天の川ハンターと行く奄美星空紀行VOL.3| 大和村エリア
島景
2018/11/21
しーまブログ編集部
都会では決して見ることのできない美しい星空の魅力について、奄美大島の星を追いかけている「天の川ハンター」荒木マサヒロさんに、全6回でレポートしてもらいます。
今回は第3回目、奄美大島の西側、大和村エリアを巡ってみましょう。
いまから紹介する星空に実際に会いに、ぜひ足を運んでみてくださいね。
■天の川ハンターと行く奄美星空紀行(全6回)■
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月夜の晩には♫
〜戸円ふれあいパーク
10月30日03時02分
奄美大島西海岸はオススメの星空街道。
奄美市名瀬から大和村今里までほぼ南西に向かって走る。大和村に入ると今里まで約22km、どこにも立ち寄らなければ30分ほどの距離。
しかし立ち寄らないわけにはいかない。
この海岸線を走る道はトンネルも多く起伏もあり景色が次から次と展開し目を奪われる。
観光客だとしたら、カメラを持って車を降りて記念撮影したくなるポイントがある。
宮古崎、国直(くになお)サンセットパーク、大金久(おおがねく)トゥルス公園、大金久ふれあいパーク、嶺山公園、戸円(とえん)ふれあいパーク、徳浜(どくばま)の断崖、今里(いまざと)の立神…
このほか目につくところで立ち寄っていたら、確実に2時間を超える絶景ポイント巡りとなる。この短い距離で乗り降りする回数が多いのは全島あげてここが一番ではないだろうか。
海岸線は北西に開かれているので北東から南西の北側が水平線となり、西海岸星空街道はサンセットビューポイントであるとともに北極星を中心に時計と反対回りしながら水平線から昇ってくる、または水平線に沈んでゆく星空を楽しむことができる。
天の川ハンターとしては、西に傾き沈みゆく夏の「天の川ビューポイント」として見逃せない。その中から絶景と星空が織りなすコンビネーションが撮影心をくすぐるポイントをピックアップして紹介します。
ただ、まずは日中にこの絶景を楽しんだあと、お気に入りのポイントで星空を観望することをお勧めしたい。
起伏に富んだ海岸線が見渡せる絶景と星空
〜 戸円ふれあいパーク
これから進みゆく先を見渡せるポイントとして最初に紹介したいのが、「戸円ふれあいパーク」。
パーキングエリアがあり東屋がある。トイレはここにはなく、少し道を下っていく戸円海岸にある。
2018年7月9日3時51分
ここは星空だけでなく、月明かりで照らされた眼下の絶景を一緒に楽しむのがオススメ。
月明かりといっても満月だと見える星が少なくなってしまうので、三日月前後がいい。これは2018年の夏、7月9日03:51撮影。3時間後には闇が終わる。月齢25(半月と三日月の中間)の月がすでに山を越えあたりを照らし始めている。
11月28日の19時頃このように西に傾いた天の川が見られる。
この日の月は満月を過ぎたばかりの月。21時頃出てくるので、出てくるまでは真っ暗で天の川がくっきりと。月の出始めはこの写真くらいに。上がりきったら月の明るさで先ほど見えていた星の数は減ってしまう。
この日は闇夜から一転して月が地表を明るく照らした。この変化を味わうにはこの時間に都合を合わせることができる人のみの特権に違いない。
潮風と波音と星空。
〜 戸円海岸
戸円ふれあいパークから戸円集落に降りていくときの光景が素晴らしくいい。
下り坂の向かう正面にロウソク岩が見える。スピードを落としてゆっくりと楽しみたくなる。左手に「ウェスターナーズカフェ」。右手に海岸に向かう休憩所とトイレがある。
2018年7月9日3時35分
西海岸は車の走行が少ないので道路沿いでもパーキングエリアさえあれば観望ポイントだ。ここは背後にある街灯が波打ち際を照らし立体感を感じさせてくれる。
波の音を聞きながら、潮風にあたりながら、のポイントです。
ロウソク岩と星空
〜 ヒエン浜
戸円海岸を過ぎてすぐのカーブを曲がったところの左手に駐車場スペース(路肩)がある。後ろを振り返ると「奇岩」。しずむ夕日と重なるとロウソクに火を灯したように見えることから、通称「ロウソク岩」とも呼ばれている。
ここにはトイレはない。
2018年7月9日3時14分
このロウソク岩はヒエン浜の一番東に位置する。駐車スペースからロウソク岩を見ると北の星空を望める。
11月20日頃の19時あたりには、ほぼこのようにロウソク岩の真上にペルセウス座の二重星団。肉眼だともわっとしている。その上にMの字のカシオペア座。右上にはアンドロメダ座大星雲。
都会だとカシオペア座は見つけやすいけど、奄美では見分けるのに星が多すぎてひと苦労する。
ライトアップされた断崖と奇岩と星空
〜 徳浜の断崖
ロウソク岩をあとにしてさらに進むと海岸線に面した展望台とパーキングエリアが見えてくる。11月21日工事完了と表示されているので本号掲載のあとすぐに展望台を利用できると思う。
2018年7月9日2時56分
初めて訪れる人は展望台を通過してこの断崖に直面することをおススメする。声を上げること間違いない。(徳浜(どくばま)の断崖)
ここは夜になるとライティングされていて海岸を形成する岩山を照らしている。その隙間をぬって星空を楽しむという珍しいポイント。この写真は夏の未明に天の川が西海岸に出現するのを狙ったもの。天の川は南西に位置し西に傾いている。
さきにも記述したように11月28日の19時頃このように西に傾いた天の川が見られる。もちろん11月28日を過ぎても12月中旬くらいまでは同じ19時ごろに毎日少しずつ右(北)に移動していく天の川を見ることができる。
※ライトアップは地域の壮年団の好意で行われているもので、常に実施しているわけではありません。
立神に天の川がかかる時に遭遇したら。
〜 今里の立神
大和村の一番南にある今里集落。ここの立神の存在感は大きい。立神は集落からはほぼ北に位置する。
天の川観望に適しているのは月明かりがない時。
ではどのくらい違うのかを見比べて見るという機会をここで紹介する。月明かりがあるときと月明かりがないとき。
今里集落の守り神とあがめられてきた立神。ほぼ満月の月明かりがある時と月が出ていない時で見比べてみよう。
10月30日02時25分/ほぼ満月の月明かりがあるとき。
ほぼ満月の明かりを受けて星空を撮るとまるで昼間のようになってしまう。
青空の中にたくさんの星があるのにお気づきでしょうか。
11月6日22時05分/月明かりのないとき。
月明かりがなく街明かりもないと明かりは星だけ。
しばらく(20分ほど)すると人間の眼は暗闇の中でも次第にあたりが見えてくる。眼でものを認識する感覚が、普段使わない領域まで達しているのに驚かされる。こうなるともう見えてくる星の数はハンパない。
月がない夜を狙って12月6日20時半ごろだと立神の上に天の川のアーチがかかる。
地球の大旅行。なんと無料。
今日も休まず地球は音もなく静かに動いている。
荒木マサヒロ
奄美の自然をこよなく愛すデジタルコンテンツクリエイター。天の川ハンターの異名を持ち奄美の天の川を撮り続けている。作品に iBooks「天の川見に行こっと!」シリーズがある。また自ら癒されながら収録している奄美の波音や鳥のさえずりのヒーリングネイチャーサウンドアルバムはハイレゾワールドチャートに登場している。「天の川・トークイベント」「星空撮影ワークショップ」も不定期に実施中。
Facebook 「天の川見に行こっと!奄美・瀬戸内」https://www.facebook.com/nonicotto/
この記事を書いたフォトライター
しーまブログ編集部
2010年に誕生した、シマを愛するすべての人々のための奄美群島地域情報サイト。日々あがってくるシマッチュたちのブログを主軸に、編集部が取材したグルメ・不動産・仕事・イベントなどの情報まとめなどを掲載。フリーペーパー「みしょらんガイド」「amammy」も配布中!しーまブログ