奄美の古民家に泊まりたい~古民家再生プロジェクト「伝泊」で安らぎのひと時を
島宿
2017/01/09
麓 卑弥呼
あざやかな黄色ののれんが目印
観光で奄美群島を訪れたならば、お気づきだと思う。奄美は、一般的ないわゆる「南国リゾート」とは少し趣きが違う。
いわゆる「観光ナイズ」されていない風景や人々が、やさしくゆったりとあなたを出迎えてくれるはず。そんな奄美の空気をもっと感じて、”暮らすような旅”が体験できる、とびきりの宿泊施設が2016年にオープンした。
使われなくなった古民家に建築家が手を入れ、外装はそのままに内装をリフォーム。洗練された空間を作り上げるとともに、集落のただなかで過ごせるシマののんびり心地よい宿泊施設に生まれ変わった。
現在利用されている2棟を紹介する。
①港と夕陽の見える宿 シーンごとに分けられた居住空間
奄美空港から車で約10分。奄美市笠利町赤木名集落は、海沿いに広がる、笠利町内では大きな集落だ。この集落の家々に混じって、黄色いのれんの伝泊施設「港と夕陽の見える宿」はある。
おじゃまします・・・
昔ながらの奄美のおうち。イスノキを使用した廊下は味があって、素足にやわらかい。
こちらは、97㎡で6部屋構成。それぞれの部屋に名前がつけられ、機能が分けられているのがおもしろい。
「寝どころ」・・・ごろりと横になって音楽を聞いたり、ワインを楽しめる、大人のくつろぐ空間。ワインセラー完備がうれしい。
「読みドコロ」・・・心置きなく読書を堪能できるスペース。
「食べドコロ」・・・三方に窓がある明るい空間
広々とした空間だが、1家族か多くて2家族までの宿泊でゆったりと過ごしてほしいという。
②プライベートビーチのある宿 小道からプライベートビーチへ
「港と夕陽の見える宿」と同じ笠利町にある、もう一棟の伝泊が「プライベートビーチのある宿」。
「港と夕陽の見える宿」よりコンパクトだが、2~3人でも十分な広さを持つ。
柱だけ残して開放的につながった間取りは静かで癒しの空間。
庭には大きなクワズイモの葉とガジュマルがある。
奄美大島で数々の日本画作品を残した画家・田中一村の絵のよう。ここでお茶したいなあ~
さらには裏庭から続く小道をゆくと・・・・
徒歩数十秒でビーチへ。誰もいない。静かで美しい。
失われ行く伝統建築に、新しい魅力を付与して生まれ変わらせる
さて、この「伝泊」という言葉。これはこのプロジェクトを進めている、奄美大島出身の建築家・山下保博さん(下写真右)がつくった言葉。
「伝」にはいくつもの意味合いが重なる。
奄美大島の「伝」統的・「伝」説的な建築を残し、その価値や人々の暮らしを「伝」えることが目的だ。
また、この「伝泊」では、管理する奄美イノベーションのスタッフが「コンシェルジェ」として機能。
宿泊者への観光の案内やさまざまなトラブル、お困りごとに対応してくれる。
「とにかく優雅に、ゆったりと過ごしてほしい」
伝泊の楽しみ方は、泊まることだけではない。
自炊できるような設備や食器なども完備されているので、近くのスーパーで地元食材を購入して料理を楽しんでもよい。
ゆくゆくは地域と結びついて、食材の購入システムやご近所さんとの交流システムも作っていく予定という。
宿泊者から、「ゆっくりできた」「旅のプランアドバイスも丁寧で的確だった」などの感想も届いている。
今後も群島内で50年以上の古民家を対象に、少しずつ「伝泊」施設を増やしていく。
普通のホテルや宿泊施設に泊まるのとは異なる旅が「伝泊」ではコーディネートできそうだ。
★予約・問い合わせ先は「伝泊 窓口(奄美イノベーション内)」
鹿児島県奄美市笠利町里50-2
TEL:0997-63-1910 FAX:0997-57-1696
Mail: amami@den-paku.com
HP: https://den-paku.com/amami/
この記事を書いたフォトライター
麓 卑弥呼
ライター/しーまブログ編集長。東京都出身。大学時代に訪れた与論島にはじまり、縁あって奄美大島の新聞社に新卒で就職。さらに縁あって島人と結婚し、自らが島人となり奄美に完全に根を下ろす。フリーライターなどを経て2014年にしーまブログに入社し、現在に至る。