夕陽の名所「国直」で、福を呼ぶフクギの並木に願いを込める
島景
2016/05/21
小海ももこ
奄美市名瀬から車で、海岸沿いの県道79号線を西に走れば、30分くらいで大和村に入ります。
大和村に入ってすぐ、海に突き出た宮古崎をすぎ、カーブを曲がると展望台があって、眼下には白い砂浜が美しい国直集落が見えます。
国直海岸は、白い砂浜が美しく、アダンの下に天然記念物のオカヤドカリが集い、ウミガメが産卵に訪れるほど豊か。
真西に向いて開かれているため、夕陽が正面の海に落ちていくのが見えます。天気が良くても、曇っていても、地元の人は防波堤でビール片手に、飽きることなくその海を眺めます。
国直は、美しいビーチと夕陽の他に、名物がもうひとつ。
それはフクギの並木です。フクギは、高さ10〜20メートルにもなる常緑樹で、生け垣などに使われています。
国直にはこのフクギが多く残っており、見事な並木道ができています。並木は一本だけではなく、集落を歩けば、ふっとしたところで出会うこともあります。
吸い込まれるように並木道に入れば、きれいに掃き清められた小道が続いています。海からの涼しい風が通り抜け、汗もすっと引くようです。
また、フクギは漢字で、福木または福樹と書きます。
フクギには火事を遮る効果があったり、木の精霊に祈りを捧げフクギの葉に願いごとを書き入れると福が来るといいう言い伝えがあったりします。葉っぱがふたつ揃って出てくることから、夫婦円満のご利益があると言われることもあるとか。
最近は、フクギの並木を歩くと、白いペンでお願いごとが書かれた葉っぱを見かけます。葉っぱが落ちたら願いが叶うかも、なんて声も聞きました。
平成8年から国直に移り住んだ重照代さんは、フクギで草木染めをしています。
フクギを煮出した染め液で、優しい黄色から、目の覚めるような橙色まで染めることができます。その色は、まさに幸せを色にしたような色。しかも、染め液は甘い良い香りがします。
重さんは、フクギの他に、車輪梅やセンダン草など、近所に生えている60種類の草木で染めものができるそうです。
「てるぼーず」というお店を営んでおり、染物体験をはじめ、美味しいコーヒーや、大和村名産のすもものシロップがかかったアイスクリームも食べられるので、興味がある方はどうぞ。
この日は、雨上がりの後の散策でしたが、濡れているフクギの並木はしっとりとしていて、清々しい気持ちになりました。
もし国直海岸に夕陽を見に行くのだったら、夕陽を待つまでの間、集落内のフクギの並木を散策することをおすすめします。
この記事を書いたフォトライター
小海ももこ
新潟県十日町市生まれ。地方紙記者、農業、バックパッカーなどを経て、旅行雑誌や旅ガイドシリーズの編集に携わる。同時に、野外フェスの企画運営や、NPO法人で海外教育支援、震災復興支援を行う。2016年4月から奄美大島に移住。大和村地域おこし協力隊に就任。