住用町、市集落の奥座敷へ。ガイドツアーで高浜(ターバマ)を探検しよう!
島コト
2019/03/23
勝 朝子
「ターバマ」って皆さんご存知ですか?
漢字では「高浜」と書き、奄美市住用町の市(いち)集落にある、コロコロとした玉石が広がる浜が「ターバマ」です。
ガイドブックにもほとんど載っていない「ターバマ」。
今回、ガイドさんに集落の案内をしていただき、「こんなところに道が!?」とびっくりしたり、思いがけずパワースポットと出会ったりしながら、静かなターバマ探検に行ってきました。
市集落ってどこにある?
ターバマのある市集落は、マングローブパークの少し南から東に入った半島の突き当りにある集落です。
ガイドの山下茂一さんによる集落の案内スタート
今回、NPO法人すみようヤムラランドを通じてガイドをお願いしたのは、市集落の区長を務める山下茂一(やました・しげかず)さんです。
市集落の出身で、市集落をこよなく愛する面白い方です。
まずは集合場所で写真入りの資料を使い、概要説明をしてくださいました。ここで、ゲストがどんなことに興味があるのかを探るのだそうです。
まず、集落の墓地の一角にある「住(すみ)家の墓」を案内していただきました。市集落は、住用町の中でも一番古い集落だそうです。住家は17世紀から19世紀の初めまで、この地方で栄えた郷士格の一族。以前は大きなお屋敷もあったそうです。住家のお墓は鹿児島本土で採掘された貴重な加治木石と山川石を使った立派なものでした。
高浜(ターバマ)に行ってみよう!
墓地を抜けると、小さな玉石の広がるビーチが出現。砂浜ではなく、玉石のビーチです。
案内板があったので、ターバマに着いた。と思ったら、ここはまだ中間地点でした。矢印の方向にさらに進みます。
沖に見える印象的な三角の島は、トビラ島。
この島は、なんと!もともと喜界島と市集落の間にあったのを、神様が引き寄せて今の位置になったといういわれがあります。
もしかしたら、相当なパワースポットかもしれません!
昔から地形的にも恵まれ良港だった市集落。お隣の喜界島との交流も古くから盛んだったようです。
右のほうに歩いていくと岩場が出てきます。
「潮位が低いときは、この岩の下を歩いて回れるのだけど、今日は潮位が高いね。」
「じゃあ、この岩を登って向こう側に行こう!」
「え?!すごく急ですけど??下は海だし。。。ここを登るんですか?」
口を開けて立ち尽くす私たちをよそに、山下さんはどんどん登っていきます。
「これって、ロッククライミング?」
「落ちるとクシンブィネィ(骨)を折るので気を付けて! ゆっくり、ゆっくり。」
励ましの声?をかけていただきながら、岩のヘリを伝って歩きます。
こんな感じで岩にへばりつきながら、移動します。
でも、岩がゴツゴツしていて滑らないので、意外とスイスイ行けます。
このロッククライミング的移動も実はなかなか楽しいのです。
岩を降りると、また玉石のビーチ。
そのビーチの上のほうにはアダンの林がベルト状に広がっています。
「ここから入るよ。」という山下さんについていくと、アダンの林の中に細い道が出現。
これは、案内していただかないと絶対にわかりません。
ハブが出ませんようにと注意深く、先に進みます。
すると、なんということでしょう!!急に目の前が開けました!
いきなり、玉石の丘。その向こうに海。
思わず、「おー!」と言いながら、みんなで玉石の丘を登ります。
玉石の広がる開放的なビーチ!ここが、ターバマです。
太平洋側の激しい波で、固い岩が削られ、丸くなった玉石が波のパワーで渦高く堆積して連なっています。
このビーチの玉石の丘が高いので「高浜(ターバマ)」と呼ばれるようになったそうです。
玉石の丘の一番高いところに流木がたくさんあります。
「台風の波で、この高さまで流木が運ばれてくるのだよ。」
ビーチの玉石最上部と水面は約3メーターの高低差。こ、こんなところまで波がかぶるのですね!
ターバマの楽しみ方
ターバマの玉石の丘は、降りようとすると石ごとザザザーっと滑ります。
ここでは、昔から子供たちがこうやってサンドスキーのように滑って遊んでいたそうです。
山下さんは、この土地にまつわるストーリーを次々と教えてくれます。だんだん集落の住民になった気分になってきます。
ターバマの近くでは、潮干狩りも楽しむことができます。
山下さんは、「石をどけながら、砂を掘っていくと、ほら。」と二枚貝を探し当てました。
私もやってみましたが、いくら探しても1個も採れず。他の人も全敗です。
「見つけてやろうという執念が足りないんだ!」と言いながらも山下さんだけ次々と見つけていました。
「私だってすごい執念で探しているのに・・・。」
「昔は、もっと居たのだけどね。自分で食べる分以上に、売って儲けようという人達が根こそぎ採ってしまった時期があって、それ以来すっかり減ってしまったよ。」
貝はアラスジケマンガイという名前で、中身は小さいけれど食べると美味しいらしいです。
でも、数が減っているというのを聞いて、海に返してあげました。もっとたくさん育ってくれますように!
市集落のターバマ・ツアー、いかがだったでしょうか?
山下さんのような温かいガイドさんに集落の歴史の話などを聞きながらその場所を訪れたり、地元の人しか知らないところに連れて行って頂いたりして、とても深く面白く集落を知ることができるのでおすすめです。
住用町のヤムラランドでガイドを申し込むことができます。
是非、ゆったりとした気分を味わいにターバマを訪れてみてください。
この記事を書いたフォトライター
勝 朝子
Webクリエイター、ITサポーター、奄美大島紬のポケットチーフ「フィックスポン奄美」代表。東京出身。縁あって奄美大島出身の夫と結婚。以来毎年奄美大島を訪れ、2012年奄美大島に移住。奄美の自然、人、文化、食べ物が大好きで、島の隅々まで日々探検中!