廃校に生まれた小さな美術館「むんゆすい館」にいってきました【瀬戸内町嘉徳】
島景
2017/04/10
麓 卑弥呼
世界に誇る豊かな自然に囲まれた奄美大島の暮らしで、もう少し何かを望むとしたら、芸術に触れる機会があったらいいなあと常々思っていた。
絵画や造形、あるいは楽団によるクラッシック音楽。
島のなかにはそもそも美術館もほとんどないのだが、先日小さな小さな美術館を訪れた。それは芸術に触れることができて、さらにとっても島らしい、豊かな時間を過ごすことのできる特別な美術館だった。
瀬戸内町の山のなかにある小さな集落
その美術館があるのは、奄美大島南部の瀬戸内町嘉徳集落。他の集落から離れた、山のなかにある小さな集落だ。
嘉徳集落といえば、アーティストの元ちとせさんの出身地。サーフィンポイントとしても有名だ。
山を越えて集落に到着。
人里離れた自然のなかにぽつんと現れるこの集落までたどりつくと、気分はなんだか不思議な町に迷い込んだ旅人のよう。
車は集落入り口に停めてください、と看板が出ていたので、そこから歩く。「美術館」と小さな看板が出ている。
嘉徳小学校、もとい「創作空間ムンユスィ」に到着!
すてきな看板に促されて学校のなかへ。
見事な大木が!学校のシンボルだったんだろうな~
教室に広がる創作空間
「勝手に入っていいのかな・・・」とドキドキしていたけれど、自由に見て入れるよう。「入場無料ご自由にどうぞ」と張り紙も貼ってあった。
(後日瀬戸内町に問い合わせたところ、現在は嘉徳集落が管理をしていて、基本的にいつでもオープンだそうです)
入るとさまざまなオブジェがお出迎え。
教室をぶち抜いた空間に、静かに絵画が並んでいる。
全国各地のアーティストによる作品。もともとは、この地に移住して暮らしていた画家・堀晃さんが、創作活動をしたいと要望し、2005年4月に廃校となった小学校を利用し、同11月に美術館としてオープンさせた。
「ムンユスィ」とは島の言葉で「ものを教える」という意味。芸術活動と人々の交流の場として、堀さんのアトリエになり、かつ親交のあるアーティストの作品を鑑賞できる美術館となった。
静かな空間でゆっくりと、ひとつひとつの作品を堪能。
小さな机に腰を下ろして物思いにふけったり。
気持ちが静かに優しくなれる。
シマまるごと癒し空間。旅人になりませんか?
外を出て少し行けば、すぐに嘉徳海岸に出る。
大きな砂浜を散策。奄美市住用町の青久海岸に雰囲気がとても似ている。と思ったら、山を越えて隣り合う集落なのだとか。
ムンユスィ館だけでなく、集落全体が癒し空間だと気づく。観光はもちろん、シマッチュでも旅人になれる場所、嘉徳。ぜひ足を伸ばしてみてください。
この記事を書いたフォトライター

麓 卑弥呼
ライター/しーまブログ編集長。東京都出身。大学時代に訪れた与論島にはじまり、縁あって奄美大島の新聞社に新卒で就職。さらに縁あって島人と結婚し、自らが島人となり奄美に完全に根を下ろす。フリーライターなどを経て2014年にしーまブログに入社し、現在に至る。