加計呂麻島に伝わるユーモラスな仮面の芸能「諸鈍シバヤ」
島唄
2016/09/22
gooh
加計呂麻島の諸鈍(しょどん)集落に古くから伝わる芸能、諸鈍シバヤ。
諸鈍集落は、源平の戦いに敗れ落ちのびてきた平資盛(たいらのすけもり)が居城を築いた場所と伝えられており、集落の入口には、平資盛を祀った大屯(おおちょん)神社があります。
諸鈍シバヤの「シバヤ」は一般に「芝居」がなまったものといわれており、平資盛が土地の人との交流を深めるために伝えたのが始まりといわれています。
諸鈍シバヤは、旧暦の9月9日に開催される「大屯神社祭」で披露されています。
国の重要無形民俗文化財に指定されており、毎年島内外から多くの見物客が訪れます。
諸鈍シバヤの大きな特徴は、演目のすべてが、シバヤ人衆(にんじょう)と呼ばれる集落住民の男性のみで演じられること。
シバヤ人衆は、カビディラとよばれる紙のお面を着け、頭には陣笠風の紙笠をかぶります。
カビディラは手製で、ひょうきんなものや凛々しいものなど、1つずつ表情が異なります。
お気に入りのカビディラを探すのも楽しいかもしれません。
諸鈍シバヤは、リュウテ(囃子、三味線を担当する人たちのこと)の伴奏に合わせて演じられる11の演目で構成されています。
演目の内容は、ユーモラスな動きで見物客の笑いを誘う寸劇や華やかな踊り、人形劇などバラエティに富んでおり、見ていて飽きません。
各演目の前には、紋付き袴に山高帽をかぶり白いひげをたくわえた翁による演目の説明があり、初めて見る方にも内容がわかりやすいよう工夫されています。
諸鈍集落は太平洋に開いた湾の奥まったところにあり、琉球との交易が盛んだったころは、交易港として栄えていました。
交易によって多くの人が出会い交わることによって、諸鈍シバヤは、南方の琉球文化と北方の大和文化が入り混じった諸鈍集落独自の芸能として定着していったと考えられています。
加計呂麻島の小さな集落で年に一度だけ披露されるユーモラスな芸能、諸鈍シバヤ。
多くの人や文化が出会い交わっていた、かつてのにぎわいに想いを馳せながら観ると、より深く心に残ることでしょう。
この記事を書いたフォトライター
gooh
事務職/ライター/元ダイビングインストラクター。はじめて島の海で泳いだ日から島の海の美しさのとりこになり、単身で移住してしまった奄美3世。趣味はスクーバダイビングと写真撮影、そして旅。休みの日は、カメラ片手に海に入ったり、ドライブをしたり、美味しいものを食べ歩いたり。まだまだ島を探検中の新米ライター。大阪府出身。