奄美の海を後世に。海と生きるプロサーファー 碇山勇生
島人
2016/06/01
トヨヤマ コトネ
碇山勇生
JPSA 公認プロサーファー
パタゴニアサーフアンバサダー
龍郷町出身。赤尾木にあるサーフショップ「Can.nen Surf」を経営。
サーフ用品をはじめ、オリジナル商品を販売しているほか、サーフガイドやサーフィン教室なども開催している。
奄美のプロサーファー碇山勇生。生まれも育ちも奄美・龍郷町出身。
性格は一言でいうとハッピー。彼を目の前にすると不思議とこちらも自然体になってしまう。そんな彼の周りにはとってもゆるい、メローな空気が流れています。
いつも海が近くにある、そんな環境で育った彼がサーフィンを始めたのは必然的だったのかもしれません。
中学1年生の夏にサーフィンを始めて以来、その魅力にどっぷりはまりました。
学校前や放課後、いつも自転車を走らせて海へ向かい、サーフィン漬けの日々。
そんな中学生活を経て、プロになることを決意。
たくさんの大会に出場しましたが中々チャンスは来ません。何度も道に迷い挫折を繰り返し大会にも出場しなくなった時期もありました。
ですが、スポンサーや周りの人々に励まされ、もう一度頑張ってみることに。
それから血のにじむような特訓を重ね、23歳で念願のプロサーファーになりました。
プロになった後、奄美大島を拠点として活動するため、自宅でサーフショップ「Can.nen Surf」をオープン。
can.nen(きゃんねん)とは奄美の方言で「大丈夫」という意味だそう。
木のぬくもりたっぷりの店内はサーフィン仲間たちの協力のもと、作られています。
「サーフィンは自然に身を委ねるスポーツ。自然の恩恵を受けてからこそできることなので、このままの自然を次の世代に残さないといけない。」
そう語る勇生さん。
いつもサーフィンをしている手広海岸で護岸工事計画が進められようとした時は、見直しを求め、全国から署名を集めて工事中止を成功させました。
毎月1回、手広海岸のビーチクリーンも実施中。そのほか、ライフセービング、奄美唯一のジェットレスキュー隊に所属するなど、自然を守り、人を守る活動を行っています。
「最近すごく、サーフィン単体というよりサーフィンをしているライフスタイルが楽しいと感じる。」
サーフィンをするために朝早く起き、仕事前に海へ。夜も早く眠り、翌朝はまた海へ繰り出す……
そんな“サーフィンのために送っている生活”そのものを楽しんでいるそうです。
「日が昇る前に起きて、海に行く。真冬の朝の海はとくに身を清められる気がします。波に乗りながら見る朝日はすごくサイコーです!」
と、目をキラキラさせながら少年のように笑う勇生さん。
これからの奄美の海も彼がいたら、きゃんねん(大丈夫)。
この記事を書いたフォトライター
トヨヤマ コトネ
フォトグラファー/しーま編集部。 奄美2世。大阪のフォトスタジオで勤務後、 幼少期から何度も訪れていた思いいれのあるシマに2014年移住。写真や言葉にするのが難しい奄美の美しさをどう表現するか日々模索中。