シマ時間に浸り、島の文化を体験する「ケンムン村」
島遊
2016/11/17
山田 久美子
奄美空港から名瀬方面に走ること車で15分。「奄美リゾートホテル ばしゃ山村」の向かいに現れるのは「ケンムン村」です。
「ケンムン」とはガジュマルの樹に住むといわれ奄美に伝わる精霊のこと。
かわいいケンムンたちに誘われるように坂道を上ると、ゆったり流れるシマ時間の世界が広がります。ここでは「島唄体験」「お菓子づくり体験」「塩づくり体験」「古代焼き体験」「島人になる体験」など、天気を気にせず様々な体験が楽しめるんです。
寄門(ゆりもん)と呼ばれる門のすぐ横、「奄美原生木の家」で「うがみんしょうら~ん(こんにちは)」と迎えてくれる名物おばは、「ケンムン村」のある用安集落で長く時間を過ごしてきた生粋の島人です。
おばが迎えてくれるこの建物では、ばしゃ山村前の海から汲み上げた海水を煮詰めて天然塩を作る「塩づくり体験」、ケンムン村オリジナルの黒糖を使った「お菓子づくり体験」ができます。
お菓子づくりに使う黒糖はケンムン村で手作りされており、ガスバーナーではなく昔ながらのやり方で薪をくべてサトウキビのしぼり汁を煮詰めるというこだわり。タイミングが良ければ黒糖に固まる前の「サタ汁」や、出来たての黒糖が味見できるかも。
さらに上には海が見渡せる広場があり、有形文化財に指定されている「旧安田邸」が移築されています。
江戸時代に建てられたという「旧安田邸」。天気の良い日はガラス窓が解放されているので、ぜひ縁側に腰を下ろして海風を感じてみてください。贅沢なシマ時間に浸れるでしょう。
ここでも見学だけではありません!「とうぐら」と呼ばれる炊事場を使い、かまどでご飯を炊いて食べる「島人になる体験」や、「おもて間」という、大切なお客様をお迎えする和室で島の唄者の手ほどきのもと「島唄」を学ぶことができます。
「旧安田邸」となりの陶芸小屋では「古代焼き体験」が楽しめます。
土をこねて好きな形を作り、木の葉や貝殻など自然のもので柄を付ける古代焼き。釉薬ではなくブルーとグリーンのガラスをのせて焼いてもらえば、器の中に奄美の海の色を再現できるかも。
焼きあがった作品は約1か月で手元に届くので、作品の到着を待ちながらシマの余韻を味わうのもまたよし。
きっとまた、シマ時間に浸りにケンムン村へ帰ってきたくなるはずです。
この記事を書いたフォトライター
山田 久美子
ライター/フリーランスウェディングプランナー。名古屋出身。2012年に初めて訪れた奄美に惹かれ移住。特別な一日を奄美の景色とともに思い出に残してほしいという思いで、島を会場にしたオーダーメイドウエディングのプロデュースを行っています。