絶景サンセットで締めくくる。夕陽のふるさと安木屋場の集落巡り
島景
2016/07/30
トヨヤマ コトネ
龍郷町にある安木屋場(アンキャバ)集落は東シナ海に面した人口わずか170人ほどの集落。
集落に入ると「夕陽のふるさと」と書かれた柱があった。
その名の通り夕陽の絶景ポイントとして愛されている場所。
そんな安木屋場集落を巡ってきた。
安木屋場の景観で初めに驚くのが密集して群生しているソテツの山。
その数おおよそ6万本。
集落の裏に佇むソテツの山はとてもダイナミックでその姿に圧巻されていると、
「あんたどこからきたの~?」と一人のおばあが話しかけてきた。
この笑顔の素敵なおばあは安木屋場生まれ安木屋場育ち。
夫が他界してから4-5年、変わらず一人でこの集落に住んでいるそう。
「おばあいつも何してるの~?一人で寂しくない?」
と聞いたところ、
「一人で寂しいけどね、夕方浜にでると誰かしらいるからそこで皆で夕陽を見ながら遊んでるんだよ。だからそんなに寂しくないよ~。遊んでるって言っても喋ってるだけだけどね」と明るく笑う。
「今度見かけたら一緒に夕陽見ましょ」と素敵なお誘いも頂いた。
元気なおばあに心癒された後、また集落の中を散歩。
コトン…コトン…と、どこからか聞こえて来る機織りの音。その音を聞きながら集落を歩く。とてものどかだ。
歩いていると何やら可愛いポップな色合いの建物が。
「カトリック安木屋場教会」は小さいけれど、存在感のある建物。さっそく中に入ってみることにした。
開いてるかな?とドアノブを恐る恐る回してみる。するとドアは開き、中には誰も居ないようだった。いつも開放されているのだろうか。
そろそろっと中に入っていくと正面にキリスト像が見えた。
背景の青色が全体を包むかのように一体感を高めている。
こじんまりとしているが優しい光に満たされた教会内は心が安らいだ。
可愛らしい小さなマリア像。その周りには南国らしいハイビスカスの造花が彩られている。
無宗教の私でも関係なくこの場所はとても神聖だと感じ、心が洗われる気分だった。
安木屋場集落の方の二割がキリスト教を信仰しており、毎週日曜にはミサが行われているらしい。今度足を運んでみよう。
集落巡りをしていたらもう夕方。
安木屋場海岸の浜へ降りる。目を疑うような夕陽の絶景に思わず声を上げた。
濃いブルーの空と真っ赤に燃え上がるような夕陽のコントラスト。
本当に自然の色なのかと思うほど力強く、キラキラとした光がみなぎっていた。
遮るものがなく、広々とした東シナ海に落ちる夕陽を眺めていると、
今まで悩んでいた悩みなど、全てちっぽけに思えた。
ここで見た景色はこの先もきっと忘れられない。
この記事を書いたフォトライター
トヨヤマ コトネ
フォトグラファー/しーま編集部。 奄美2世。大阪のフォトスタジオで勤務後、 幼少期から何度も訪れていた思いいれのあるシマに2014年移住。写真や言葉にするのが難しい奄美の美しさをどう表現するか日々模索中。