「男はつらいよ 寅次郎紅の花」に登場したあの家が宿に! 加計呂麻島の伝泊「リリーの家」
島宿
2017/08/08
三谷晶子
奄美大島南部・瀬戸内町古仁屋港より船で20分。加計呂麻島の生間港からさらに車で10分。5~6月に赤い花が咲き乱れるでいご並木が有名な諸鈍集落に、2017年、新しい宿がオープンしました。
でいご並木沿い、海の見える場所にある伝泊「リリーの家」は、山田洋次監督の寅さんシリーズ最後の作品「男はつらいよ 寅次郎紅の花」で、マドンナであるリリーさんが住んでいるという設定でロケに使われた場所。
訪れる人から住民にまで「リリーの家」として広く親しまれていた場所でしたが、老朽化が進み今まで屋内に立ち入ることはできませんでした。
しかし、2017年7月に奄美出身者・奄美在住者による、奄美群島のための建築設計・地域活性計画を行なう事務所「奄美設計集団」の手によりリノベーションされて、宿泊施設として生まれ変わることに。それがこちら、伝泊「リリーの家」です。
伝泊とは、奄美大島出身の建築家・山下保博さん(奄美イノベーション代表)が作った言葉。「伝」統的・「伝」説的な建築を残し、その価値や人々の暮らしを「伝」えることを目的としたプロジェクトの総称で、この「リリーの家」の他、奄美大島に7軒、加計呂麻島にもう1軒、また徳之島で6軒運営をしています。
参照:奄美の古民家に泊まりたい~古民家再生プロジェクト「伝泊」で安らぎのひと時を
奄美の昔ながらの建築をできるだけ生かした作りの家は、海辺の実家に遊びに来たかのように、心やすらぐなつかしい雰囲気。
水回りなどはもちろん新しくきれい。アメニティは奄美原産の「クマタケラン」を蒸留釜で加工し、伝統的な製法で作られた化粧品が常備されています。
海が見える星見台もあります。
目の前の海は晴れたらこんな色。
使われている家具も、なつかしくやさしい奄美の伝統建築の雰囲気を損なわないものばかりです。
近くの諸鈍長浜公園には、山田洋次監督が寅さんと加計呂麻島に寄せた思いを綴った碑があります。
ひとつの宿でゆっくり過ごすもよし、広い奄美大島や加計呂麻島をさまざまな伝泊に泊まって楽しむもよし。
奄美らしい建物に泊まり、奄美の時間を過ごすと、より深く旅を楽しめるかもしれませんよ。
この記事を書いたフォトライター
三谷晶子
作家、ILAND identityプロデューサー。著作に『ろくでなし6TEEN』(小学館)、『腹黒い11人の女』(yours-store)。短編小説『こうげ帖』、『海の上に浮かぶ森のような島は』。2013年、奄美諸島加計呂麻島に移住。小説・コラムの執筆活動をしつつ、2015年加計呂麻島をテーマとしたアパレルブランド、ILAND identityを開始。