そうだ!奄美の年越しのごちそう「ウヮンフネ」づくりを体験しよう!!
島遊
2019/01/24
勝 朝子
奄美大島旅行をご計画中のみなさまへ、奄美大島で楽しめるさまざまな体験をご紹介する「そうだ!奄美大島で〇〇体験をしよう!!」シリーズ。
奄美大島を旅する楽しみは何でしょうか?キレイな景色?温暖な気候でリラックス?
「旅先での楽しみと言えば食事!」という方も多いのではないでしょうか?
そんな方におすすめなのが、「島の食×体験」プログラム!
そこで、第9回目の今回は、「旧正月・ウヮンフネづくり」をご紹介します!
ウヮンフネとは?
みなさん、年越しはどのように過ごされますか?年越し蕎麦を食べるという方がほとんどではないでしょうか。奄美大島では年越しの料理といえば「ウヮンフネ」。年越し蕎麦は食べず、家族で「ウヮンフネ」を食べて年を越します。
では一体、「ウヮンフネ」とは何なのでしょう?
奄美大島の言葉で、豚のことを「ウヮ」や「ゥワ」、もしくは「ンウワー」、骨のことは「フネ」と言います。間の「ン」というのは標準語の「の」という格助詞。
したがって、「ウヮンフネ」は直訳すると「豚の骨」で、ここでは「塩漬けした骨付きの豚肉を煮たもの」を指します。ウヮンフネヤセ(豚骨野菜)と呼ぶこともあります。
豚肉を塩漬けしたものは保存食として世界各地にありますが、「ウヮンフネ」もその一つ。
奄美大島では昔ながらの行事は旧暦で行うので、年越しのチャンスは新暦の大晦日と旧暦の大晦日の2回あるのです。
また、年末以外にも「ウヮンフネ」を体験したいという方のために、「NPO法人TAMASU」では、体験プログラムを用意しています。
ウヮンフネづくり体験!恵子先生に教えていただきます
体験会場は大和村国直(くになお)集落の公民館。名瀬市街地からは車で約25分です。
「ウヮンフネづくり体験」の指導しているのは、国直集落・区長の村上恵子(むらかみ けいこ)さん。
こちらはウヮンフネに使う、ツワブキ(島名:ツバシャ)。
ツワブキを山で採って葉を落とし、茎の部分を茹でてから皮をむき、水にさらしてあく抜きします。
流水に2日ほどつけないといけないので、ここまではあらかじめ準備してあります。
ツバシャの皮むきは地味で時間がかかる作業です。寒い時期は特に、黙々とやっているとつらいですね。
「こういうのはね、みんなで集まってワイワイ話をしながらやると楽しいのよ」と恵子さん。
確かに、年末になると集落でよく見かける風景です。
続いては豚肉。
お肉屋さんから購入した、ソフトボールくらいの大きさの骨付きの肉を使います。
写真では小さく見えるかもしれませんが、こちらで10キロもあるんですよ!
塩をたっぶり摺りこんで3日間置き、一晩水にさらしてある程度塩を抜きます。
こちらも時間がかかるため、あらかじめ塩抜きをしたものが用意されています。
この塩の抜き加減がウヮンフネの味に大きく影響するので、慎重にやらないといけないそうです。
しかしながら、細かな分量や手順は無し!目で見て、感覚で作業していく。難しいですね!
さあ、調理体験スタート!!
恵子さんのウヮンフネづくりの特徴は3つ。
1つ目は、豚肉は1kgぐらいの大きなかたまりを使うこと。
2つ目は、塩豚と野菜類は別々に煮ておいて、最後に合わせること。
そして、3つ目は野菜類の中に昆布、ツバシャ、ドコネ(大根)そして、フル(葉ニンニク)を入れること。
フルは成長途中の若いニンニクの葉でニラのような形をしていますが、香りはニンニクそのもの。奄美大島ではよく食べられる食材ですが、ウヮンフネにフルを入れるのは珍しいです。
里芋や田芋(水田などで栽培されるサトイモ)を入れる家もあります。
いざ、調理スタート! みんなで野菜を切ります。
ツバシャは長ければ半分に切り、ドコネは皮をむいて大き目にカット。フルは5cmぐらいの長さにカットします。
その間に大鍋に水を沸騰させて豚肉を入れ、一度茹でこぼします。
もう一度鍋に水を入れて沸騰させ、再度豚肉を茹でます。
茹で汁には豚の出汁がしっかりと出ているので、そこに野菜や昆布を入れて煮込みます。
味付けは、島ざらめと薄口しょうゆ。味をみながら加減していきます。
野菜が煮えたら豚を鍋に戻します。
最後にフルを投入して火が通ったら完成です。
いよいよ楽しみの試食会!家々に代々引き継がれるレシピの内容は?
味付けは家庭によってさまざま。
しょうゆ味が濃いところもあれば黒砂糖も入れて少し甘辛くしているところなど、それぞれの家の味があります。
「どれもウヮンフネであり、正解も間違いもない」と恵子さん。
まさに、家庭の味、ふるさとの味なんですね。
さて、いよいよお楽しみの試食タイム!
ツバシャ、塩豚、大根、昆布の絶妙な塩加減。そして、口の中でホロホロとほどける塩豚の旨みがなんともおいしい!
フルのパンチある香りも効いています。
時折鼻から抜ける塩豚の香り。「これ食べたからもう年が越せるね」と恵子さんが笑います。
みんなで作って食べるとさらにおいしいですね。
今年の塩加減はどうだったねー、というのも年末の欠かせない話題
味付けの分量を聞くと、
「あーん、いつもだいたい目分量なのよね。味見をしながら、これくらいだったねって」と恵子さん。
「毎年、食べ終わってから今年のはベストだったねーとか、ちょっと塩を抜き過ぎたかもねーとか、塩がちょっと強かったねーとか。その年のウヮンフネの品評会するのも年の瀬の行事の一つなのよ」
味付けは舌で覚えて帰りましょう。
持ち帰った味を、各家庭で変化させていくのもまた良いですね。
体験は「あまみシマ博覧会」限定!お申し込みはお早めに
奄美の伝統的な年越し料理ウヮンフネづくりを体験してみませんか?
ウヮンフネは飲食店などではほとんど食べられないので、とても貴重な体験になりますよ。
体験に参加される方の多くは、観光客や転勤で奄美に来られた方など。
女性の方が多いのかと思いきや、小学校高学年ぐらいから80歳くらいの方まで老若男女さまざまな方が参加されているようです。
ちなみに、ウヮンフネづくり体験は「あまみシマ博覧会」限定です。
お申し込みはお早めに。
【写真提供:NPO法人 TAMASU】
この記事を書いたフォトライター
勝 朝子
Webクリエイター、ITサポーター、奄美大島紬のポケットチーフ「フィックスポン奄美」代表。東京出身。縁あって奄美大島出身の夫と結婚。以来毎年奄美大島を訪れ、2012年奄美大島に移住。奄美の自然、人、文化、食べ物が大好きで、島の隅々まで日々探検中!