【奄美×歩け歩けのススメ】奄美群島をつなぐ自然歩道「奄美トレイル」を体験

島遊

2018/06/10

ペン

麓 卑弥呼

山の多い奄美大島での暮らしは、完全なる車社会です。うっかりするとすぐ運動不足になってしまい、東京からのIターン者としては、むしろ東京のほうがよく歩いていた…と感じます。

生活の上では車は必需品なのですが、車に慣れてしまうと、時折大切なものを見逃しているような感覚に陥ることがあります。

車を停め、ゆっくりと集落のなかを歩いて、集落のオジオバとあいさつを交わしたり。

森の中を歩いて、これまで知らなかったところに素敵な花が咲いているのに気が付いたり。

小さなかわいい商店を見つけて入ってみたり。

歩かなければ気が付かないことが実はたくさんあるのです。

DSC_2826

そうだ、歩いてみようと思ったあなたへ、2018年に開通した、奄美群島を歩く道「奄美トレイル」をご紹介します!

 

奄美群島をつなぐ道

「奄美トレイル」とは、鹿児島県が進める自然歩道のこと。

鹿児島県のホームページによると以下のように説明があります。

世界自然遺産 奄美トレイルは,奄美群島をつなぐ長距離の自然歩道です。
亜熱帯の森や,白い砂浜,珊瑚の石垣のある集落など,奄美ならではの自然や文化に触れあうことのできるコースを地域の方々と一緒に選定し,最終的にはそれらをつないで1本の長いルートを作ります。
平成28年度からコース選定を開始し,選定作業が終わったコースは順次開通します。

開通したのは、まず2018年1月に奄美市住用町。続いて2月に徳之島の伊仙町3コースと沖永良部島ルート6コースが開通しました。

 

住用町に誕生したトレイルとは

2018年1月。毎年恒例の「三太郎峠歩こう会」という、住用町で行われるウォーキング大会と同時開催で、開通式が行われると聞き、早速参加してきました。

 

世界遺産自然遺産のプリント入りトートバッグの写真DSC_2892

住用町に誕生したのは、4つのコース。

A 川内フナンギョの滝・内海コース

B 古道三太郎峠・西仲間コース

C マングローブ・山間コース

D 戸玉・市コース

川と山を有し、奄美大島のなかでも特に自然豊かな住用町を満喫するのに万全のコースです。

このなかで、開通式に用意されたのが④古道コース。

奄美市住用支所に多くの参加者が集まる中、奄美トレイル開通テープカットも行われました。

奄美トレイル開通テープカットの写真DSC_2777

さあ、スタートです!

歩いて古道の入り口まで向かいます。

トレイルレースに出ている人たちの写真DSC_2789

 

人々が踏み固めた「古道」に入る

三太郎峠古道の写真DSC_2794

小さな階段が11段。これが三太郎峠古道の入り口。

三太郎峠…かつて実在した畠中三太郎さんが、厳しい峠の頂上付近に茶屋を作って旅人を癒していました。いつしかそこは「三太郎峠」と呼ばれるように。

いまでもその名前は残り、トンネルには「三太郎トンネル」と名づけられました。かつて、旅人や集落の人々が行き来したという「古道」。

けして簡単な道のりではなく、ほぼ山のなかを歩く厳しい道です。それでもその文化・歴史的な背景を伝えたい、と住用の人たちの思いで、この道が奄美トレイルに設定されたそうです。

トレイルレースを歩く人たちの写真DSC_2800

この小さな階段が特別感を誘いますね。

さらには、階段を登る前に地元の方がお祈りを唱える場面も。山の神に、侵入をきちんと告げてお邪魔します。

自然を感じながら歩く写真DSC_2803

一列になって進みます。

 

すぐそこにある自然を感じよう

このコースでは、特に季節ごとに姿を現す植物に注目。

サクラツツジの写真DSC_2871

サクラツツジ。

サクラとツツジの両方の名前を持つのが面白いですね。そこかしこで真っ白の花が満開でした。卒業の時期に咲くので、シマでは「卒業花」とも呼ばれているそうです。

 

ホコリタケの写真DSC_2821

ホコリタケ。

ぷっくりと膨らんだ体をそっと押すと、真ん中の穴からポフッとホコリのようなものを吐きます。だからこの名前なのだそうです。

動物の生息痕を見つける写真DSC_2848

ここで、動物の生息痕も発見!

野ヤギとアマミノクロウサギのフンの写真DSC_2846

手前の長細いフンが野ヤギ、丸いものがアマミノクロウサギ。

野ヤギが増えることは望ましいことではないそうですが、国指定特別天然記念物であるアマミノクロウサギと同じ生息域で暮らしているんですね。

 

昔の旅に思いを馳せるひととき

途中、すてきな水場に出会いました。

植物をつたって水が流れる写真DSC_2855

ヒカゲヘゴ、クワズイモなどが取り囲む大きな岩をつたって、きれいな水がとめどなく流れていました。

神秘的マイナスイオンを感じられる写真DSC_2860

神秘的で、しっとりとした空気をまとった癒しの場所。

きっとかつてこの道を通った旅人も、ここで足を止め、のどを潤したのではないでしょうか。

 

そして、ようやく終着。

古道の入口の写真DSC_2879

東仲間側に降り立ちました。こちらにもちゃんと石碑が立っていて、古道の入り口であることがわかります。

三太郎峠の石碑の写真DSC_2882

 

それぞれの目的・体力にあわせたコース選定を

今回の古道ルートは、住用の4つのコースのなかで最難度のコースでした。雨が降ったら危険だし、ハブには常に要注意。一人でけして入らず、できればガイドさんと一緒に入ることをお勧めします。

ほかにも魅力的な3コースがあるので、通常はそちらをご体験ください。それぞれ所要時間や難度は異なります。コースの内容を確認したうえで、目的にあったものを選びましょう。

 

ペンアイコン
この記事を書いたフォトライター

麓 卑弥呼

麓 卑弥呼

ライター/しーまブログ編集長。東京都出身。大学時代に訪れた与論島にはじまり、縁あって奄美大島の新聞社に新卒で就職。さらに縁あって島人と結婚し、自らが島人となり奄美に完全に根を下ろす。フリーライターなどを経て2014年にしーまブログに入社し、現在に至る。

Related Articles 関連記事