お家で飲める本格コーヒー! あなた好みのコーヒー豆が見つかる自家焙煎珈琲「豆と麦」
島モノ
2018/03/14
トウコ
みなさんは「さんたて」って言葉を知ってますか?
「さんたて」とは、「煎りたて」のコーヒー豆を「挽きたて」の状態で使い、ドリップして「いれたて」で飲む。
つまり、美味しいコーヒーを飲むためには、「煎りたて」「挽きたて」「いれたて」が大事だよ!っていう意味の言葉。
今回は、その「3たて」をお家で実践できる、自家焙煎珈琲「豆と麦」さんのコーヒー豆をご紹介します。
宝物を探しに。
「豆と麦」さんは、奄美大島北部の笠利町、赤木名と呼ばれる集落にあります。
県道602号線を北へ、赤木名海岸を左手に見ながら進んで行くと、右手に小さな赤いポールがあり、これが目印になります。
「豆と麦」さんへ行くには、ここを右に曲がりましょう。
(車の方は、道向かいにある空き地を利用して、徒歩で移動した方が帰りがスムーズです)
奄美大島にはこういった、隠れ家的場所がいくつかあり、ちょと控えめに建っている小さな案内を見つけては、そこがどんな場所なのか開拓するのも楽しみのひとつ。
自分だけのお気に入りの場所を見つけたら、宝物がひとつ増えたような気分です。
ここが「豆と麦」さん。
店舗ではありませんが、焙煎士のご自宅を利用した、自家焙煎珈琲豆の買える場所です。
注文は基本、お電話やFAX、メールにて事前に予約。
焙煎士は予約注文を受けてから豆を煎るので、お客様は商品ができた頃に来店、商品を持ち帰るというのが「豆と麦」の販売スタイル。
だからこそ「煎りたて」の新鮮な豆をゲットできるのです!
インターホンを鳴らすと「どうぞ〜」と、家の中へ案内されました。
わぁ・・・
部屋の中には大小の焙煎機、天窓からの暖かい光。
コーヒーの薫りが部屋いっぱいに広がって、なんとも居心地の良い空間。
「試飲をしてもらう時は、だいたいこうやって家の中にお通ししています。」
そうおっしゃるのは、焙煎士の阿久津 恒太さん。
10年ほどまえ「コーヒー屋をやろう!」と思い立ち、都内でサラリーマン生活をしながらコーヒー豆の焙煎技術を勉強。
コーヒーマイスターの認定証を取得し、3年ほど前に家族と奄美大島に移住してきた笑顔の素敵な焙煎士です。
もともと、ご夫婦ともに「田舎ぐらし」に憧れていたのだという阿久津さん一家。
ダイビングをしに訪れた加計呂麻島での数日間がとても心地よく、後々、奄美大島移住を決める思いに繋がったのだそう。
「フィーリングが合うというか、奄美には何か縁のようなものを感じます。」
「田舎ぐらし」の移住先を奄美大島と決めてから、何かに招かれるように奄美ゆかりの人々と出会い、移住が実現していったという阿久津さん。
どれも偶然が重なって繋がった縁だけに、奄美への深い想いがあるようでした。
焙煎士の腕がモノを言う「ブレンド」の魅力
「これから3つの豆を試飲してもらいますね。」
今日は「コーヒーのこと教えてください!」と、事前にお願いしてあったので、
阿久津さんが3種類の豆をドリップしてくれました。
ぷっくりと綺麗にまぁるく膨らんだドームは、豆が新鮮な証拠。
普通、コーヒー豆は生産地で「生豆」にまで加工された後、焙煎先に届けられます。
「焙煎したて」といっても、実は焙煎してから2、3日はそのままの状態で寝かせておく方が、美味しいコーヒーが飲めるのだとか。
豆の煎り加減で、ドリップの泡の色も違います。
3杯のコーヒーをそれぞれ試飲してみると、さすがは「3たて」。
どれも市販のコーヒーには真似できない美味しさです。
うーん・・・でも何かが違う?
「じゃあ今度はこれです。」
差し出されたコーヒーをひとくち飲んでみると、今度はハッキリと違いがわかります!
「こっちの方が、味が・・・しっかりしてる?」
「そう。これが ”ブレンド” なんです。」
阿久津さんの説明によると、
2番目にドリップした豆は、比較的「いい香りだ」という感想の多い豆。
3番目の豆は、味がしっかりしてる豆。
この2つをブレンドすると、それぞれ単品では単調になりがちな味にも立体感が出る。
さらにこのブレンドに、1番目のあまり特徴のない豆を加えると、全体のバランスがとれ、リッチ感のあるコーヒーに仕上がるんだそうです。
コーヒーのなんたるかを知らなかった私には、ちょっとしたカルチャーショック。
「ブレンドは”まぜもの”ってイメージがあったからか、まぜものじゃない単品豆の方が美味しいものなのかと思ってました。 ブレンドってそれぞれの豆の特徴を生かした飲み物だったんですね。」
「もちろん単品の方が好きな方もいます。」と阿久津さん。
「味覚や嗅覚って人それぞれなので、人によってどれが好きかは好みが違うんです。
コーヒーを飲む時間帯や、その日の天気、直前に食べたものでも味の感じ方は変わるんですよ。」
「だから自分は、袋に入ってるものを”これ美味しいですよ”って、そのまま売るのは、ちょっと違うと思うので、こういった試飲をしてもらう過程を大切にしています。
それに、この作業は1人ではできない。相手あってのこと。自分のセンスを磨くことにも繋がると思ってます。」
仕事に対するスタンスを、熱く語る阿久津さん。
つまり、コーヒー豆の配合の仕方や煎り加減、すべての経験や技術・センスが、焙煎士の腕前にかかっている・・・そういうことなんだなぁと感じました。
繋がりを大切にする「豆と麦」だから
「豆と麦」さんの商品には、焙煎豆の測り売り以外に、ドリップバックもあります。
(こちらも予約注文後に製造となりますので、仕上がりまでに少しお時間が要るそうです。)
お客様からの要望で作ることになったこの商品。
「どうせ作るなら、自分が納得できる美味しいものを」と、試行錯誤を繰り返した商品のひとつで、思い入れもひとしおだとか。
大きなマグカップでもたっぷり飲めるのが特徴。
パッケージの裏にあるコーヒーの「淹れ方」にも、焙煎士ならではのこだわりが見え隠れします。
そのほか贈答品としての商品もあり、これが、なかなかオシャレな逸品。
パッケージを担当するのは、以前、展示会のブースをデザインする仕事に就いていたという奥様。
お客様から「ラベルに一言、メッセージを入れられないか」との細かい要望にも対応できるので、贈答品として、とても喜んでもらってるそうです。
子供さんの描いた絵も、入学祝いの返礼品として大活躍。
一家で同じ方向をむいて協力しあえるって、なんだか素敵ですよね。
そのほか、2ヶ月に一回のペースで「季節にあったブレンド」を提供。
「バレンタインブレンド」とかもあったそうで、
「あ、それウチの旦那に使いたかった〜!」と思わず後悔。
商品リリースの新情報は「豆と麦」のブログを読んでるとキャッチできるそうです。
(お気に入りブログに登録!)
ブログURL:mametom@exblog.jp
「これからも、1人1人のお客様としっかり向き合い、その人に合った焙煎豆を販売する・・という、今の販売スタイルを大事にしたい。」と、話す阿久津さん。
10年前「コーヒー屋をやろう!」と思い立ち、手網による焙煎から始めたというコーヒーの道。
教えを請うた素晴らしい焙煎士の先輩方、移住を支えてくれた奄美の人々。
ひとつひとつの出会いを大切にし繋がってきた、阿久津さんならではの言葉です。
そんな素敵な焙煎士が作り出す、こだわりの焙煎豆に出会いに、あなたも自家焙煎珈琲「豆と麦」まで出掛けてみませんか?
この記事を書いたフォトライター

トウコ
関西出身。縁あって奄美で結婚。転勤族の夫と供に奄美群島各地を回り、2015年奄美大島に落ち着く。奄美の島々を回るうち、各地の風土・風習・歴史の違いに強く惹かれ、大好きな絵や文を通じて、その魅力を発信していきたいと思うようになる。