400年の歴史を誇る龍郷町•秋名集落の豊年祭「ショチョガマ」「平瀬マンカイ」
島唄
2016/08/25
トヨヤマ コトネ
龍郷町にある秋名集落では毎年旧暦の8月初丙の日にアラセツ(新節)の行事として「ショチョガマ」と「平瀬マンカイ」を行います。
山と海の神様(稲霊)を招き、来年の稲の豊作を祈願する国指定重要無形民族文化財として指定されている祭事です。
朝(ショチョガマ)•夕(平瀬マンカイ)と二つに分けて行われます。
夜明けとともに藁葺き小屋を揺り倒す「ショチョガマ」
毎年、山から木や竹を切りだして作られるショチョガマは、秋名集落南西部の田袋を見下ろせる場所に立っています。
ショチョガマの倒れる様子は稲穂が実りの重さに耐えられなくなり、畦を枕にしたことを表わしているそう。
夜明け前からチヂン(太鼓)を鳴らし、祝い唄を歌って日の出を待つ村代表の男たち。ショチョガマに乗れるのは男だけです。
日の出が近くなるとグジ(男の神役)が山の神様を招き、その後70~80人がショチョガマに乗り豊年歌を歌います。
歌が終わる度に「ヨラ!メラ!」という掛け声を掛け、日の出と同時にショチョガマを揺り倒すのです。
ショチョガマが倒れた方角で農作物の吉凶を占います。南向きに倒れると豊作。
倒れた後はチヂンを鳴らしながら八月踊りを踊ります。この時は女性が乗っても大丈夫です。
ネリヤカナヤの神を招き豊作を祈る「平瀬マンカイ」
同日の夕刻になると秋名湾へ集まり平瀬マンカイが始まります。
海のかなたの楽園という意味のネリヤカナヤから神を招き、五穀豊穣を祈る祭事です。
秋名湾の西岸にある「神平瀬(カミヒラセ)」と「女童平瀬(メラベヒラセ)」と呼ばれる二つの岩礁。
神平瀬には、ノロ役の5人(祝女)がチヂンを持って登り、神事を唱えます(ノロとは、琉球時代に国家行事を司った神人である女性のこと)。
その間、女童平瀬にはクジ•シドワキ(ノロの補佐役)が登り、マンカイ(招き)の手振りをし、歌に合わせて踊ります。
浜辺では集落民が集まり見物。祭事が終わった後はノロ役の方たちも集落民に混ざり、宴が始まるそうです。
ショチョガマ/平瀬マンカイは島津氏の琉球征伐時代から400年も受け継がれており、奄美で最も古いといわれています。
山や海に祈ること、自然に感謝するということ。
自然の恩恵に恵まれ生きてきた奄美の人々だからこそ行う祭事。
これからもずっと続いていきますように。
この記事を書いたフォトライター

トヨヤマ コトネ
フォトグラファー/しーま編集部。 奄美2世。大阪のフォトスタジオで勤務後、 幼少期から何度も訪れていた思いいれのあるシマに2014年移住。写真や言葉にするのが難しい奄美の美しさをどう表現するか日々模索中。