島の民泊&自然学校!奄美市住用町のヤムラランドで遊んで泊まってきた【後編】

島宿

2017/08/21

ペン

田中 良洋

宿泊と自然や文化体験がセットになった、楽しいプログラムを提供しているNPO法人すみようヤムラランド すみよう体験民宿「モダマの会」。

前回はタナガ獲り体験をしていた様子をお伝えしました。

後編の今回は、宿泊してきた様子をお伝えします。

奄美の民宿を営む笑顔の女性

 

 

パンの木・しょうてん庵

 

泊まったのは、奄美市住用町西仲間集落にあるパンの木・しょうてん庵
こちらは写真の和田さんのお住まい。現在、和田さんが一人で住んでらっしゃるところで民泊の許可を取り、今年から民泊を始められたようです。

パンの木というのは、この家だけに生えている珍しい木の種類です。
パンは焼くパンとは関係ありません。クワ科の植物で、実はなりますが日本では食べる習慣はないようです。

奄美市住用町西仲間集落にあるパンの木

 

しょうてん庵とは、今は亡くなられてしまいましたが、和田さんの旦那様が勝典(かつのり)さんだったので、名前を訓読みにしてしょうてん庵と名付けられたそうです。

昔はお子様が4人住んでいたとあって、部屋数も多くとても綺麗でした。
最大で5人までは宿泊可能だそうです。

広いリビングにはご家族の写真もあり、まるでおばあちゃんの家に遊びに来たかのようなホッとする居心地の良さがありました。

民宿のリビング

 

今回案内されたのは2階のお部屋でしたが、冷房もありますし、テレビも付いていてとても快適でした。

民宿の寝室

 

目の前に商店もあり、飲み物やカップ麺ならすぐ買えるのも便利です。

昔ながらの商店

 

 

晩御飯は和田さんの手料理

 

前編でもお伝えしましたが、晩御飯は昼間に獲ってきたタナガの唐揚げ、和田さんが育てた野菜の天ぷら、野菜の煮物など、たくさんの手料理を振る舞っていただきました。

料理はどれも愛情が感じられる優しい味。とても美味しく、ボリュームもあって大満足でした。

奄美の手作り晩御飯

 

ちなみに下の写真は郷土料理のフワフワ。エビをミキサーですり潰したものを汁に入れてます。

その名の通り、味がフワフワになっていて、出汁がきいておいしかったです。

奄美の手作り朝御飯

 

朝ごはんもボリューム満点。島のパッションフルーツもいただきました。

奄美の文献がそろう本棚

 

 

奄美市住用町を案内してもらいました

 

料理がおいしいとビールも話も弾み、和田さんとたくさんお話させていただきました。

驚かされるのが和田さんの知識量!!!
元々、旦那様がいろんな文献を集めるのがお好きだったようですが、それを読み込んで勉強されていて、住用町の文化や歴史、自然動物など何を聞いても答えてくださいました

奄美大島の天然記念物アマミノクロウサギ

 

話の中で、奄美大島の天然記念物、アマミノクロウサギをまだ見たことがないと言うと、「じゃあ今から見に行きましょう」と連れて行ってくれました。

和田さんは、アマミノクロウサギを守るためのパトロール活動もされているようで、頻出する場所や、探すときに気をつけることも丁寧に教えてくれました。
ちなみに探すときは、間違って轢いてしまわないようスピードは落として探してくださいね!

 

15分ほど山道を走ると・・・

 

 

いました!!!

 

奄美市住用町

 

道端で草を食べているアマミノクロウサギを発見!!!
警戒していないのか、ライトを照らしても逃げませんでした。

結局この日は、6匹ほど見つけることができました。

 

次の日には集落を案内していただきました。

奄美市住用町を案内する女性

 

昔の集落がどんな姿だったのか、琉球の文化が残っているところや集落の伝統的なお祭りについて教えていただきました。
住用町では、昔から厄払いと豊年を願い、旧暦の8月15日に悪綱引きという伝統行事があるようです。

年々、観光客の参加者も増えているようなので、こちらもぜひ参加してみてください!

 

 

奄美市住用町への想い

 

和田さんに、NPO法人すみようヤムラランドのことや住用町のことについて話を聞いてみました。

NPO法人すみようヤムラランド和田代表

 

田中「NPO法人すみようヤムラランドのヤムラってどういう意味なんですか?」

 

和田さん「やむららんどで一つの言葉なの。方言で、やむららんどぉ、というとやめられないほど最高だぞ、という意味になる。それにランドをかけてヤムラランドとしたの。」

 

田中「ヤムラランドで一つの言葉だったんですね!なんでこの活動を始めようとしたんですか?」

 

和田さん「住用町にお金が落ちるようにしたかったの。住用町は数年前に川の氾濫の被害があって、集落を出て名瀬などの市街地に出る人が増えた。昔は宿もたくさんあったんだけど、交通の便が良くなって住用に来る人は名瀬に泊まることが多くなったし、ガイドする人もほとんど名瀬や瀬戸内の人。住用にお金が落ちる仕組みが減っちゃってるの。だから民泊や体験ツアーをやろうと思ったんです。」

 

田中「住用のことを想って始められたんですね。」

 

和田さん「本当はね、子どもたちに帰ってきて欲しいと思って。やっぱり帰ってきたくても島では仕事がないし、暮らしも大変だと感じて戻ってこれない人は多い。でも、私がこうやって仕事を生み出せれば、自分もやってみようかなと思う人が増えてくると思う。島の人が戻ってこられる環境を作りたいし、自分の子どもたちも戻りたいと思ったときに戻れるようにしておきたい。

 

田中「それが島のこれからに繋がりますね。」

 

和田さん「住用は、エビは獲れるし野菜は育つし、食べ物の自給自足ができるとてもいい場所。ここでの生活を私が楽しんでいれば、きっと島の生活はやっぱりいいな、と感じて戻ってきてくれる人もいると思う。だから私は、いつまでの楽しくヤムラランドをやっていきたい。」

 

見た目からは感じられませんが、和田さんはもう70歳を超えてらっしゃいます。
いつまでも元気で勉強熱心な姿の根底には、集落や集落の人たちのことを想う愛が感じられました。

 

海、山、川の大自然に囲まれた奄美市住用町にあるパンの木・しょうてん庵。
そこには、田舎のおばあちゃんの家に遊びに来たような懐かしさがあります。
夏休みに、子どもを連れて里帰りをする感覚でぜひ、遊びに行って欲しいです。

 

看板猫のてんちゃんも、あなたが来てくれるのを待っていますよ!

青い目の看板猫のてんちゃん

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この記事を書いたフォトライター

田中 良洋

田中 良洋

映像エディター/予備校スタッフ 兵庫県出身。奄美群島の文化に魅かれ、2017年1 月に奄美大島に移住。島暮らしや島の文化を伝えるために自身のメディア、離島ぐらし(https://rito-life.com/)を運営する。

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