天の川ハンターと行く奄美星空紀行 VOL.1|笠利・龍郷エリア
島景
2018/09/26
しーまブログ編集部
ふりそそぐ太陽とどこまでも高く青い空。奄美大島に降り立って、空の美しさに驚く人は多いと思います。
しかし、美しいのは昼間だけではありません。太陽が海へと沈み、空が赤いグラデーションを作って光を落としていったそのあと。
空には一面、星が瞬き始めます。
時間、季節、そして位置。すべてにおいて刻々と表情を変えていく夜空は、目を凝らすほどにその美しさをくっきりと際立たせていきます。
都会では決して見ることのできない美しい星空の魅力について、奄美大島の星を追いかけている「天の川ハンター」荒木マサヒロさんに、全6回でレポートしてもらいます。
■天の川ハンターと行く奄美星空紀行(全6回)■
第1回目は「笠利エリア」。
新しくできたニュースポットは絶好の星空ハントの場所なのだそう。
はじめての方でも行きやすいスポットなのでぜひ足を運んでみてください。
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沈みゆく月と昇りくる太陽を一緒に楽しむことができるとっておきのポイント~ あやまる岬観光公園観光案内所広場
2018年8月27日05時21分
空港から車で約10分。奄美大島北東部にある「あやまる岬」は、外海を望むビュースポット。高台にあるため、夜は絶好の星空観察場所となる。
MAPはこちら
ここは空港からだと名瀬よりもずっと近い。
満月のころ、月が沈もうとしている時、入れ替わりに太陽が出番を待ちきれずに空を赤く染める。そう、ここは沈みゆく月を眺めながら昇りくる太陽が彩る空色の移り変わりを楽しませてもらえるとっておきのポイント。ほんの1時間で劇的に変わるこの時を肌で感じられる。
360度全開の星空ウォッチングステージ
~ あやまる岬観光公園観光案内所隣のトイレの2階
撮影日時:2018年8月27日05時01分
駐車場から観光案内所(写真右)に向かう左手にトイレ(写真左)があり、その2階にはなんと星空ウォッチングステージがある。
8月も終わりとなると明け方にはもう冬の星座の代表、オリオン座が東の空から昇ってくる。この写真では観光案内所の上に一等星がある。これは一番明るく輝く一等星のシリウス。その上にはオリオン座がある。
シリウスの左、ほぼ中央にはプロキオンがあり、オリオン座のベテルギウスとシリウスで構成される三角形を「冬の大三角」という。満月のもとでの写真だとオリオン座のそばに流れる天の川を写し出すことはできないけど、月明かりがないと天の川が現れる。
2階のステージに寝転んで見上げると360度全開の星空。
流れ星を見るには最高のポイント。月明かりがない時がおすすめ。天の川が大きなアーチとなって天頂を横切るころだとなおさらいい。
撮影日時:2018年8月27日04時01分
観光案内所の横には気持ちのいい広場があり、ここからの眺望もまた素晴らしい。この写真は「冬のダイヤモンド」が昇りきったところ。9月29日1時半くらいには東の空に現れている。
4月中旬くらいまではこの「冬のダイヤモンド」を見ることができる。
撮影日時:2018年8月9日23時44分
このステージから隣にある観光案内所を見ると、立ち上がる天の川が見えた。ほぼ垂直に立ち上がって見える天の川はそのまま天頂を通り北まで続く。つまり圧巻の星々のアーチの真下にいることになる。
そしてこのとき、真上に七夕星と夏の大三角の存在を知る。この写真を撮ったあとパーカーを丸めて枕にして寝転んで星空を眺めていたら、長く光跡が残る流れ星をたて続けに2個見た。そのあと気づくと1時間ほど気持ちよく寝てしまっていた。星空を楽しむ時には頭に添えられるものを忘れずに!
このようにアーチを描く天の川を見られるのは5月中旬から10月初旬までの期間。明るく輝いているのは火星。9月下旬であればまだまだ火星はほぼ同じ位置に明るく輝いているので見頃は続いている。月明かりがない9月29日20時頃ここに立つと、この写真と同じような星空に出逢える。
太陽だけじゃない星も星座も東から昇ってくる
~ あやまる岬観光公園展望デッキ
この展望デッキは東を向いていて、冬は冬の星座のオリオン座が、夏は夏の星座のわし座が昇ってくる。
海から昇ってくる天の川 絶景ポイント
~ あやまる岬観光公園展望デッキ
撮影日時:2018年4月18日01時09分
海から昇ってくる天の川を見た人は少ない。
ここはその絶景ポイント。2月中旬の明け方近くには夏の星座も天の川も昇ってくる。天の川は横たわったまま弧を描くように昇ってくるので昇り始めに気づかない。
ここまで昇ってくれば右にさそり座。左にはくちょう座。天の川を挟んで七夕星の織姫(こと座のベガ)と彦星(わし座のアルタイル)が認識できる。これが「夏の大三角」だ。右の水平線上に見えるのは喜界島の街明かりだ。
「冬の大三角」が昇ってくる絶景ポイント
~ あやまる岬観光公園展望デッキ
撮影日時:2018年8月27日4時15分
9月30日深夜2時くらいにはこの写真のようにオリオン座、ふたご座、おおいぬ座、こいぬ座がすでに登場している。「冬の大三角」のベテルギウス、シリウス、プロキオンも海から昇ってくる。これを見るならここ!
「銀河鉄道」と出会えるポイント
~ あやまる岬観光公園タイドプール前
さきほどの展望台からすぐ下に降りた場所。ここにも入口あたりにトイレがある。広々とした駐車場に車を停める時はエンジンも消して真っ暗にする。エンジンをつけておくとナビのモニターが眩しい。暑すぎてエアコンが必要な時は黒いクロスとかでモニターを覆うと良い。
人間の眼が暗さに慣れるまで20分必要と言われている。20分間じっと星空を見続けているとものすごく星が見えてくる。同じところにいてもスマホを見ている人と20分間見ていない人では見えているものが違う。
撮影日時:2017年4月21日
タイドプール前から見るとより海面から昇ってくるという天の川を感じられる。このときは夏の星座がはっきりとわかりやすく、右からさそり座、いて座、南斗六星、わし座、こと座、はくちょう座。
夏の大三角のアルタイル(わし座)、ベガ(こと座)、デネブ(はくちょう座)も横に並ぶ勇姿を見る絶好のポイント。まさにこれが「銀河鉄道」だ!
アンドロメダ座大星雲を肉眼で見る!
〜 笠利崎灯台「夢をかなえる「カメ」さん」
あやまる岬からは少し移動しよう。
同じ笠利町内だが、奄美大島北端に笠利崎灯台がある。(MAP)
灯台まで行かない手前に公園があり、「夢をかなえるカメさん」がいる。駐車場があり、ここにはトイレもある。ここも目の前が海。周りには民家がないので明かりは灯台の灯りのみ。
撮影日時:2017年8月17日21時33分
公園から灯台方向を見るとまずは北斗七星が目につく。北極星が見つかりカシオペア座も。際立って暗く天の川の中にとけ込んでいるカシオペア座は少し見つけにくい。
アンドロメダ座大星雲も肉眼でわかる!
撮影日時:2017年8月17日21時40分
南側を向くと南西に山が迫り出しているので視界は限られているが、天の川が鮮やか。左に喜界島の明かりが見える。背後が絶壁のせいか波の音が大きく聞こえる。秘境を感じたい人向き。
撮影日時:2018年8月9日22時01分
次に到着したのは、笠利町北東部の「神の子集落」(MAP)。
南側を向いているので夏の天の川がいい具合に見えるポイント。名瀬から空港に行くときに通過する集落だ。
用安の手前にヤシの木が並ぶ駐車スペースがある。あたりは暗く道路を隔てるように花壇があるので足元に気をつけよう。交通量がやや多いので車のライトを直接見ないように。ここは名瀬からも近くてちょい見にはいいポイント。
【星空用語解説】
★冬の大三角
おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオン、オリオン座のベテルギウスを結んでできる三角形を「冬の大三角」という。
★冬のダイヤモンド
6つの1等星、おおいぬ座のシリウス、オリオン座のリゲル、おうし座のアルデバラン、ぎょしゃ座のカペラ、ふたご座のポルックス、こいぬ座のプロキオン、を結んでできる6角形を「冬のダイヤモンド」という。
★夏の大三角
こと座のベガ、わし座のアルタイル、はくちょう座のデネブを結んでできる三角形を「夏の大三角」という。
荒木マサヒロ
奄美の自然をこよなく愛すデジタルコンテンツクリエイター。天の川ハンターの異名を持ち奄美の天の川を撮り続けている。作品に iBooks「天の川見に行こっと!」シリーズがある。また自ら癒されながら収録している奄美の波音や鳥のさえずりのヒーリングネイチャーサウンドアルバムはハイレゾワールドチャートに登場している。「天の川・トークイベント」「星空撮影ワークショップ」も不定期に実施中。
Facebook 「天の川見に行こっと!奄美・瀬戸内」https://www.facebook.com/nonicotto/
この記事を書いたフォトライター
しーまブログ編集部
2010年に誕生した、シマを愛するすべての人々のための奄美群島地域情報サイト。日々あがってくるシマッチュたちのブログを主軸に、編集部が取材したグルメ・不動産・仕事・イベントなどの情報まとめなどを掲載。フリーペーパー「みしょらんガイド」「amammy」も配布中!しーまブログ