あなたも「ブラ奄美!」Vol.6|独特な地形が生み出す自然の恵み
島コト
2018/04/13
勝 朝子
2017年3月~4月に番組異例の3回に渡って放送された「ブラタモリ」では、地元シマッチュ(島人)も知らなかったような、奄美大島の根幹とも言えるディープな文化・歴史・自然が紹介され、多くの発見がありました。番組のナビゲーションを参考に、あまみっけ。ライターが奄美大島の地を巡り、奄美大島の自然とそれによってはぐくまれた奄美の宝について改めてご紹介していきます。
テーマごとに巡る全6回シリーズ。さあ、あなたも「ブラ奄美」してみませんか?
あなたも「ブラ奄美!」Vol.1|自然をいかした奄美の宝「大島紬」
あなたも「ブラ奄美!」Vol.2|奄美の米作りに隠された知恵を探る
あなたも「ブラ奄美!」Vol.3|甘い「黒砂糖」のしょっぱい歴史
あなたも「ブラ奄美!」Vol.4|固有種の宝庫である奄美の森を探る
あなたも「ブラ奄美!」Vol.5|海と陸のキワにある生命のゆりかご
あなたも「ブラ奄美!」Vol.6|独特な地形が生み出す自然の恵み
あなたも「ブラ奄美!」Vol.6|独特な地形が生み出す自然の恵み
さて、いよいよ最終回となった今回のブラ奄美。今回は独特な地形が生み出す自然の恵みということで、ブラタモリでのお題「自然をいかした奄美の”宝“」最終章です。
まずは、奄美大島の島の成り立ちからおさらいです。奄美群島は約1,000万年前、沖縄や台湾とつながったユーラシアプレートという大陸のキワだったのだそうです。そこから太平洋側にある琉球海溝に引っ張られ、大陸から引き離され、間に東シナ海ができ、約200万年前に今の奄美と沖縄が島として独立しました。
それゆえ、奄美大島の地質はとても古く、中生代のジュラ紀とのこと。鉄分の多い土質もこうした歴史によるものでした。
絶景!「高知山展望所」から望む大島海峡
それでは早速、車を南に走らせて、タモリさんも訪れた高知山展望台へ。名瀬から約60分、古仁屋の少し手前に高知山はあります。
駐車場に車を停めて、5分ほど登ると展望台に到着です。短いですが、斜度はあるので、ちょっとした運動になります。
さて、展望台に着いたら、登ってみましょう。4階建ての塔です。上からの絶景を楽しみに階段をトントン登ってください。
なんということでしょう!山、海、島、海、島のレイアウト!
海を隔てて向かい側の島は加計呂麻島、その後ろに請島、与路島。さらに奥にうっすらと見える島は徳之島です。
この眺めは、少し海がハート形に見えますね。ハートの元部分にある街が瀬戸内町の中心地、古仁屋です。番組の中では、最近発見されたミステリーサークルを作るアマミホシゾラフグも紹介されていました。
ここで注目は、こちら側と加計呂麻島にはさまれた海峡です。大島海峡と呼ばれています。
地形が入り組んでいますね。リアス式海岸、いやリアス海岸です。番組の中で近江アナウンサーも「リアス式海岸」と言っていましたが、平成18年版の教科書より「リアス海岸」の表記に変わったそうです。私も中学校の地理ではリアス式海岸と習いました。
話は戻って、この島と島の間に挟まれた大島海峡には3つの特徴があるそうです。
- まず一つ目は、両方の入り口には流れがあるため、新鮮な海水の出入りが良い「潮通しがいい」状態であるということです。
- 二つ目は島が風よけになり、南の島特有の台風の影響を直接受けにくいということです。台風の時には近くを航行中の船が風よけに湾内に来るらしいですよ。
- さらに三つ目は、海水。黒潮が流れ込んでいるので水温が高くプランクトンや餌が豊富。海の生き物にとっても楽園ですね。
大島海峡で育ったクロマグロを食してみる
番組の中では、クロマグロの養殖場を訪問してクロマグロを試食していましたが、養殖場は一般の方は立ち入り禁止なので、古仁屋の街中にある「島魚 あま海」というお魚屋さん兼食堂でクロマグロ丼をいただきます。
1本100万円くらいするというクロマグロは、なかなか島でも食べることができません。旨みのある脂がのって、とろけます。今日のクロマグロは、タモリさんが見学された奄美養魚から仕入れたものだそうです。
「島魚 あま海」さんは鮮魚店なので、大島海峡や奄美の近海で獲れた新鮮なお魚が並びます。
「この冷蔵ケースに並んでいるお魚を、どれでもお好みに調理しますよ。」とお店の桑山裕成(くわやまゆうせい)さん。
ということは、お店のメニューは無限大ですね!もちろんお店の中で食べることができます。
また、自分で釣った魚などの持ち込みも可能で、やはり調理してもらえます。釣り好きの方には便利なサービスですね。
お店は9:00~19:00と一日中オープン。朝は海鮮丼を買って加計呂麻島行きのフェリーに乗り込む人から、夜はお魚をつまみに飲みに来る人まで、そして近所に住む人から旅行客まで、いろんな人がやってくるそうですよ。
◆島魚 あま海
鹿児島県大島郡瀬戸内町古仁屋春日6-1
TEL:0997-72-1280
営業時間:9:00-19:00(オーダーストップは18:30)
定休日:日曜日
https://www.amami-sakana.com/
(海鮮丼は10:00~です)
大島海峡で育った真珠は吸い込まれそうな輝き
クロマグロの養殖場は訪問できないので、同じようにこの大島海峡の海をいかした養殖を行なっている「奄美サウスシー&マベパール」さんを訪問します。
大島海峡は、マグロやハマチなどの魚の養殖よりもずっと以前から真珠の養殖が盛んでした。
古仁屋の街中から東へ2分ほど走ると「奄美サウスシー&マベパール」のお店が見えてきます。2015年に新しくできたお店は、外観もきれいで駐車場も広く便利です。そして中はさらにゴージャスで一気に別世界へとワープします。
今回は、奄美パール店長の 渡山香月(とやまかつき)さんに解説をしていただきました。
ここで養殖されている真珠は、白蝶貝の中からできる球状の南洋真珠と、半球状のマベパールの2種です。
白蝶貝からできる真珠は白やピンクなどの色のものもありますが、ゴールドリップ種という金色の濃い白蝶貝から生まれるゴールドに輝く真珠は、特に吸い込まれるような美しさです。
奄美のゴールド真珠は黄金色より柔らかく、神秘的な色と光沢。ゴールドでありながら派手すぎず落ち着いた気品があります。そして、写真を見るとわかりますが、真珠なのに鏡のように周りが映っているのです。なぜだかわかりますか?
真珠層のきめが細かく、そして厚く巻いているからなのです。これは奄美の自然ならではの恵みのおかげです。
真珠の価値は真珠の大きさや巻きの厚さによって変わってきます。
奄美は南洋真珠の北限。なので、熱帯の南洋真珠よりも緩やかに成長し、普通1~2年で採れる真珠も奄美では2~3年の養殖期間がかかります。長い時間をかけてゆっくり成長するので、真珠層が年月をかけて厚く巻き、真珠の照りやシルクのようなきめの細かさや美しさが育まれるのです。
奄美の真珠がなぜ「世界最高品質の真珠」と言われているか、わかりますね。ただ、奄美の真珠は数が少ないのでなかなか市場には出回らず、希少な真珠といわれています。
もう一つの種類のマベパールは、プテリア・ペンギン(ペンギンの翼)という名前の貝の中にできる半球状の真珠です。形はドロップ形、ハート形、涙型などいろいろな形があるそうです。
この虹色のグラデーション。貝殻の真珠層の色がそのまま真珠の色になるため、レインボーカラーの真珠が生まれ、ひとつとして同じものはありません。形も色も輝きもウットリする美しさです。
みっけちゃんがしていたハートのネックレスもこちらのマベパール。かわいくてかなり人気だそうですよ。こうした真珠たちも自然をいかした奄美の”宝”ですね。
「奄美サウスシー&マベパール」さんの真珠は、加計呂麻島と宇検村で養殖しています。加計呂麻島では、貝から真珠を取り出す(浜揚げ)体験もできるそうです。(3営業日前までに要予約)
その時の海水温によって取り出すことのできる貝の種類が変わってくるので、詳しくはお問合せください。
お店に行くと、店長の渡山香月さんやスタッフの竹下奈々(たけしたなな)さん(写真)がいろいろと親切に教えてくださいますよ。
見学だけでもOKなので、まずはお店に行ってお気に入りの真珠を探してみましょう。
7月には、奄美空港にも店舗がオープンしますので、お楽しみに!
◆奄美サウスシー&マベパール株式会社 奄美パール本店
鹿児島県大島郡瀬戸内町古仁屋1054-6
TEL:0997-76-3303
営業時間:10:00-18:00
定休日:水曜日
https://amamipearl.com/
さて、今回の独特な地形が生み出す自然の恵みをテーマにした旅はいかがだったでしょうか?
美味しいクロマグロあり、美しい真珠あり、ちょっと贅沢な旅になりました。これも長い年月をかけてできた奄美の独特な地形のおかげですね。
2018年の世界自然遺産登録を目標としている奄美大島。素晴らしい自然が残り、そしてそれをいかす人々の知恵が生み出す宝がある素敵な島です。
そこに暮らす人たちとの会話も楽しみながら、是非あなたのお気に入りのブラ奄美をお楽しみください。
奄美大島での旅についてわからないことがありましたら、お気軽にあまみ大島観光物産連盟におたずねください。
【今回の旅の行程】
名瀬
↓ 車で60分
高知山展望台 (瀬戸内町 ) 30分
↓ 車で15分
島魚 あま海でクロマグロ丼 (瀬戸内町 ) 1時間
↓ 車で 10分
奄美サウスシー&マベパール (瀬戸内町 )30分
↓ 車で 70分
名瀬
この記事を書いたフォトライター
勝 朝子
Webクリエイター、ITサポーター、奄美大島紬のポケットチーフ「フィックスポン奄美」代表。東京出身。縁あって奄美大島出身の夫と結婚。以来毎年奄美大島を訪れ、2012年奄美大島に移住。奄美の自然、人、文化、食べ物が大好きで、島の隅々まで日々探検中!