島っちゅの御用達!「栄商店」はワンダーランド!
島コト
2018/02/05
勝 朝子
なぞの〇〇商店に潜入レポ
奄美には多くの集落に「〇〇商店」というお店があります。
奄美で「商店」と言うと、だいたい集落(シマ)にある「何でも屋さん」、つまり昔ながらのコンビニエンス・ストアのこと。
では「何でも屋さん」には何があるのでしょう?
旅行で訪れた人にはディープで入りにくいイメージもあって、ちょっとした謎ではないでしょうか?
「商店」の規模・品揃えははっきり言って千差万別。それこそ集落の人口や年齢構成などからも品揃えが変わってきます。
今回紹介する、空港から一番近い奄美市笠利町万屋(まんや)にある「栄商店」は、「小さな商店」という概念に収まらないお店です。早速のぞいてみましょう。
奄美大島の玄関口、奄美空港から北へ車で1分。
ほぼいつも車が何台か停まっている場所があります。そう、ここが「栄商店」です。
実は、時々テレビにも出る有名店。なぜなら、ここは金メダリストを何人も育て上げた全日本女子レスリングのヘッドコーチ・栄 和人(さかえ かずひと)監督のご実家なのです。
栄商店は、栄 和人監督のお父さま栄 良三(さかえ りょうぞう)さんが始めたお店。60年ほどの歴史があるそうです。今は、栄 良三さんのお孫さん大瀬 将史(おおせ まさふみ)さんが店長としてお店を切り盛りしています。
ないものはない?驚愕の品揃え!
さあ、早速お店に入ってみます。
おお!いきなり、入口の脇には種を置いた棚があります。農業をしている人が多いので、これは必須ですね。
なす、大根、きゅうり、グリーンピース、枝豆・・・自家用の野菜でしょうか。
次に目につくのは食料品。
こぢんまりとしたお店ですが、入った途端にずらりと並ぶパンとお菓子。
奥に足を運ぶと、冷蔵のガラスケース。
飲み物の品揃えもコンビニ並みではありませんか?!ドリンク剤もあるとは!
その間に鎮座するお味噌や豆腐。納豆やマーガリンもありますよ。
そして、お菓子、お酒のおつまみ、お弁当。
黒糖焼酎、カップラーメンの品揃えもなかなかです。
今話題の電子タバコまで!
お店の中を物色している間にも、次から次へとお客さんが入ってきます。
その勢いは、やっぱりコンビニです!
商店の朝・昼・晩
▶︎朝7時オープン
集落の朝は早い。
「朝は7時から開けているのですが、もうその頃に朝ごはんを買いにくるお客さんもいらっしゃいますよ。」
(写真:大瀬 将史さん)
▶︎大混雑のお昼時間
一番お客様が多いのはお昼頃。栄商店はいろいろなお弁当屋さんのお弁当を置いているので、お弁当を買いに来るお客様でランチ時は大混雑。
お弁当のほかにもお惣菜、パン屋さん「ニューススム」のパンやサンドイッチもあります。近所の焼き鳥屋さん「ブギーピース」の焼鳥丼と豚丼も置いてありますよ。
毎日、お弁当が入荷するのが午前中なので、一番品数が多いのは、10:30~11:30ごろ。
ただ、次々と来店するお客様のおかげで、お弁当は早めに売り切れてしまうことも。
絶対にゲットしたいときは、朝10時ぐらいまでに電話で予約するとお取り置きしてくれるそうです。
TEL:0997-63-1432
▶︎島の夜に欠かせないアレももちろんあります!
にぎわったお昼がすぎると、再びゆるやかな時間が訪れます。
そして仕事を終え、シマッチュ(島人)たちが家路に帰る夕方にも、栄商店に立ち寄ります。
おめあては、晩酌となるビールや黒糖焼酎、お酒のおつまみ。集落の晩酌にはやはり黒糖焼酎が欠かせませんね。
「なんでもある」は本当?!検証しました
さらに奥を探検してみると・・・
黒糖やかつおみそなど奄美の特産品。
たまご、たまねぎなどの生鮮食料品。さらに奥には、文房具、折り紙、請求書。
ポリ袋、洗剤、シャンプー、ハンドクリーム。農作業用の帽子やロープ。
その中にところどころ顔を出す、非常になつかしい商品。
何ともカオスなワンダーランド!掘り出し物を探してみたくなります。
お客様はほとんどが島の人。常連さんだけでなく、通りがかりの人も多いそうです。
「旅行客のお客様は、夏が多いですね。通りがかりにジュースやアイスを買って行く人が多いです。日焼け止めを忘れて、ここで買って行く人もいますよ。」
なんと!日焼け止めまであるのですね。
「ビーチサンダルはないですよね。」
「ありますよ!」
「電池は?」
「あります!」
「裁縫用の針や糸はないですよね。」
「あります!」
「まさかバニラエッセンスとか、ないですよね?」
「あります!」
ここは、ドラえもんのポケットなのでしょうか?
「こんなものもありますよ!」と大瀬さん。
あ、氷!ジュースや焼酎に入れてもよし、釣った魚を冷やしてもよし。
お客さまからリクエストがあったものは、ほとんど置いているそうです。
「でも、何でもあるというより、必要最低限のものがある、というのが正しいです。」
種類は少ないですがほとんどのカテゴリの商品があり、困っているときは駆け込むととりあえずある、というのが集落(シマ)の商店です。
お店にないものはお取り寄せも可能だそうですよ。
そんな栄商店は、コンビニのない笠利町では貴重なお店の一つです。
特に万屋集落では、車を運転できない近所のお年寄りの方々にとって、なくてはならない存在ですね。
「霊長類最強女子」がお店番??
むむ?レジの横に、栄監督や吉田沙保里さん、女子レスリングチームの写真が。
以前はよく栄監督が女子レスリングの選手たちを連れて帰って来ていたそうです。ここの座敷で吉田沙保里さんのお誕生日祝いをしたことも。
「買い物しようと思ってお店に入ったら、レジに吉田沙保里さんが座っていて、店番していたことがあったんだよ。びっくりしたよ!嬉しかったねー!」
と、ビールを買って行く常連さん。
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奄美に来たら、集落(シマ)のワンダーランドである商店に立ち寄るのも面白いですよ。
笠利町ではぜひ栄商店にお立ち寄りください。ディープであたたかい、本当の「島の空気」を感じ取ることができるかもしれません。
この記事を書いたフォトライター
勝 朝子
Webクリエイター、ITサポーター、奄美大島紬のポケットチーフ「フィックスポン奄美」代表。東京出身。縁あって奄美大島出身の夫と結婚。以来毎年奄美大島を訪れ、2012年奄美大島に移住。奄美の自然、人、文化、食べ物が大好きで、島の隅々まで日々探検中!