About Amami 奄美のこと
Nature 自然
ユーラシア大陸の箱舟
南西諸島は、もともとユーラシア大陸の一部でしたが、約1,500万年前に大陸から分離して、隆起と沈降を繰り返しながら東側に移動してきました。
そして陸地の一部が、島として残された地域です。南西諸島の島々は、「高島」と「低島」に大別することができます。「高島」は、火成岩から成る高い山地に占められた島です。「低島」は、石灰岩(隆起サンゴ礁)から成る平坦な台地が広がる島です。
奄美群島では、奄美大島・加計呂麻島・請島・与路島・徳之島が「高島」に、喜界島・沖永良部島・与論島が「低島」に分類できます。
その「高島」が、島として残された陸地の部分です。その場所に生息していた生き物が、島に閉じ込められて、まるで「ノアの箱舟」のように島ごと移動を続けながら、特徴ある生物相が形成されたのです。
島の総面積の約80%が山地で占められている奄美大島は、年間降水量が約3,000mmもあり(東京の年間降水量は約1,500mm)、世界的には乾燥地域が大半を占める緯度に位置していながら、珍しい「亜熱帯雨林」の森が形成されています。山地を覆う深い森は、常に雨水を貯え、河川の源流となります。奄美大島の生命は、恵まれた水環境に育まれているのです。
奄美大島の深い森、そしてその森から流れ出す河川には、国際的希少種・固有種の生き物が多数生息、生育していて、日本屈指の生物多様性を誇ります。また海岸には、多種多様なサンゴ礁の生態系が認められ、サンゴ礁保全における重要地域として世界的に注目されています。
2021年7月26日、
奄美大島は世界自然遺産に
登録されました。
2021年7月26日、奄美大島・徳之島は沖縄本島北部・西表島とともに
「世界自然遺産」として登録されました。
日本では5番目の登録、鹿児島県では屋久島に次ぎ2つ目の登録となります。
世界に誇る宝となった奄美大島の自然。
このすばらしい自然を保護して後世に繋げていくためには、
この島を訪れるすべてのみなさまのご協力が必要です。
奇跡の森、奄美の森を大切に守っていきましょう。
World Natural Heritage 次世代に受け継いでいくべき、世界の宝
世界遺産とは、1972年に採択された「世界遺産条約」に基づいて、国連教育科学文化機関(UNESCO)の「世界遺産リスト」に記載された遺産のことで、国家や民族を超えて人類が共有し、次世代に受け継いでいくべき価値をもつ遺産を対象としています。 世界遺産には、自然遺産、文化遺産、複合遺産の3種類があります。
世界自然遺産として登録されるためには、次の4つの価値基準(クライテリア)の1つ以上に合致するとともに、適切な保護管理体制がとられている必要があります。 「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界自然遺産推薦は、このうち「生物多様性」の基準から推薦されています。
- 自然景観
- ひときわ優れた自然美および美的要素をもった地域。
- 地形・地質
- 生命進化の過程や、地形形成において進行しつつある重要な地学的過程など、地球の歴史の主要な段階を代表する地域。
- 生態系
- 現在も進行中の生物の進化や動植物群集の見本となるような、極めて特徴のある生態系を有する地域。
- 生物多様性
- 絶滅のおそれがある野生生物の生息地など、生物多様性の保全にとってもっとも重要な生物の生息・生育する地域。
Reasons for evaluation 奄美・沖縄が評価された理由
琉球列島4つの島で守る 脅威の多様・固有の数々
奄美大島を含む「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島(奄美・沖縄)」は、大陸などとの分離、近隣島しょとの分離・結合を繰り返して形成された独特の地史を背景に、世界的にも貴重な固有種や、絶滅のおそれのある動植物の生育地として非常に重要な地域であることから、世界自然遺産候補地として推薦されました。
奄美大島の特徴
世界自然遺産登録の評価となった「生物多様性」。奄美大島においても、生物多様性の高さ、固有種の多さは際立っています。 奄美大島が位置する場所は、気象条件において生物地理区の境界線「渡瀬ライン」が位置しており、生物生息域の北限と南限、両方の境目となります。これによって多様な生物が共存する稀有の島となっており、国土の面積の0.2%に満たない奄美大島において、国内全体の生物種の約13%が確認されています。
また、奄美大島は他の島嶼と分離された歴史が長く、島で個別に進化した生物が、現在では固有種・固有亜種として見られます。
奄美大島の確認種数 | 在来種数 | 固有種数 | |||
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日本全国 | 奄美大島 | 日本全国に対する割合 | 固有種数 | 固有種率 | |
維管束植物※1 | 約7,000 | 1,307 | 19% | 125 | 10% |
哺乳類 | 108 | 13 | 12% | 8 | 62% |
鳥類※2 | 633 | 315 | 50% | 2 | 1% |
陸生爬虫類 | 72 | 16 | 22% | 10 | 63% |
両生類 | 74 | 10 | 14% | 9 | 90% |
陸水生魚類 | 約400 | 154 | 39% | 9 | 6% |
昆虫類 | 約30,000 | 3,254 | 11% | 695 | 21% |
陸水生甲殻十脚類 | 73 | 14 | 19% | 3 | 21% |
Experience 世界自然遺産を体感しよう
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奄美トレイル
奄美の文化・自然・歴史を体感できるトレッキングコース。マップを販売しています。
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金作原ツアー
奄美の多様性あふれる森を散策できる人気ツアー。ガイド同伴が必須です。
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夜の森ナイトツアー
希少種の多くは夜行性。生命にぎわう奄美の森をガイド同伴でのぞきにいきませんか。
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ハブと愛まショー
毒蛇ハブは山の守り神でもあります。人とハブの共生を知ることができるショー。
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奄美野生生物保護センター
奄美群島の生きものや自然を保護するために設置された環境省の施設。 ※こちらは奄美大島の野生種の見学が可能な施設ではありませんのでご注意ください。
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龍郷町奄美自然観察の森
屋外の散策路で自然と気軽に触れ合うことができます。要予約でガイドも。
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奄美博物館
奄美の自然・文化・歴史を一体的に知ることのできるマストスポット。
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奄美海洋展示館
奄美の海の生き物を知ることができるほか、ウミガメへの餌やり体験はぜひ体験して。
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黒潮の森マングローブパーク
国内2番目に大きいマングローブ原生林を知ることができ、カヌーツアー体験も可。
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ホエールウオッチング
1月~3月に子育てのために回遊するクジラを見ることができます。
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アマミホシゾラフグに出会う
奄美大島で発見された新種。ミステリーサークルと呼ばれる美しい模様を作ります。
Promise
守ってほしい知ってほしい、
大切なこと5か条
希少生物が多く生息している奄美大島の生態系。
素晴らしい自然からの恩恵を次の世代へ引き継ぐために、
訪れる皆様に守っていただきたい大切なことがあります。
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夜の山道はのろのろ運転で~ロードキル防止~
山間部の道路などでアマミノクロウサギが交通事故にあい、死んでしまうこと(ロードキル)があります。このような事故を防ぎ、 希少種を保護するために、特に夜間の山道 などでゆっくりとした速度での運転を呼びかけています。ゆっくり走ろう、奄美の山道。
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動植物の暮らしを乱さない~動植物観察の注意点~
奄美大島の海や山では、さまざまな生き物たちが暮らしています。そこに人間が立ち入って観察するときには、動物たちの生活を邪魔したり、刺激を与えないように、十分気を付けなければなりません。また、海や森には危険もつきものです。身の周りの安全に注意して観察しましょう。
- 動物に急に近づかない
- 静かにそっと見守る
- 夜間に光を当てるときは最小限に
- ハブに注意
- エサを与えない
- ゴミを捨てない
- 動物を連れて帰らない
- 植物も持って帰らない
- 食べない
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動植物はその場から持ち出さない・持ち込まない~希少動植物の盗掘・盗採防止/外来種対策~
奄美大島には希少な動植物が数多くあり、条例や法律などで持ち出しが禁止されています。多面的なバランスによって、島の生態系は保持されています。動植物の持ち出し・持ち込みをなくすことは外来種対策にもつながります。
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エコツアーガイドの活用
島の自然のなかに入るときに適切なかかわり方を教え、また「多様性の森」についてわかりやすく解説を与えてくれるのが、エコツアーガイド連絡協議会認定の「エコツアーガイド」です。金作原はエコツアーガイド同伴の観光が必要となっています。そのほかにも、ナイトツアーなども適正なルールを守って適切に野生生物と接するため、エコツアーガイドの同伴が推奨されています。
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人と自然との共生こそが奄美の自然環境保持の秘訣
国立公園で示された、「環境文化型」という奄美の自然環境の形。古来より人と自然は互いに寄り添い、共生関係を図ってきました。島人が形作ってきた文化は、豊かな自然を壊すことなく、恵みに感謝してきた先人の知恵のたまもの。豊かな自然と街がすぐ隣り合わせにある奄美大島だからこそ、「自然への感謝」という概念は今後さらに大切になってきます。自然を守り、ともに生きる地域の人々の暮らしや文化もぜひ知ってほしい、奄美の魅力です。
参考サイト: 電子ミュージアム奄美:奄美の自然