太平洋と東シナ海、二つの海を間近に感じる「さとの家」
島宿
2016/09/01
別府亮
奄美大島の地図を見ると、首のように細くなった部分があります。両側を海にはさまれた龍郷町の赤尾木集落。そこに「さとの家」はあります。
赤尾木集落の両側の海岸は、太平洋側が東海岸で、東シナ海側が西海岸です。
民家が集中しているのは西海岸になり、国道58号線から海に向かっていくつもの路地が走っています。その路地の一つ(「さとの家」の看板があります)を海の方へ入り、集落内を進むと、海岸のすぐ手前に「さとの家」の姿が見えてきます。
さとの家の魅力はなんと言っても、そのロケーションです。オーナーが「この風景に魅せられて決めた」と言う、夏の赤尾木西海岸。
その昔、隕石が落ちて出来たという説があるほど海岸線が丸くなっており、別名「クレータービーチ」とも呼ばれています。
南風が吹く季節になると、穏やかな海面を見せるようになる東シナ海側。中でもクレータービーチの湾内はひときわ静かです。
部屋の海側に窓があり、2階は高い視線からのオーシャンビューを味わえます。
1階は海岸植物の向こうに海を見るかたちになりますが、バルコニーからそのまま庭を通って砂浜に出られるのです。
海まで徒歩数秒!
眺めを取って2階にするか、海までの近さで1階を選ぶか実に嬉しい悩みです。
(下の写真:2階バルコニーからの眺め)
さとの家の部屋はアパートのような造りになっています。バストイレはもちろんのこと、簡易キッチンが付いている部屋もあるので”奄美で暮らすように滞在する”こともできるでしょう。リピーターが多いのもうなずけます。
「お母さん帰ってきたよ」なんて言ってくるのよ、と話すオーナーの笑顔には、あたたかい人柄がにじみ出ていました。
奄美は風によって海の表情が変わります。おおざっぱに言うと、夏場は東シナ海側が穏やかで太平洋側が荒れ、冬場はその反対。嵐の真っ只中でも無い限り、どちらかの海は穏やかな顔をしています。
さとの家は両側の海がとても近いので、すぐ隣の東シナ海側を楽しみつつ、ちょっと移動して太平洋側も味わえます。常に潮風を肌に感じながら、奄美の海を満喫できることでしょう。
この記事を書いたフォトライター
別府亮
写真家。1974年生まれ。生活圏のすぐそばでダイナミックな表情を見せる奄美の風景が、主な被写体。とはいえ頼まれれば何でも撮ります。シャッターを切っている時が一番幸せ。毎日の撮影記録はHP「奄美大島探検マップ」(https://www.amamicco.net/)にて公開。奄美生まれ奄美育ち奄美大島在住。