あなたも「ブラ奄美!」Vol.1|自然をいかした奄美の宝「大島紬」

島コト

2018/02/22

ペン

勝 朝子

ブラ奄美:タイトル

街歩きの達人であるタレントのタモリさんが、ブラブラ歩きながら土地の歴史や文化、人の暮らしを探るNHKの人気番組「ブラタモリ」。その「ブラタモリ」が2017年に奄美大島にやってきました。

2017年3月~4月に番組異例の3回に渡って放送された「ブラタモリ」では、地元シマッチュ(島人)も知らなかったような、奄美大島の根幹とも言えるディープな文化・歴史・自然が紹介され、多くの発見がありました。番組のナビゲーションを参考に、あまみっけ。ライターが改めて奄美大島の地を巡り、奄美大島の自然とそれによってはぐくまれた奄美の宝について改めてご紹介していきます。

テーマごとに巡る全6回シリーズ。さあ、あなたも「ブラ奄美」してみませんか?

 

あなたも「ブラ奄美!」Vol.1|自然をいかした奄美の宝「大島紬」
あなたも「ブラ奄美!」Vol.2|奄美の米作りに隠された知恵を探る
あなたも「ブラ奄美!」Vol.3|甘い「黒砂糖」のしょっぱい歴史
あなたも「ブラ奄美!」Vol.4|固有種の宝庫である奄美の森を探る
あなたも「ブラ奄美!」Vol.5|海と陸のキワにある生命のゆりかご
あなたも「ブラ奄美!」Vol.6|独特な地形が生み出す自然の恵み

 

あなたも「ブラ奄美!」Vol.1|自然をいかした奄美の宝「大島紬」

奄美の赤い土のサトウキビ畑

ブラタモリ第66話の旅のお題は、「自然をいかした奄美の”宝”とは」です。

奄美大島を訪ねたタモリさんは、まず赤い土に驚きます。これは、多くの鉄分を含んだ古い土で赤黄色土(せきおうしょくど)と呼ばれる土です。

赤い色をしているのは、鉄分が空気に触れ、酸化したからなのですね。地質ファンらしいスタートです。

それでは最初の訪問先、龍郷町の戸口にある金井工芸に足を進めましょう。

 

奄美ならではの「泥染め」を見学

金井工芸の金井一人さん

ブラタモリでもタモリさんに大島紬の染色の秘密を教えていた金井一人(かない かずひと)さんに、さっそく奄美の宝「大島紬」について教えていただきます。

 

金井工芸の大きな釜

「まず、島に自生するテーチ木(和名:シャリンバイ)という木をチップにして煮だします。すると茶褐色の赤い液になります。」
大きな釜の中で煮られた木のチップから赤茶色の液が出ています。
真っ白な煙が出ているのが釜です。すごく大きな釜ですね。

 

金井工芸の染めた絹糸

「その液に真っ白な絹糸を漬けて染めると、薄い茶色に染まります。これは28回、染めを繰り返したものです。」

28回も染めることで、こんなに濃くなるのですね。
色がついたのは、木の染料によるもので、中にはタンニン酸も含まれているそうです。

 

金井工芸の泥田で作業する人

そして、外の泥田へ。ここは、タモリさんも入っていた泥田ですね。

後ろで鳴くカエルに「うるさい!」って言っていましたが、今日は静かです。(笑)

「先ほどの絹糸を、今度はこの泥田に入れます。まんべんなく刷り込むように染めていきます。そうしていると、ほらグレーの色になるでしょう?」

テーチ木のタンニン酸と泥田の泥に含まれる鉄分が反応してグレーになるのだそうです。
この工程を繰り返すと、大島紬の特徴である深いしっとりとした黒色ができます。
先人たちは、この化学反応をどうやって発見したのでしょう?不思議です。

では、何故ほかの場所では赤土なのにここは黒い泥なのかというと、泥田の一帯が湿地になっていて、それが蓋の役割をして酸素にふれることがなかったので、鉄分の黒いままの色が残っているのだそう。
地形が残した貴重な泥田なのですね。

自然の恵みを活用してできる大島紬の染色方法は、奄美の自然の恵みをいかした”宝”であることがわかりました。

 

樹齢500年の蘇鉄

さらに、驚くべきことが!長く泥田を使っていると、鉄分が少なくなっていきます。
そんな時、島の人が泥田に入れるのがソテツの葉。
学術的にはそのメカニズムはわかっていませんが、昔からそうやってきたのだそうです。

ソテツは、漢字で書くと蘇鉄。鉄が蘇(よみがえ)ると書きます。
島に生えているソテツで泥田をよみがえらせる。これも自然をいかした方法ですね。
番組の中でタモリさんも感動していました。

 

金井工芸さんでは、染物体験を行なっています。あなたも自分の洋服や布地を持って行って、奄美の自然の材料で染めてみませんか?

◆ 金井工芸 https://www.kanaikougei.com/
鹿児島県大島郡龍郷町戸口2205-1
TEL: 0997-62-3428

 

大島紬を見て知って、着装体験!

ティダムーンの大島紬資料館

金井工芸を出て、さらに北へと進みます。

ここは、奄美市笠利町土浜にあるリゾートホテル ティダムーンさんの大島紬資料館です。

リゾートホテルですが、大島紬の製造販売も手がけているため、敷地内に大島紬資料館と大島紬展示場があります。

ここ大島紬資料館は、入場料500円で大島紬の製造工程の学習や、古い時代の大島紬や芭蕉布の見学、そしてなんと大島紬の糸で紬織体験までできるお得なスポットなのです。

 

星加麗子さんと大島紬着装体験

番組の中でタモリさんは、美しい大島紬をいくつか見た後、反物をクリップで留めながら着物に仕立てたようになる「着装」の体験をしていました。

ティダムーンさんでは、事前に申し込みをすると、この着装体験が無料で可能です。

今回は、チーフ・マネージャーの星加 麗子(ほしか れいこ)さんに着装を行なっていただき、私も挑戦してみました!

 

大島紬着装体験した女性と男性

やはり大島紬は軽いです(わずか450g)。

仕立てたときの柄の出方がわかって、この体験は実際に着物を選ぶときにはいい方法ですね。
帯や帯しめなどの色合わせもできます。

せっかくと言うことで、同行のカメラマン(男性)も着装体験。
反物で見たときと実際に着たイメージが違って、感動!
思わず二人で「欲しい・・・。」と。

こちらは、奄美大島だけでなく鹿児島や都城の産地の大島紬も豊富にそろえていて、産地価格で購入することもできます。

 

ティダムーン内の大島紬展示場

自然をいかした奄美の”宝”とは、テーチ木、泥田、ソテツという奄美にあるものをうまく使って作った大島紬だったのですね。

今回の旅、あらためて地元の奄美大島紬がますます好きになる旅でした。

 

◆ 奄美リゾートホテル ティダムーン https://thidamoon.com/
鹿児島県奄美市笠利町大字平1260−3
TEL: 0997-63-0006

 

【今回の旅の行程】
名瀬
↓ 車で30分
金井工芸 (龍郷町 戸口) 染物体験 3時間
↓ 車で25分
ティダムーン 大島紬資料館(奄美市笠利町土浜)館内見学 30分
ティダムーン 大島紬展示館にて着装体験 1時間
↓ 車で40分
名瀬

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この記事を書いたフォトライター

勝 朝子

勝 朝子

Webクリエイター、ITサポーター、奄美大島紬のポケットチーフ「フィックスポン奄美」代表。東京出身。縁あって奄美大島出身の夫と結婚。以来毎年奄美大島を訪れ、2012年奄美大島に移住。奄美の自然、人、文化、食べ物が大好きで、島の隅々まで日々探検中!

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