奄美自然観察の森で出会う、奄美大島の動植物【秋~冬編】
島コト
2016/10/28
奄美自然観察の森 自然観察指導員 川畑 力
春~夏の植物は綺麗さで目を引きますが、秋~冬の植物は形や花が出る部分の面白さで目を引きます。植物の面白さを求めるなら私は秋~冬をお勧めします。

オキナワテイショウソウ:秋の終わりから冬にかけて開花します。白いため非常に目立ちます。
自然界にとって重要な季節 奄美の短い秋について
秋は動植物にとって非常に重要な季節です。仲間を増やすために多くの植物は実を付けますが、実ができると生き物たちが繁殖のためにそれを食べます。
秋に食料を蓄え、エサが不足する冬に備えることはもちろんですが、何よりも子孫を残すためにエサを探して活発に行動します。

アサギマダラ:秋になると渡ってくるチョウです。全国に愛好家がいます。
生き物たちにとっては、恵みの季節であると同時に確実に子孫を残せるかどうかを左右する最も重要な季節になります。

アマミアオガエル:冬に池などの水辺に産卵します。
ドングリなどの植物がたくさん実を付けるのは当たり前ですが、その中でも特にシイノキがたくさん実(椎の実)をつけないと、イノシシ等が人里に下りてきて農作物等を食い荒らしたりもします。
春~夏編でお話ししましたが、ここ「奄美自然観察の森」をはじめ、奄美大島全体の生態系を支えているのは椎の木です。生き物はもちろん、私たち人間にとってもやはり大事なんだと、改めて認識させられる季節でもあります。
冬の見どころ①:野鳥とヒカンザクラ
冬になると天気次第ではありますが、空気が澄んでいるため早朝からは日の出がくっきりと見えます。

初日の出:晴れているときれいに初日の出が見られます。
日の出とともに野鳥が営巣を行ってきますので観察しやすくなってくるうえに、遊歩道を歩くとたくさんの椎の実が落ちているのを目にします。

アマミシジュウカラ:メジロに交じって観察できたり、遊歩道を歩いていると観察できます。小さな鳥ですが非常に観察しやすい鳥です。
さらに桜並木では冬の訪れを告げるヒカンザクラが開花をします。

ヒカンザクラ:奄美大島で桜と言ったらこれです。非常に人気でこれを目当てにやってくる人も多いです。
ヒカンザクラは龍郷町の町花として指定されています。年末から開花し始め、2月中旬ぐらいまではヒカンザクラの花見が楽しめます。
奄美自然観察の森は長雲峠と呼ばれる場所にあるのですが長雲峠には約1000本のヒカンザクラがあります。奄美自然観察の森の敷地内に260本があり、満開を迎えると非常に綺麗で見ごたえがあります。
さらにヒカンザクラの花の蜜を吸いにリュウキュウメジロなどの野鳥が同時に観察する事が出来ますので、つい時間を忘れて見入ってしまいます。

リュウキュウメジロ:本土のメジロに比べると少し小さく色も地味です。ヒカンザクラが開花するとたくさんのメジロが蜜を吸いにやってきます。ヒカンザクラが開花すると必ずと言っていいほど観察することができますよ。
冬の見どころ②:個性派植物たち
ヒカンザクラだけが注目されがちですが、冬は非常に個性的な形の花が開花します。
食中植物のように見える植物や葉っぱから直接花が出てくる植物、

リュウキュウハナイカダ:冬に葉っぱから直接花が出てくる面白い植物です。
リュウキュウウマノスズクサ:食虫植物のように見えますが、普通の花です。ツル状の植物です。冬に開花します。
さらには水戸黄門の葵のご紋のモデルになった植物など非常に個性的な植物が開花しますので、時間と寒さを忘れて楽しめると思いますよ。

ヤッコソウ:椎の木の根っこに寄生している植物です。秋に根っこから花が顔を出します。ヤッコさんのように見えることからこの名が付けられました。奄美自然観察の森の植物で1,2番の人気者です。多くの人が観察に訪れます。
季節ごとに移り変わる奄美大島の動植物が楽しめます
このように春夏秋冬と一年を通して奄美自然観察の森では動植物や景色等が楽しめますので、ぜひ一度訪れて奄美の自然を体感してみてはいかがでしょうか?
園内ガイドはもちろん園内野鳥撮影ポイントや龍郷町の観光スポット等もお教えしております。ガイド希望の方は事前にご予約ください。
お気軽に訪れください。
奄美自然観察の森 0997-54-1329
鹿児島県大島郡龍郷町円1193
この記事を書いたフォトライター

奄美自然観察の森 自然観察指導員 川畑 力