自分で作る黒糖の味は格別!奄美大島の食文化「黒糖作り」を体験しよう

島遊

2020/03/08

ペン

田中 良洋

奄美大島 黒糖 奄美市 黒糖作り いも〜れ奄美民泊村 kokuto amami amamioshima

南の島の特産物、さとうきび。台風の季節を耐え抜き、暑さがやわらぐ頃には人の背丈を超えるほど成長します。

気温が下がり、糖分をギュッと蓄えたさとうきびは早ければ12月ごろから収穫を開始。刈り取られた大量のさとうきびは一本一本丁寧に絞られ、強火で熱せられた釜でじっくりと煮込むことで黒糖へと姿を変えます。

かつて、黒糖作りは集落ごとで行われていました。

「昔はディーゼルエンジンで動く機械でさとうきびを絞っていたんだよ。絞り汁の甘い香りにつられて子どもたちが寄ってきてね。でも機械に近づくと危ないからよく怒られてた。」

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そう話すのは、奄美大島の繁華街、名瀬から車で20分ほど離れた有良(あった)集落で黒糖作り体験を提供している奄美楽園リゾートの久井テリーさん。

奄美楽園リゾートでできる黒糖作り体験はどのようなものか。誰でも手軽に奄美の食文化を楽しめる黒糖作り体験の魅力をご紹介します。

 

搾りたてのさとうきびジュース

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今回使うさとうきびは『太茎種(たいけいしゅ)』と呼ばれる種類のさとうきび。今ではあまり育てられておらず、「元祖」とも言われるさとうきびです。まずは刈ったばかりのさとうきびをそのままかじってもらいます

「子どもの頃は歯で皮をむいてそのままかじってたけどね。」

さすがに歯で皮をむくのは固すぎるので、かじりやすい大きさに切ってもらいます。指の大きさくらいに切られたさとうきびをそのままガブリ!

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コツは口角側でさとうきびを噛むこと。前の歯ではなく、奥歯で押しつぶすように噛みます。すると、繊維の間からさとうきびの甘い汁がジワ〜ッと!少し植物の青臭さはありますが、それ以上に甘味が広がります。まさに自然そのものの味です!

次にさとうきびを絞っていきます。圧搾機にさとうきびを入れ、ハンドルを回す。太いさとうきびだと少し力がいりますが、女性の力でも簡単に回せますよ。

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歯車の間でさとうきびが押しつぶされ、下のトレイに搾りたてのジュースが!

飲んでみると、そのままかじるよりも植物の青臭さがなくなり、さとうきびの甘さをダイレクトに感じられます。口に入れた瞬間「甘い!」と感じるほどですが、しつこい甘ったるさではなく、フルーツのような甘さが味わえます。

強火でじっくり根気強く

すべてのさとうきびを絞り終えたら、絞り汁を煮詰めていきます。鍋に入れ、火力は全開に!ここからは焦らず、アクを取りながら、焦げ付かないように木べらでじっくり混ぜていきます。

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途中、何度か沸騰したようにグツグツとしてくることがあります。それでも火を弱めず、水分が十分に飛ぶまで根気よく混ぜるだけ。煮詰めていくと少しずつ色が濃くなり、においも香ばしくなっていくのを感じます。

このままでは水分がなくなってもドロドロになるだけで固まりません。固めるために石灰を入れますが、この量が大事なポイント。たくさん入れるとしっかり固まってくれますが、入れすぎると味にエグみが出てしまいます。

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混ぜ続けること約40分。はじめは鍋の半分くらいまでさとうきび汁がありましたが、底が見えるほどの量に減ってしまいました。さとうきびを黒糖にすることで量は10分の1になってしまいます。

一瞬で固まり、黒糖が完成

最後は一瞬の見極めが大事。火を止めて、空気を入れるように一気に混ぜ、まだ早いと感じたらまた火にかけて。こればかりは初めての人では分からないので、テリーさんにお任せします。

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さぁできた!

急いでトレイに流し込みます。まず、ひとつ目のトレイに。柿ピーを混ぜた黒糖を作ります。

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まだドロっとしているのが分かるかと思います。

さて、次です。2つ目のトレイに流し込んでいきます。

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わずか数秒しか経っていないのに、もう固まっている!!!

一気に固まる黒糖。最後は鍋にこびりついてしまい、スプーンでガリガリと削り取らないといけないほどでした。

では、さっそく出来たての黒糖をいただきます。

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うん、おいしい!

お土産屋で売っている黒糖はギュッと詰まっていますが、手作りの黒糖は押し固めていないのでサクサクしていて軽い食感。手に取るとまだ温かく、出来たての喜びを感じます。

柿ピー入り黒糖は、柿ピーのしょっぱさと黒糖の甘さが絶妙にマッチして、ついつい手が伸びてしまうほど!最初にかじったさとうきびの甘さが、煮詰めるだけでこんなにも変化するのかと驚きます。

自分の手作りというだけでおいしさは一層アップする気がします。できた黒糖は袋に分けてお土産に持ち帰ることも可能です。

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帰るまでにひとりで全部食べちゃわないかと心配になるほど。崩れて底に溜まった黒糖は料理にも使えるそうです。

体験時間はおよそ2時間30分。雨でも楽しめる体験プログラムです。さとうきびが採れる時期に限らず、通年で開催しています。ただし、体験する場合は前日までにご連絡ください。

奄美大島の文化に深く根付く黒糖。自分で作る黒糖の味はきっと格別で思い出に残る味になるでしょう。黒糖作りを体験してみたいと思った人は、奄美楽園リゾートのテリーさんに連絡してみてくださいね!

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この記事を書いたフォトライター

田中 良洋

田中 良洋

映像エディター/予備校スタッフ 兵庫県出身。奄美群島の文化に魅かれ、2017年1 月に奄美大島に移住。島暮らしや島の文化を伝えるために自身のメディア、離島ぐらし(https://rito-life.com/)を運営する。

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