奄美の旅行に適した季節は? 天気の専門家に聞いてみよう!
島コト
2019/01/22
小海ももこ
南国をイメージして奄美へ旅行に来てみたら、意外にも曇り空続き…。
「晴れていたら海がもっと綺麗なんだけどね」と島人に言われたことがある人も多いでしょう。
日本では、奄美大島以南が「亜熱帯」という気候区域に属しています。
その中でも奄美は独特の季節の流れがあり、天気があります。
そのため奄美をより楽しむには、奄美の季節や天気を知ることが欠かせません。
そこで、天気といえば気象庁。その気象庁に属する機関である名瀬測候所を訪ねてみました。質問に答えてくれたのは、予報官の佐々木康夫さんです。
Q1「奄美の亜熱帯海洋性気候ってどんなもの?」
亜熱帯は北緯20〜30度に位置し、熱帯と温帯の間のこと。
〇夏は暑く、冬は氷点下にならない
〇年平均気温が18℃以上
などの定義があるようです。
また、寒暖の差が激しい大陸性とは対照的に、寒暖の差が少ないのが海洋性。海があるため湿気が多く、暖まりにくく冷めにくいことが特徴だそうです。
0℃を下回ることはありません。また35℃以上の猛暑日も数日程度。内地の方が猛暑日の日数が多いのです。
確かに一番寒い1月の平均最高気温が17.5℃、最低気温が12.0℃。一番暑い7月の平均最高気温が32.3℃、最低気温が25.9℃です。
年間平均は、日最高気温が24.8℃、日最低気温が18.8℃と極端な温度差がありません。(観測場所:名瀬、統計期間1981〜2010年)
冬は暖かく、夏は暑くなりすぎず。これは理想的な気候ではないでしょうか?!
…といってもそんな理想的なことばかりではありません。次の質問に行きましょう。
Q2「奄美は全国的にも日照時間が短いって本当?」
南国のイメージがあり、日差しが強い奄美ですが、年間日照時間が短いという噂。
そこで地域別の年間日照時間を見てみると、
名瀬の平均が1359時間に対し、
那覇 1774時間
鹿児島 1935時間
福岡 1867時間
大阪 1996時間
東京 1876時間
と、やはり全国的にもかなり日照時間が短め。
また、月別の日照時間(1981〜2010年)では、5月126.7時間、7月209.7時間に対し、2月58.6時間と冬季の日照時間が極端に短いのです。
佐々木さん曰く、“冬型の気圧配置となって、東シナ海の暖かい海上に冷たい空気が流れ込み、低い雲を発生させます。この低い雲が、北よりの季節風によって奄美地方へ次々に流れ込むため日照は遮られ、他の季節と比較すると短くなる”とのこと。
Q3「梅雨の天候が強烈だと思うのですが他の地域に比べてどうでしょう?」
降水量は確かに多く、特に雨量は梅雨の6月と、台風が多い9月がダントツ。6月は南から湿った空気が入りやすく、梅雨の末期は停滞しやすいことからたくさん降るのだそうです。雨粒も大きく、内地の倍くらいなんだとか!
沖縄も同じ亜熱帯海洋性気候ですが、梅雨が少し短く、台風+前線の影響が少なく、冬場にあまり雨が降らないことから、奄美よりは降水量が少ないのです。
また奄美の6月の平均気温は26.0℃と高め(東京は21℃)。
さらに海が供給源になり空気が水蒸気を多く含むため、東京や大阪と比べて湿度の値が10%も高いのだとか。
蒸し暑さを示す「不快指数」は、温度と湿度の高さから求めるので、奄美の梅雨時期の高温多湿は強烈な印象を残すのかもしれないですね。
Q4「奄美特有の気象現状があったら教えてください」
台風の目がしっかり形成されているため、目に入るとピタッと晴れること。本州だと目が広がりすぎて潰れてしまっていることも多いそうです。
確かに台風の時に嵐が止んで外に出ると、夜空に星が見えることさえあります。
また、虹が多い気がするのですが、という質問には「通り雨が降りやすい地域だから」ということでした。
晴れていたかと思うと、急に雨が降ってきたなんて体験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。そんな時に周囲を見回して見ましょう。山や海の上に、半円の美しい虹がかかっていることがあります。
Q5「一番旅行しやすい季節はいつだと思いますか?」
佐々木さんは、暑すぎず寒すぎず、天候も安定している春と秋だと思われるそうです。期間は短いですが春は3〜4月、秋は10〜11月です。
また、旅の目的に寄って適した季節があります。海水浴が目的なら7〜9月がいいでしょうし、秋の伝統行事を見たいなら9〜10月、ホエールウォッチングをするなら12〜3月です。
ちなみに奄美は杉の木がないので、花粉症の人にとっては春に来島すると症状が楽になるかもしれませんね。
奄美の天気、少しはお分かりいただけたでしょうか。
四季それぞれに良さがあり、楽しみ方も様々です。奄美を旅行される方には、ぜひ目的に合った季節を選んで来て欲しいと思います。
今回、奄美の天気のこと、さらには島を取り巻く海や風にまで知ることができました。名瀬測候所の佐々木さん、ありがとうございました。
この記事を書いたフォトライター
小海ももこ
新潟県十日町市生まれ。地方紙記者、農業、バックパッカーなどを経て、旅行雑誌や旅ガイドシリーズの編集に携わる。同時に、野外フェスの企画運営や、NPO法人で海外教育支援、震災復興支援を行う。2016年4月から奄美大島に移住。大和村地域おこし協力隊に就任。