「ただいま」と言って訪れたくなる場所、奄美郷土料理居酒屋「一村」
島食
2016/03/10
はしぐち たけし
名瀬、屋仁川のやんご通りを進み右手にコンビニ、ライブハウスASIVIを見ながら、奥へ5ブロック行くと右手の角に緑で覆われた一角が現れます。
中は茶色を基調としていて、いろいろな場所にポスター、フライヤー、写真が貼られています。お店の歴史は20年以上なのですがその歴史を感じます。
このフライヤー等を見て、地元の人が集まり唄えや、呑めやと楽しんでいる姿が容易に想像つきます。私はタカダワタル的が気になってしょうがありませんでした。
マスターの栄 俊久さんとママのりつこさんです。
愛犬のアオサは看板犬で、ママは目に入れても痛くないくらいかわいがっています。
「一村」の屋号は奄美で絵を描き続けた孤高の画家、田中一村の生き方に感銘を受け、またマスター自身も絵を描くことが好きなため名付けられました。
村では奄美の郷土料理と黒糖焼酎が楽しめます。
アバス(オニカサゴ)とエラブチ(ブダイ)の唐揚げ、アオサの天ぷら、もずくの酢の物、油そーめんなど、たくさんの種類!
黒糖焼酎は、富田酒造場「龍宮」や山田酒造「長雲」などがあります。
その中でもマスターオリジナルの3品が印象的でした。
最初にトビンニャ(マガキ貝)パスタ。
トビンニャの出汁で炒めたパスタはすっきりとしたやさしい味です。
次にウナギのサネン蒸し。
島の人にとっては身近な花のサネン(月桃)の葉で包んで蒸したウナギの蒲焼を混ぜたご飯は、甘く上品で強い香りがします。なんだか懐かしく感じます。
そして最後に赤ウルメ一夜干し。
島を代表する食用魚である、赤ウルメをマスター自ら一夜干しにしています。
お刺身で食べるよりも脂乗りがよく、旨味が強いのです。これは焼酎を呑みながら食べるとたまらないこと間違いなしです。
呑みながらのママとのいろいろな会話、マスターの料理、店内の雰囲気、総じて何か「懐の深さ」を感じてしょうがありません。思わず店のドアを開けて「ただいま」と言いたくなります。
お酒が呑めても呑めなくても、ここはほっとできる場所ではないでしょうか。私は間違いなくまた「ただいま」と言ってお店を訪れたくなりました。
「懐の深さ」、ぜひ行って感じてみませんか。
この記事を書いたフォトライター
はしぐち たけし
フォトグラファー/ディレクター LUCE合同会社代表。奄美にルーツを持ち、東京にて、広告、ファッション、カタログ等のスチール、ムービーの企画、ディレクション、制作、撮影を行う。また、近年ルーツである奄美にたびたび戻り、撮影活動をしている。