【夏の夜の島遊び】獲って楽しい、食べて美味しい! 「タンガ獲り」
島コト
2017/09/01
小海ももこ
大和村では、梅雨が明けた7月頃から納涼祭や夏祭りをする集落があります。ステージで余興や島唄が披露され、子どもたちが駆け回り、数は少ないけれど迫力満点の花火などで盛り上がります。
そこでは、お祭りらしい料理やおつまみを売る地元青年団の屋台があります。それらの屋台で、よく目にするのが「タンガの唐揚げ」です。
タンガは「タナガ」とも言い、川にいるテナガエビです。唐揚げは真っ赤で、身が詰まってて美味!
小さめのタンガは柔らかく、8cmくらい以上になると甲羅やハサミ部分が硬くなります。ビールに合うな〜なんて思い、よく食べていたのですが、実は地元の青年団が捕獲したものだということを聞いてビックリ!
それと同時に、こんな美味しいものが身近な川にいることに感激しました。
さて、大和村はほぼ山林で、国立公園の特別保護地区にもなった奄美最高峰の湯湾岳があり、大きくはないけれど透き通った清流がたくさんあります。絶滅危惧種のリュウキュウアユやルリボウズハゼなど貴重な魚が生息する場所もあります。
そんな美しい環境で育った美味しいタンガなら、実際自分でも捕獲してみたいと思うもの。ちょうど夏祭り前で、捕獲にいそしんでいるという大棚集落青年団のタンガ獲りに参加させていただきました。
集合は夜7時半。
タンガは昼間でも捕獲可能だそうですが、基本的に夜行性なので夜に獲りに行くそうです。真っ暗な小道を車で進み、川の近くで停止。一同は小さな網と、バケツと、強力なライトを装着。さっそく川に入って行きました。
正直、ハブの出没が恐ろしく、草むらや川に近付くことにためらいがあります。しかし、小さい頃からタンガ獲りに慣れ親しんできたメンバーと一緒なので、私も思い切って川に入ってみました。
足首ほどの川に入ると、メンバーはすぐに川面に顔を近づけ、あっという間に「取れた!」という声。
近づいて見ると6cm程度の元気なタンガが網にかかっていました。
私も網を握ってみたものの、タンガが見つけられません。「ほら、そこにいるよ」とか、「その石に大きいのが隠れたよ」とライトを当てて教えてもらうのですが、水の流れもあり、姿がはっきりととらえられるまで時間がかかります。
ようやく目が慣れて来て、タンガの姿を確認できるようになりました。しかし、網を近づけるといつの間にか逃げてしまいます。
こういう時は、上手な人の真似をするのが一番。他のメンバーの後を追いかけながら、手元を見せてもらいました。
まず、タンガはライトを当てると目が光るそうなので、それを見つける。静かに近づき、網を上からそっとかぶせる、すぐに網を動かさずにタンガがぴょんと跳ねるタイミングに合わせて網をすくう、タンガは後ろに進むから背後から仕掛ける、川が濁ったりタンガが見当たらなくなったりしたら数分動かずに電気を消して待つ、と言ったコツがあるようでした。
見よう見真似でやってみると……捕獲成功!
嬉しい瞬間です。ハサミに挟まれないように気をつけながら(指を挟まれた人は血が滲んでいました!)バケツに入れます。
その後は場所を変えて、さらに捕獲。あんまり獲れなかったな〜と言っていましたが、30匹以上は獲れていました。小さすぎるものは「また来年〜」と川に戻しており、自然と共に生活している地元の人の配慮を感じました。
7月に入り、暑い日が続いていましたが、足だけでも川に入り夜風に吹かれていると、とても涼しく爽やかでした。今度は明るいうちに獲りに来よう、その前に網を買わなきゃなと考えながら帰路につきました。
獲ったタンガは、毎年8月中旬(2017年は8月13日開催)の大棚夏祭りで唐揚げになって販売されます。
もちろん遊びに行きますが、誰かが私の獲った2匹を食べて、美味しいと思ってくれたら嬉しいです。
この記事を書いたフォトライター
小海ももこ
新潟県十日町市生まれ。地方紙記者、農業、バックパッカーなどを経て、旅行雑誌や旅ガイドシリーズの編集に携わる。同時に、野外フェスの企画運営や、NPO法人で海外教育支援、震災復興支援を行う。2016年4月から奄美大島に移住。大和村地域おこし協力隊に就任。