【体験型観光 宇検村編①】 空と海が結び合う刻を見つけに~サンセットシーカヤック~
島遊
2016/07/11
松枝 孝一
島の西南部に位置し、
奄美の奥座敷とも例えられる宇検村(うけんそん)。
美しい珊瑚礁の焼内湾を囲むように集落があり、
希少・貴重動植物の宝庫で奄美最高峰・湯湾岳を有する自然豊かな村だ。
「宇検村ってどんなところ?」
尋ねてみれば、返ってくる答えは、おおかた「何もないよ」だろう。
その言葉には、島人らしい奥ゆかしさが表れているのだと思う。
訪ねてみれば、きっと何かが見つかるだろう。
さあ、この地の宝を見つけに、シーカヤックで漕ぎ出そう。
真っ白な砂浜が美しいタエン浜から出発だ。
刻一刻と移ろう夕景。 その一瞬を心に刻むために、全てと繋がるために海へ。
カヤックを浮かべ、海と融合するかのように、穏やかにパドリング。
やがて訪れる夕凪、空と海が結び合う刻。 人は荘厳な大自然の懐にいだかれる。
タエン浜から水平線に沈む夕日を眺めることができるのは、
梅雨が明けたころから夏の終わりごろまでの特別な体験だ。
大自然が相手だから、なかなか自分の思い通りとはいかない。
時に期待を裏切られることもしばしば。
だが、時にご褒美と言わんばかりに期待を遥かに凌駕したものを見せてくれる。
その場に居合わせることができたら…。
言葉なく頬を伝うものがあるかもしれない。
感動に制限はない。あなたが感じるまま満天下に知らしめればいい。
心に結いつけられたその感動は、いつの日も色褪せることはない。
シーカヤックで海に漕ぎ出し見るサンセットは格別だが、
島人みたいに思い思いにビーチで過ごしその時を待つのも、
特別な「シマ時間」を味わうことができる。
島の子供たちのように素足で大地と海が結ばれる渚で、
珊瑚の欠片や貝殻、シーグラスを探しつつ見るサンセットもお勧めだ。
その時はきっと、故郷みたいな懐かしさを感じるだろう。
初めて訪れた場所であったとしても…。
「ただいま」
気づかぬ間にそうつぶやいてしまいそうなほどに、
宇検村で出逢うサンセットは、心を満たしてくれる力を持っている。
この記事を書いたフォトライター
松枝 孝一
GUIDE SERVICE SANCTUARY AMAMI代表。1969年福岡県生まれ。ダイビング歴27年。ダイビングインストラクター、シーカヤックガイドとして国内外で活動。2007年に奄美大島宇検村に移住。宇検村の素晴らしさを1人でも多くの方々に伝えたいと思い、宇検村を代表するビーチ「タエン浜」をメインにダイビング講習、体験ダイビング、シュノーケリングやシーカヤック等のメニューを提供。その他、宇検村観光物産協会観光担当、宇検村シマ時間体験センター長を務める。