが顔で穴が目。山が丸い体。そう、龍郷町の名前からもインスピレーションを得て、それはまるで「龍」のようだ。
私たちは龍の目から出入りしているというわけだ。
このかがんばなトンネルは平成10年に完成。全長わずか29メートルという短いトンネルだ。
このトンネル、少し離れた場所から見ると、一年のうちごく限られた時期だけ、夕日の沈む軌道とトンネルが重なる。人工物と自然現象のなんたる偶然。観察ポイントには看板も設置され、いまや観察時期になると多くの人が訪れる観光名所になっている。
要チェック!「龍の目」の見られる時期と天気
春分と秋分の日の前後数日。これが龍の目現象が起きる時期だ。
春は2月~3月、秋は10月。このとき以外は、夕日の軌道が少しずつずれてくるため、うまくトンネルの穴に入らないのだ。
「年に2度も観察時期がある」と油断する事なかれ。
なかなか出会うことの叶わない要因は天気にある。
小さなトンネルの穴に落ちる夕日を見るためには、水平線上に雲がないことが条件。少しでも雲がかかっていると夕日はトンネルのなかに見えてこないのだ。
夕日が見られなかったときの写真がこちら。
このときは雲の気配を感じなかったために、きっと見られると思っていたのだが・・・
期待もむなしく、このあといくら待てども夕日は姿を現さなかったのだ。
やっと出会えた最高の光景
上記のような残念な日が幾度も続き、それでも時期になるたびに円集落に足を運んだ。
そして、ようやく出会えたのだ。待ち望んだ光景に。
最高の夕焼け。すでに夕日が龍の頭上部に沈んだ。期待が膨らむ。
夕日が現れた・・・・!
燃えるような赤い光をその目にたたえ、龍はまるで、生命を宿したかのようだ。
しかし、その光は儚い。すぐに光は下降していく。まるで龍がまぶたを閉じ、眠りにつくかのように。
まばたきもできないほどのスピードで起こる神秘的な情景。
機会があればぜひ、出会ってほしい。この島の美しさを実感するはずだ。
この記事を書いたフォトライター
麓 卑弥呼
ライター/しーまブログ編集長。東京都出身。大学時代に訪れた与論島にはじまり、縁あって奄美大島の新聞社に新卒で就職。さらに縁あって島人と結婚し、自らが島人となり奄美に完全に根を下ろす。フリーライターなどを経て2014年にしーまブログに入社し、現在に至る。