見つけた!レトロなバス停とガジュマルに棲む、奄美の妖怪・ケンムン
島景
2016/05/23
麓 卑弥呼
宇検村タエン浜のサンセットを見に行く前に、気軽に足を運べるポイントを紹介したい。
そのひとつが、宇検村の中心地・湯湾集落から近い田検集落にあるガジュマルだ。
奄美大島内には巨大なガジュマルがいくつも存在するが、里に近く、比較的見やすいガジュマルがある。そのなかでもおすすめのひとつが、田検のガジュマルだ。
フォトジェニック・ガジュマル
ここのガジュマルはバス停に寄り添うように生きている。
コンクリートでできた素朴なバス待合所の上に気根を垂らすガジュマル。海沿いの風景とあいまって、思わず写真をとりたくなるようなフォトジェニックなスポットだ。
天気がよくて、静かで、ひたすらにのどかで、鳥の声が聴こえる。
街である名瀬からここに来ると、時間というか、時空間自体が違っているように感じてしまう。もともとゆっくりしている「シマ時間」が、さらに速度をゆるめているのを肌で感じるのだ。
ガジュマルの裏に回ってみると・・・
あれ?!
ケンムン発見!!(笑)
当たり前のように横になって海を眺めているケンムン。道路側には何の表示もないので、裏に回ってみないと気づかないはず・・・
ケンムンとは奄美の妖怪。沖縄で言えばキジムナー的な存在であり、本土の河童とも比較されることがある。
山に棲み、見かけは人間の子どもに似ている。
地域によってさまざまな伝承が残っていて、目撃例は多数。古い時代だけではなく、今でも「ケンムンを見たことがある」と話す人に時折出会うことができる。
イタズラや悪さをする少し困った存在である一方、「山を守る精霊」という認識もあるのだとか。
島の人々にとってケンムンとは、島の巨大な自然とヒトとを結びつける、接点とも言うべき存在であるのかもしれない、と思う。
宇検村では特にケンムンの伝説が多く残っているのだという。
「ケンムンが舟にのりこんできた話」が書かれていた。本当に、なんとも興味深い。
隠れケンムンを探せ!
田検ガジュマルのほかにも、もう3箇所、ケンムンが隠れているスポットがある。
ぜひ自分で発見をしてほしい。ヒントは、これまた見事なガジュマルの袂だということ。
同村では今後もこうしたケンムンパーク設置を進めていく予定なのだとか。
自然景観を壊すことなく、シマめぐりを楽しめるちょっとした遊び感覚が楽しい。
この記事を書いたフォトライター
麓 卑弥呼
ライター/しーまブログ編集長。東京都出身。大学時代に訪れた与論島にはじまり、縁あって奄美大島の新聞社に新卒で就職。さらに縁あって島人と結婚し、自らが島人となり奄美に完全に根を下ろす。フリーライターなどを経て2014年にしーまブログに入社し、現在に至る。