心温まるディープなシマ旅への近道「エフエムうけん」

島人

2017/12/01

ペン

重田 朱美

宇検村入り口の看板

 

奄美市名瀬地区を抜けて車で走ること約40分、

ハイビスカスをモチーフにした看板が目に止まった。

 

そのカラフルな看板には「いも〜れうけん ようこそ宇検村」と書かれており、

ここから奄美大島西南部に位置する宇検村の旅がはじまる。

 

ラジオの周波数を76.3MHzに変えてみると、楽しそうな笑い声や島口(方言)、島唄三味線の音色も聞こえてきた。

 

耳にも心にも心地よいアットホームなラジオ局、それがエフエムうけんである。

 

一体どんな人達がこのラジオ番組を作っているのだろうか。

少しばかり気になって、宇検村の湯湾集落にあるエフエムうけんのラジオ局を訪れることにした。

 

車を停めてラジオ局の外観を眺めていると、素敵な笑顔で手招きをしてくれている人がいた。

 

ボランティアで作るラジオ番組

エフエムうけん:向山ひろ子

 

彼女がNPO法人エフエムうけんの事務局を務める向山ひろ子さんである。

 

2010年にエフエムうけんが開局した当初から事務局を務めているエフエムうけんの顔。

彼女に招かれ、番組制作が行われているラジオ局で、ティータイムが始まった。

 

宇検村のことやラジオのことなど様々な話を聞く中で驚いたのが、事務局である向山さんは収録や編集作業は携わるが、自身が出演するラジオ番組は0本だということ。

詳しく聞いてみると、このエフエムうけんの番組は「ボランティアパーソナリティー」と呼ばれる宇検村に在住している方々で作られているそうだ。

 

島唄響く長寿番組に潜入!

エフエムうけん事務局内

 

島唄の響き渡る唄声と三味線の音色を流している「岩元塾」は、エフエムうけんの開局当初からスタートした長寿番組のひとつで、制作しているのもボランティアパーソナリティーのみなさん。

内容や収録の段取りもすべて彼ら自身が行い、この日も夕方17時過ぎに三味線を抱えてラジオ局に続々と集合。音出しや唄練習をしてから、収録を行うスタジオへと入っていった。

エフエムうけん収録風景

 

岩元塾の塾長を務める岩元先生は、宇検村の小学校の教壇にも立っていた経歴を持つ方。

塾生は、子育て真っ最中の母親世代の方や宇検村から名瀬へ通勤している方もいて、それぞれ多忙な中での番組づくりである。

 

それでも、誰一人として疲れた表情を見せず、番組づくりを楽しんでいる様子が十分に伝わってきて、「これがアットホームなラジオ局と言われる由縁なのかもしれない」と、収録現場を見学させていただいて体感する事ができた。

 

この岩元塾はエフエムうけんにて毎月第2第4金曜日に放送されているので、この曜日に宇検村を訪れる際は、周波数を76.3MHzに合わせて島唄三味線の流れる岩元塾を聞きながら旅を楽しんでみるのはいかがでしょう。

エフエムうけん収録風景

 

出会おう、ディープなシマ情報

生放送こそ行っていないエフエムうけんだが、運とタイミングがよければ、事務局の向山さんや宇検村の人々と出会うことができるかも。楽しい会話と共にガイドブッグには載っていないディープなシマ情報が得られるだけでなく、もしかしたら旅の思い出にCMづくりやラジオ出演も夢じゃない。

 

そんなエフエムうけんは、一歩踏み込んだハードルの高い旅先のようで、実はディープなシマ旅への近道かもしれない。

 

奄美空港から遠く離れた場所にある宇検村まで足を伸ばしてみたのなら、ぜひエフエムうけんを訪れてみては?

 

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この記事を書いたフォトライター

重田 朱美

重田 朱美

奄美3世。日本各地で仲居業・ガイド業を経験した後、南アフリカに語学留学。帰国後、青年海外協力隊としてエクアドルに派遣。
2015年4月に宇検村地域おこし協力隊に就任し、現在は国産珈琲豆の栽培や珈琲店の開業に向けて奮闘中。

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