奄美の甘味、超速タンカンジュース【住用町】
島遊
2019/03/22
いもくりかのこ
昔から美味いお蕎麦の秘訣は「挽きたて、打ちたて、茹でたて」などと申します。野菜だったら「採れたて」、お餅は「つきたて」、パンも「焼きたて」がいい!
ファーストフード店で、「只今コーヒー入りました~おかわりいかがですか~」なんて声がかかりましたら、「よっ!待ってました!!では一杯!」という気持ちになりますね。コーヒーならば「挽きたて、淹れたて」。
いつの時代も「○○したて」というものに惹かれてしまう私たち。
これってつまり「新鮮」だからですよね。
さ、ここで、
その新鮮さを極めた「タンカンジュース」のご紹介。
木からタンカンを収穫して
→切って
→絞って
ジュースになるまで約7分。
ごくごく飲みほして、8分。
はい、\大!満!足!/
酸味が少なく甘味たっぷり♪ 果汁もたっぷり。なので何も加えず100%のフレッシュジュースができるのです。
そんな体験は毎年2月限定の体験プログラムです。
お問い合わせは、「NPO法人すみようヤムラランド」まで!(詳細情報は最後に)
「タンカン」とはどんなもの??
みかん、キンカン、ポンカン、タンカン・・・。そう、柑橘類の一つです。
原産地は中国の広東省。その後台湾に広まり、日本へは南西諸島を経由して明治の後期にはいってきたそうです。
南方系の柑橘類。そして鹿児島県は日本全体の生産量の80%を担っているそうですよ。
鹿児島県の中でも、屋久島と奄美大島がタンカンの産地なのです。
収穫シーズンになると、青果店の前に所狭しと並んでいます。贈答用の箱入りはもちろん、タンカンの大きさ別に分けられて、キロ単位で透明の袋に入っていたりします。島の人たちが島外の親戚、友人に大量に発送するする光景もこの時期の風物詩。タンカンの発送が多すぎて、郵便局の窓口では「通常よりも発送に1日多くかかりますので・・・」、といったおことわりを言われることも。
奄美を代表する果実はいろいろありますが、タンカンも代表格の一つなのです。
その産地のひとつに奄美大島の中部・奄美市住用町があります。
50年ほど前、稲作に代わる農業が何かないかと、鹿児島本土から持ってきたタンカンの苗が意外と土地に合っていて、産地に成長したそうです。
奄美大島での農業は台風との戦いでもあります。強風からいかに枝や実を守るか。2018年の大型台風24号のすさまじさも記憶に新しいところだと思います。では、2019年2月の収穫具合はどうか?
調べてみると、奄美大島で住用町と同じくタンカン栽培が盛んな大和村は、どうやら「収穫量が少ない」とのこと。
しかし一方で住用町は豊作。あれ??どういうことでしょう??
実は、果樹には「当たり年」(豊作)と「裏年」(うらどし、実りが少ない)というものがあるのだそうです。
植物生理の関係によるもので、裏年の翌年は豊作の当たり年になる。これを繰り返すのだそう。
2019年、住用町は当たり年、大和村は裏年。来年は逆になるのかな?こうやって、島全体でもバランスが取れているのかもしれないですね。
タンカン畑は意外と見つけにくい
2月の半ばも近い頃、奄美市住用町、「NPO法人すみようヤムラランド」メンバーの満田英和さんのタンカン畑へ出かけました。
満田さんのタンカン畑は山間のちいさな谷にありました。
「ここは山に守られて風の被害も小さく、畑をするのに良い土地だね」、島の人には言われるそうです。「山間で昼と夜の寒暖差があることと、潮風の影響が少ないのもこの場所の良さだね」と満田さん。
タンカンの畑は山に囲まれていたり、防風林に囲まれているから、なかなか見つけづらいところにあるんですね。
枝の剪定、下草を刈ったり、肥料をいれたり、イノシシ対策も・・・と一年手をかけて実のなるタンカン。そうは言っても、果樹は樹を植えて直ぐに収穫できるものではありません。満田さんのタンカンの樹はお父様から受け継いだ、約40歳の樹です。ここが野菜と大きく違うところです。
畑の所々に中身がきれいに無くなった、タンカンの皮が落ちていて・・・
満田さんのつまみ食いした残骸かしら・・・と思いきや、
「ワンやあらんどー!(私じゃないよ!) カラスが上手に皮だけ残して食べた跡!!右足左足に一個ずつ掴んで、口にも一個加えて、合計3個持って逃げていくところを見たことがある!」と満田さん。
そんな「日本昔話」みたいな話。あるんですね。
美味しいものが成っていれば、小鳥やカラスもやってきます。この日も小鳥が周りを飛び回り、鳴いていました。葉の中に「リュウキュウメジロ」見つけられますか?
いきもの皆に人気のタンカンです。
タンカンの収穫体験と自分絞りジュースをどうぞ
もちろん、皮をむいて、ひと房ひと房いただくのも良いですが、ここはいっちょ産地の特権として、贅沢使いで絞っちゃいましょうタンカンジュース!
果樹園のその場所で、収穫したてを、切りたて、絞りたて。
ぜひご賞味あれ!
この記事を書いたフォトライター

いもくりかのこ
「島は水の循環が目に見える場所。海で雲が生まれ、その雲が島の山にぶつかって雨を降らす。雨は川になり、滝になり、海にそそぐんだよ。」と知人が語った言葉が気になって、2016年に奄美大島へ移住。音楽と散歩と黒糖焼酎と竹細工収集が趣味。