【奄美の七不思議その1】宇検村に現れる妖怪”ケンムン”の謎を追え!!!
島コト
2018/01/12
田中 良洋
奄美の不思議でたまらないことを探求する連載。
全7回でお届けします。
―奄美の七不思議を調査しています―
【奄美の七不思議その1】宇検村に現れる妖怪”ケンムン”の謎を追え!!!
【奄美の七不思議その2】海賊の宝?!奄美市住用町に眠る”黄金”を探せ!
【奄美の七不思議その3】奄美大島瀬戸内町に漂着したワニの謎に迫る!
こんにちは、よーすけです。
奄美大島の情報誌HORIZON読みながら失礼します。
突然ですが、皆さんは超常現象や心霊現象は好きですか?
奄美大島にもたくさんの言い伝えや伝説があります。
特に有名なのはカッパに似たケンムンと呼ばれる妖怪です。
相撲が好きだったりタコが苦手だったり、夜寝ているときに布団が回転してしまうのは彼らの仕業だと言われたり(?)、ケンムンにまつわる話は数えればキリがありません。
このケンムン、本当にいるか気になりませんか?
気になりますよね。二千円札が今どうなっているかと同じくらい気になりますよね。
というわけで・・・
ケンムンの棲む郷、奄美大島の宇検村にやってきました!
そうです。今回のこの記事では、奄美大島に棲むと言われるケンムンを探し出して皆さんにお見せすることが目的です。
本当に宇検村にケンムンはいるのか?!
なんせ妖怪ですからね。
そんなに簡単に見つかるはずはな・・・
あ゛ーーー!!!
いたーーーーー!!!!!!
草むらの中に座っているところを偶然にも発見!!!
足が長いんですね。目も大きく、子どもみたいです。
こんなにすぐ見つかるなんて!
いやぁ幸先がいいなぁ。
もうこの企画を終わりにしてもいいんですが、せっかくなので皆さんのためにもう少し探してみましょう。
ケンムンは確か、ガジュマルの樹に棲むと言われていますけど・・・
いたーーーーー!!!!!
さっき見つけたケンムンと似てますね。このケンムンはちょうど頭を触っているところでした。
ゆっくりと隣に座ってみましたが逃げません。人間を怖がらないようです。
「普段どんな音楽聞くの?」
「・・・」
答えてくれませんでした。シャイなんでしょうね。
場所を変えて他のケンムンも探してみました。
運が良かったのか、たくさん見つかりました!
宇検村に来た人は、ぜひケンムン探しをしてみるといいですよ!!
バス停の上に寝そべるケンムンを見つけたり、
ケンムンと追いかけっこをしたり、
ケンムンのすべらない話に腹を抱えて笑ったりしました。
もう十分すぎるほどケンムンを見つけられましたね。
皆さんにも実際のケンムンの姿をお届けできてぼくは大満足です。
それではさようなら!
「え、よーすけマジで言ってんの?!ケンムンの銅像並べて “ケンムン見つけました” なんて、通用すると思ってるの?適当なこと言ってたらSNSで炎上するよ?」
・・・ですよね。
分かっています!
これで終わらせるなんて、そんな子供騙しで終わらせるはずないじゃないですか!!!
なのでSNSでの炎上だけは勘弁してください。
更なるケンムンの情報を求めて・・・
ケンムンにまつわる情報を求めて、宇検村のラジオ局エフエムうけんにやってきました。
「こんにちはー。」
「あら、よーすけくん。いらっしゃい。」
迎えてくれたのはエフエムうけんのパーソナリティ向山さん。
宇検村の情報が集まるラジオ局に勤める向山さんなら、きっといい情報を知っているはず!
「ケンムンを探しに宇検村に来たんですけど、誰かケンムン見たことある人知らないですか?」
「ケンムンねぇ・・・。昔の人はよく見たと聞くけど、最近は・・・」
「やっぱりもういないですよね。」
「そういえば、開運酒造の会長のお父様が昔、ケンムンの手を持っていたという話を聞いたことがあるわ。」
「ケンムンの手?!それ本当だったら相当すごくないですか??」
「もうそのお父様は亡くなられてしまったんだけど、開運酒造の人に聞いてみたら何か分かるかも。」
「聞いてみます!貴重な情報、ありがっさまりょーた!」
ケンムンの手は本当に存在するのか?!
向山さんの情報を頼りに、黒糖焼酎れんとで有名な開運酒造に来ました。
現在の開運酒造会長の渡博文さん、専務取締役の渡慶道さん、常務取締役の赤崎綾乃さんにお話を伺いました。
「実は会長のお父様が昔、ケンムンの手を持っていたという話を聞いたのですが本当ですか?」
「本当ですよ。手じゃなく、足ですね。」
「足なんですか?!その足は・・・どうやって手に入れられたんですか?」
「先祖代々伝わって来たものなので、どこで手に入れたか分からないです。私も見せてもらったんですけど、外側しか見たことがなくて中身は見たことがないんです。」
「田検の集落の人は、みんなその話を聞いたことがありますよ。ただ人によって聞いた話が違うし、実物はなかなか見せてもらえなかった。”今日は日が悪い”とかいろいろ理由をつけて見せてもらえなかった。とにかく人を集めていろんな話をするのが好きな人だった。」
「いろんな言い伝えがあるんですね。」
「宇検村には集落ごとにも、それぞれの家族ごとにも違う形でケンムンの話が伝わっている。だから人によっても違ったイメージを持っているんですよ。」
「今度、ケンムンにまつわる言い伝えを盛り込んだ絵本をつくる予定なんです。完成したらぜひご覧になってください。『ケンムンとぼくの夏』という絵本ですけど、中身は歴史も絡めていますので面白いですよ。」
「田検集落の四級親水公園のぼらがまは行ったことある?」
「いや、行ったことないです。」
「ぼらがまにはほら貝があったんです。昔は宇検村の各集落にケンムンがいたと言われているんですけど、ある日海でケンムンが獲物をとっていたんです。そしたら他の集落のケンムンが大勢で押し寄せて来た。田検集落のケンムンは四級親水公園のぼらがまに逃げて、ほら貝を吹いて他の集落のケンムンを追い払ったんです。」
「ぜひ行ってみてください。ガジュマルの樹の下に人が3、4人入れる空洞があるんです。」
「ありがとうございます!行ってみます!!」
残念ながらケンムンの足は見ることはできませんでしたが、新たなケンムンの手がかりを発見!
次の場所ではケンムンの姿を見ることができるのでしょうか?!
田検集落にある四級のぼらがまへ
四級親水公園は宇検村の田検集落の山側にある公園です。
川の流れが綺麗で、集落の人はここで集まってバーベキューをすることがあるほど身近な場所です。
この公園に本当にほら貝のあるぼらがまがあるのでしょうか。
ぼくは場所が分からないため、田検集落出身のお二人に案内してもらうことにしました。
渡農園の渡博道さんと、あまみエフエムディ!ウェイブ!の渡陽子さんです。
「案内よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。」
「では、私について来てください。」
季節によってはハブが出て来そうですが、博道さんはハブを捕まえてハブ油を作ったり、ナイトツアーでガイドをしていたりするほどのベテラン。山道もすいすいと登っていきます。
博道さんに案内されること5分、目的の場所のぼらがまに到着しました。
「すごい、本当にガジュマルの樹の下に空洞ができていますね。」
「田検集落にこんな場所があったんですね。」
「戦争のときにもここは使われていたようです。中から湾の向こうまで見えるので、見張りにちょうど良かったみたいです。」
中は確かに人が数人入れるくらいの場所がありました。
「ここに昔、ほら貝があったんです。」
「そのほら貝をケンムンが吹いて、他の集落のケンムンを追い返したって話ですよね。」
「こんな場所なら、本当に妖怪がいてもおかしくないですね。」
今回のケンムンを探す旅はここで終わりです。
たくさんの人に話を聞き、ケンムンにまつわるロマンを感じられる旅になりました。
奄美大島にはきっとまだまだ知らないロマンが眠っているんですね。
え?ケンムンの姿を見せる旅だったのに、肝心のケンムンの姿が見れてないって?
いえいえ違うんです。ケンムンは村に住む人々の心の中にいるのです。
本当にケンムンを見たいなら、ぜひ村の人々に話を聞いてみてください。
きっと、その人それぞれのケンムンに会わせてくれますよ。
―奄美の七不思議を調査しています―
【奄美の七不思議その1】宇検村に現れる妖怪”ケンムン”の謎を追え!!!
この記事を書いたフォトライター

田中 良洋
映像エディター/予備校スタッフ 兵庫県出身。奄美群島の文化に魅かれ、2017年1 月に奄美大島に移住。島暮らしや島の文化を伝えるために自身のメディア、離島ぐらし(https://rito-life.com/)を運営する。