お散歩しよう!大島紬の薫る名瀬街へ
島コト
2018/03/24
秋葉 深起子
「ビールで足を洗う」
大島紬の最盛期といわれる1970年頃、紬製造業に従事していた職人たちの羽振りの良さを表現した言葉だそうです。
家を建てたり、子供を大学に行かすことができたのも、大島紬のおかげ。
当時は大卒の会社員よりも給料が良く、勤めに行くよりも、自宅で機織りをしていた女性たちのほうが収入が多かったそうです。
近年、大島紬のみならず日本人の和装離れと言われていますが、
大島紬の本場、奄美大島の中心「名瀬」の街を歩いてみると、とってもうれしいことに
やはり今でもたくさんの「大島紬にまつわる風景」に出逢うことができました。
本日は古き良き時代?を振り返り、大島紬を肌に感じる小さなお散歩をしてみたいと思います。
名瀬の港の立神を眺めながら、お散歩スタート!
せっかくのお散歩。
わたしも、祖母から母、そして私へと引き継がれた大島紬を着て出かけました。
さっそく見つけました!
奄美大島の「海の玄関口“名瀬港”」を望む大きなこの橋は、タイルが大島紬の柄!
龍郷柄(たつごうがら)をモチーフにしたタイルアート。
橋の柵にも大島紬関連のモチーフが施されていたので、離れて見ることに。
橋の下に降り、遠くから眺めると、
奄美の空に、大島紬の製造工程「泥染め」や「糸繰り」の柄が浮き出ていました。
橋の入口にも「糸車」
次は、名瀬の街中へ。
大島紬のお店が集まる名瀬の中心街。
街を歩くと、あちらこちらに大島紬を扱ったお店に出会います。
大島紬の着物姿の方をみかけることが少なくなりましたが、奄美大島では大島紬関連の催事も多く、大島紬をアレンジしたお洋服やバックでコーディネートを楽しんでいる女性たちをよく見かけます。
こちらは、大島紬×レザー商品を作っている「紬レザーかすり」さん。
奄美の「紬」と、イタリアの「革」のコラボ作品が大人気のお店です。
地元のおしゃれ女子たちとコラボをした、大島紬×大胆デザインのアクセサリーもありました!
可愛い大島紬「龍郷柄」のマスキングテープ!
大島紬の反物はまだ買えない!という若い方にも人気が出そうなPOPなマステ!
なんと、最近発売された「紬Classic」は、SNSで大反響なのです!
東京の友人から「持っているだけで幸せなマステ。大島紬の魅力がセンスよく反映されていますね!」とメッセージをいただくほど!
わたしも、さっそく全種類購入しました。
「さて次はどこへ行こうかな?」と歩き始めると、この橋にも大島紬関連モチーフ!
鹿児島銀行大島支店の目の前にある「奄美橋」にありました。おそらく、大島紬の機織りの際に横糸で使用する「ひじき」と呼ばれるもの。
見逃しそうになるところにも、大島紬の薫りを感じてうれしくなりました。
そして、市街地を中央アーケードに向かって歩いていると、
歩道の両脇に石碑!
ここにも大島紬にまつわる絵が描かれていました!
「泥染め」
「糸車」
紬以外にも、ハイビスカス柄の石碑もありました。
大島紬を販売するお店の入口にも、素敵な大島紬の飾り物が!
大島紬の生地を贅沢に使用した小物もあり、ビックリ!
こういう雰囲気も、大島紬の本場ならではの風景ですね。
名瀬の中心にあるティダモール商店街
子供の頃から、よく通った「アーケード街」。
呉服店やお茶屋さんなどもあり、休憩スポットもたくさん!
大島紬を着て歩いているとすぐに街の方々に笑顔で声をかけていただけるのがとても嬉しかったです。
大島紬とは直接関係ないかもしれないけれど…と、奄美の三味線が大好きなので福盛堂さんへ立ち寄ってみました。
入ってみると、三味線やチヂン太鼓たち!
「わー!踊りたくなる!!」
と、体の中から島のリズムが聞こえてきそうなワクワク感!
三味線やチヂン太鼓を作り販売したり、シマ唄教室もされていた盛さんにお話を伺うと、
三味線にも大島紬の「龍郷柄」を使用した胴巻き(三味線の側面を包む布)があるそうです。
ここにも、大島紬の薫りが届いているのですね。
夜の名瀬街、ヤンゴ通り
日も暮れてきて、、、最後は、奄美大島の夜の飲食店街「屋仁川(やにがわ)」通称ヤンゴ通りへ!
とその前に!
ヤンゴ通りへ到着する、少し手前で見つけました!
「糸繰り」モチーフの街灯。
これは見つけるのが難しい!
屋仁川の近く、名瀬の水道局前。空を見ながら歩いてみると出逢えます。
最後は、インスタ映えも期待できそうなウォールアート?
ヤンゴ通りから1本入った公園にある公衆トイレの壁画なのです。
「ひじき(機織りの横糸で使う道具)」と、カラフルな糸の前で!
ちなみに取材日の前日も、大島紬で屋仁川へ立ち寄りました。
本場奄美大島の「大島紬」を着て、奄美でしか造れない「黒糖焼酎」をヤンゴ通りで楽しむ、粋な大人に憧れます。
いつか、夜の大島紬散歩もしてみなくては!
「大島紬が薫る名瀬の街」で、皆さまもぜひ、お散歩してみてはいかがでしょうか。
さらに、“日常から少しスペシャルな気分になりたいとき”には、ぜひ大島紬を着てお散歩へ!
きっと、地元の人たちが笑顔で話しかけてくれることでしょう。
この記事を書いたフォトライター
秋葉 深起子
RDA(Relaxing Days Amami)ツアースタイリスト。東京でカラー&イメージコンサルタントとして、企業研修や講演、プロダクトデザインのカラー提案、フォトスタイリング等を行う株式会社アンドカラーを設立。2017年「五感を刺激する大人のための奄美旅」をモットーに、奄美と出会えてよかったと思えるような旅やイベントを企画運営事業を開始。