島の暮らしをディープに体験!「国直集落まるごと体験交流」

島遊

2016/12/01

ペン

中村 修

奄美の国直海岸

私たちの暮らす国直集落(大和村)は人口120人足らずの小さな集落。国定公園の宮古崎や国直海岸、アダン林やフクギ並木など美しい自然が広がる。人々は厳しくも豊かな自然と向き合う中で集落独自の文化を育んできた。年中行事や島料理、八月踊りなどの伝統文化は私たちのアイデンティティであり誇りだ。

奄美国直集落のフクギ並木

国直集落では2015年に集落会や民宿、商店、各種団体、NPO法人からなる「国直集落まるごと体験交流協議会」を設立。集落に残る自然や伝統文化を活用した体験ツアーを開催している。

体験ツアーは、「海辺で楽しむ」、「里山で楽しむ」、「集落で楽しむ」、「祭りを楽しむ」、「島料理を楽しむ」、「島人と楽しむ」といった6のカテゴリーからなり合計40種類のツアーを提供している。どのツアーも集落民と共に島暮らしを体験できる内容だ。

国直集落の体験ツアー:アオサとり

様々なツアーが開催される中、2016年春シーズンのイチ押しは「アオサVS海の幸ツアー」だ。生まれも育ちも(旦那様も!)も国直集落というお二人、中マサさん(76歳)と盛山小代子さん(76歳)の同窓生コンビが案内する漁業&調理体験ツアー。

奄美国直集落の体験ツアー:アオサ摘み

ツアーの前半は、潮の引いた海岸に出て岩に生えたアオサ(ヒトエグサ)を摘み取る。摘んだアオサは、砂やゴミを丁寧に取り除き2~3日乾燥させる。洗浄や乾燥工程は根気のいる単純作業だが、隠れた楽しみもある。作業中に弾むマサ叔母とサヨ叔母のおしゃべりだ。

奄美国直集落の体験ツアー:アオサを洗う 島のご婦人方は、つらい作業を決まって共同で行う。そして作業の間中常にしゃべり続ける。「昔はああだった」「この食材はこうすると美味しい」などたわいもない話や昔話を聞くことも体験ツアーの醍醐味だ。外側から観賞するのではなく、島民と語り合い、共に作業を行うことで自らが暮らすような時間を体験してほしい。

奄美伊勢海老を頬張る子ども

さて、ツアーの後半はお楽しみの調理&試食タイム。アオサは天麩羅などのメインの食材でも十分旨いが、他の食材の風味付けやコラボレーションは格別だ。なにより「アオサVS海の幸」と銘打ったツアーなのだから敵と戦わなければならない(笑)昨シーズンの敵は「カメノテ潮汁」「イカスミ汁」「イセエビ汁」と強敵揃いだった。今年はどのような敵と戦うのか、アオサの奮闘ぶりが楽しみだ。

奄美の豊富な海の幸

「島暮らしを体験してほしい」との思いでスタートした体験交流だが最近は変化が現れた。主催者である私たちが、むしろ来訪者に島の価値を気づかされることが多くなったのだ。新たな視点で足元に埋もれた大切なものを教えていただいた。これからも地元住民と観光客が一体となって島を守る活動であればいいと思う。

 

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この記事を書いたフォトライター

中村 修

中村 修

島おこしプランナー/NPO法人TAMASU代表。故郷の奄美大島、国直集落を愛するあまり会社を辞めNPO法人を設立。奄美大島の自然や文化を活用した島おこし活動に取り組む。現在は地域住民と共に「国直集落まるごと体験ツアー」を開催し集落民一体となったシマ(集落)づくりを目指す。

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