奄美大島の自然を守れ!アマミノクロウサギ交通事故防止キャンペーン
島コト
2018/02/02
田中 良洋
奄美大島と徳之島に生息し、国指定特別天然記念物でもあるアマミノクロウサギ。
野生生物なので、その姿を見たければナイトツアーに参加するのがおすすめ。
夜行性のアマミノクロサギなのでナイトツアーになりますが、運がよければ夜道で草を食べているアマミノクロウサギを観察することができます。
奄美大島は希少動物がたくさんいます。その代表例とも言えるアマミノクロウサギですが、実は昨今、アマミノクロウサギの交通事故が増えています。
アマミノクロウサギは夜行性で色が黒く、いきなり道路に飛び出してくることがあります。そのため車で轢かれてしまう事故が絶えないようです。
こうした交通事故を未然に防ぐため、アマミノクロウサギを見にくる人に安全運転を呼びかけている人たちがいます。
山とマングローブを有する奄美市住用町に本拠地を置く、NPO法人すみようヤムラランド(以下ヤムラランド)の皆さんです。
今回はヤムラランドの皆さんが行なっているパトロールの様子を取材してきました。
夏と冬のクロウサギパトロール
ヤムラランドの皆さんがクロウサギのパトロールを始めたのは4年前のこと。もともと集落歩きや集落の祭りの補助、役勝エコロード清掃を行なっていました。
住用の自然を守り、地域を盛り上げることを目的としていたヤムラランドにとって、アマミノクロウサギが交通事故によって減少していくのは見ていられないと、ヤムラランドの皆さんが自主的に始めました。
夏は19:30〜21:00、冬は19:00〜20:30までアマミノクロウサギの出没ポイント入口に立ち、見学に来られる方たちに安全運転を呼びかけています。
できれば月に1回のペースでやりたいそうですが、皆さんボランティアでやっているのでまだまだ思うようにはできません。
警察ではないので呼びかけに強制力はありませんし、通行の邪魔をしないように案内をするのが大変だと、ヤムラランドの古薗さんは話していました。
走ってくる車を呼び止めてパンフレットを渡し、安全運転を呼びかけます。人数とどういう目的で来たかも確認しています。
この日は冬場なので4組だけでしたが、多い時は20組くらいの人たちに案内をしているそうです。
アマミノクロウサギについて
アマミノクロウサギは夜行性なので、夜にしか活動しません。夜になると車が通る道路にも飛び出してくることがあります。取材をした日も急に道路に飛び出してくるクロウサギがいました。
ライトに照らされなければなかなか気づけず、轢いしまっていることもあるようです。
特にスピードが出やすい道路、カーブが多い山道や見通しの悪い林道では交通事故が目だちます。9月から12月は繁殖のためにアマミノクロウサギの活動が活発になるため、この時期も交通事故が多くなります。
安全運転のお願い
多くの人の協力のおかげでアマミノクロウサギの生息数は少しずつ増えています。ですがまだまだ事故がなくならないことも事実。せっかくの旅行も、野生動物を轢いてしまっては気分が台無しになってしまいます。
アマミノクロウサギは山の中にしかいないと思っている人もいるようですが、車道にいることもあります。アマミノクロウサギが出没する道路を走るときは時速10km以内の徐行運転をお願いします。
もし、アマミノクロウサギなどの野生動物がケガをしていたり、死んでいるのを発見した場合には「奄美野生生物保護センター」か「ゆいの島どうぶつ病院」までご連絡ください。
奄美野生生物保護センター 0997-55-8620
ゆいの島どうぶつ病院 0997-69-3819
電話は24時間繋がりますので、夜に事故があった場合もご連絡ください。
奄美野生生物保護センターではマグネットステッカーも販売しています。300円しますが、このステッカーの売り上げは野生生物を保護するための活動に使われますので、ご協力をお願いします。
国立公園にもなった奄美大島には希少な動植物がたくさんあります。豊かな自然を守るのは、島の人だけではありません。島の人も観光客も、訪れた人みんなで自然を守っていきましょう!
※クロウサギのツアーには生き物の命(自然の生態系)を守るためにもなるべくガイドさんに案内をお願いして見に行かれてください。
この記事を書いたフォトライター
田中 良洋
映像エディター/予備校スタッフ 兵庫県出身。奄美群島の文化に魅かれ、2017年1 月に奄美大島に移住。島暮らしや島の文化を伝えるために自身のメディア、離島ぐらし(https://rito-life.com/)を運営する。